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マイクの思い

「戻ったぞ」

「あっベース!何かわかったことあった?」

(一応二人には言わないでおいた方がいいかもな、、)

「ううん。特にはなかったよ」

「次はどこ行ってみるんだ!?」

「次はブールスさんに会いに行ってみようよ!」

アリカが言い出す。

「ブールスは今城内で働いてると思うし会いに行くか」

ということでやってきた!

「あっ!マイク様!やっと見つけました!昨日から姿が見えなくて私がどれだけ心配したか!成人式が近いんですから気をつけてくださいよ!!!」

「あ、ああ。すみません」

「ひぃぃいえええええ!!!そ、そんな、、敬語なんて使わないでください!!きぃやぁあああ!そんなそこまで圧をかけたつもりは!!そんな!そんな気にしないでください!!」

「え、あ、なんかすまん?」

「ウェアあああおおギィあああああ!?」

以下略。やはりこのヒステリックな男はめんどかった。

「まあそんなことは置いといて、今マイクの思い出巡り中なので何かあれば教えてください!」

「は、はい!マイク様はですね、昔から責任感の強いお方でした。自分勝手で私も振り回されてばかりですが、この国を一番愛しているのはマイク様です!マイク様ならこれからも国を任せられます!」

「ブールス、、そんなふうに思ってくれていたんだな、、、」

「え?もしかしてマイク記憶を思い出したの?」

「え、い、いや、いやまだ、だよ?、、、」

「え?記憶?なんのことです?」

「おい二人共、、、」

「「あ」」

「さっき間違えて頭打っちゃって〜」

「さ、流石に冗談ですよね?」

「も、もちろんだ!」

そのまま逃げるようにして三人で憩いの場に逃げてきた。

「どーする。ブールスの話でも記憶戻らなかったよ、、」

「ブールスっていつからマイクに使えてるの?」

「ブールスはマイクが7歳の時からだね。そもそも今ブールスは21歳だからね」

「ブールスって見た目よりも若かったりするよなw」

「そろそろ手詰まりだね」

「んーとりあえず気になってることがあってさ、異世界でのマイク達がどうなってるのかなって」

「どゆことだ?」

「だって火葬とかされてたらこっちのマイクは生きてるのにあっちじゃ絶対生き返られなくなるやん?」

「うーん。今のマイクは異世界と連動してる魂は取り除かれて異世界間を移動できるブレイブさんの魂だけになってる可能性もあると思う。

つまり、あっちの世界ではマイクは生き返ってないのかも。

もしくは、マイクの肉体が復活したのに連動して新しく綺麗な肉体で復活してる説も、、、?」

「でも俺が行くのはまずいよな?」

マイクが生きていることを知ればまたアリカやベースが命を狙ってくる可能性がある。

「うん。マイクはお留守番だね」

「はい」

ってことでアリカとベースは闇落ちマイクの世界にやってきた。

繋がったところはやはり城の下の牢獄だ。

アリカは戦いの後マイクとベースを運んで帰るのに使ったところだ。

思いの外牢獄に収容されてる人は少なかった。

旧マイク派たちが全員罪人になったわけではないようだ。

「とりあえずこっちの世界のアリカ、ベースを探せば今マイクがどうなってるか分かりそうだね」

「とりあえず上がりましょう」

トン、、トン、、

「まって、何か音がするわ」

こそこそ声で近くから物音が聞こえた。

「誰かーーー!助けてクレメンス、、、」

「この通気口からか?」

「助けてあげるわ!今どうなってるの?」

「あ、あの、出られないの!開けて!」

二人は言われるまま通気口を開けてあげた。

狭い通気口から出てきたのは、金色のもふもふとした魔物だった。

「ぎゃっ魔物!?なぜ首都に!?」

「怖い衛兵さんたちにみつかってこの牢獄に閉じ込められて、、、なんとか逃げようとしたら体が引っかかっちゃったンゴ、、、」

不思議な口調がムカつくがこの小さな体ならこっそり異世界のアリカ、ベースの後をつけられそうだ。

「よし、僕たちは君をもといた場所に返してあげるから君はちょっとだけ僕たちを手伝ってくれないかな?」

「いいよ!」

「君はどこからきたの?森?てか名前は!?」

「名前はないンゴ!好きに呼んでクレメンス!ボクは森に帰ればOKだよ!」

「んーじゃあ口調的になんじぇーー」

「うん、却下で!」

「じゃあもふこ!」

「よしそれにしよう」

「えー!?」

もふこは嫌がっているが、とりあえずこの魔物のことはもふこと呼ぶことにした。

「よしもふこいくぞ!出発だ!」

「出発?あなた達こんなところで何をしているのかしら?」

まさかの異世界のアリカ登場!!

「きぃやああ!!何であなたがここに!?」

「い、いや、普通に見回りなんだけど、、、マイクのかたき討ちでもするつもり?今更遅いわよ」

「なんであんなことしたんだよ!!」

(この反応的にマイクがこっちでは復活したことを知らないみたいだな)

「あなたの世界のマイクだってあの時はもうこの世界を征服する気はなくなっていたじゃない!」

「私の父のかたきよ。それに、マイクは殺さなきゃいけなかったし」

「その理由を聞かないと僕たちは納得できないな」

(理由を聞き出そう)

「そーよそーよ!!」

(よく分かんないけどベースがいい感じにしてくれてる!?一旦てきとーに合わせておこう、、)

「ボクは端っこに隠れておこう、、、」

「彼が全属性の魔法を使えるというのは、そもそもこの世界のバグなのよ。だから彼が全属性の魔法を使えるようになった瞬間からこの世界の魔法使いの数は異常なほど増え続け、その威力も、魔物の数も異常に増えていたの」

二人は言葉を失った。一人の存在が世界にそこまで影響を与えるということがあり得るのだろうか。

「実際、彼が死んでから私のようにほとんど人が魔力を失ったわ。でもいいのよ。今までと同じに戻ったの。もう強すぎる力で暴走することもない。ただの日常になったのよ!」

しばしの沈黙が流れる。

「そう、、だったのね、、ねぇベース、全属性の魔法を使えるってそんなに難しいことなの?」

「多分、、、そうなんだと思う。僕が言えるのはこっちの世界では文献上そんな人はたったの一人もいないってことだけだけど」

「そっか、、、」

(ほんとにそうだっけ?なんか、、、)

『君なら私の与えた力を使いこなせるかしら?』

『あなたは一体、、、』

『待って!行かないでよ!アイラ!!なんで僕を置いていくんだよ!!』

『最後に一ついいつけがあるわ。私を探して。そして私の周りの人は殺して。同時にあなたは私のために戦って死になさい』

『何言ってるのか分かんないよ、、、いつもそうだ、、、分かったよ。じゃあ、いつ帰ってくるの?』

『私、情けない男は嫌いなの。もし、成功したら、そのお礼にキスをしてあげるわ。それじゃあね』

(あれ、、、あの力、私が与えたんだよ)

「もういい?あなたたちが血走った目で狙ってくると思ってたけど意外と話が通じてよかったわ」

そう言ってアリカは帰って行った。

「どうする。もう帰るか?とりあえずもふこを返してあげて、、」

「ベース、たす、、」

「なんだ?」

「あれ何これ何が、、、ぁあああっあ、それでだからこれであとは、、、」

「何言ってるんだ?アリカ」

再び目を開けたアリカの顔をいつもより落ち着いているように感じた。

声はいつもより低く、雰囲気はいままでのアリカには見えなかった。

「マイクはいるわ。この世界にね」

「え?何でそんなことが、、?」

「ふーやっと終わったンゴ!!息を潜めるのも大変だったンゴ!!」

「いた」

「「え?」」

アリカはもふこの体をがっちり掴み、その中にある何かを見た。

「早く起きなさい。マイク」

もふこの目がきらりと光ったと思うと、次は体全体が光りだし、その体は徐々にマイクの姿になって行った。

異世界と連動してマイクは再び復活したが、人間の肉体として完全復活するのは難しかった。

結果、近くの魔物の体に受肉して記憶をなくし、魔法の力を失っていた。

「やっと君に会えた。愛してる。アイラ」

マイクがまっすぐアリカの目を見て言った。

キラッ

アリカの目が光ったように感じた。

数秒後にはいつものアリカの顔に戻っていた。

「やったわねベース!これでこのマイクに話を聞けるわ!!」

「え?いや、そうだけど、、」

その瞬間、ベースは謎の危機感が身を包んだ。

これ以上このマイクとアリカを一緒にいさせるのは危険だ。

「危ないよアリカ、帰ろう僕たちの世界に」

「え?ベースどういうこと?」

そういうアリカの手を引っ張り、強引にゲートに入った。後ろは見ずにゲートを出たらすぐにギリギリの魔法を使ってゲートと破壊した。

憩いの場に戻ってきた。

そこにマイクはいなかった。


**********************


時はアリカとベースがゲートに入って行ったすぐ後。

「それにしても暇だよなーー。、、、ベース上手くやってるかな」

いつのまにかマイクは記憶を思い出していた。

しかし、まだ黙っていた。

(俺がお見合いの話をした時、ベースは他のやつとの恋愛は嫌だって言ってたよな)

「それって、アリカだよな」

おもむろに空を見上げる。のどかな風が吹き、草が靡いてほのかに春の香りがする。日がさしてあたたかい一本の木の下が大好きだ。

三人でいるこの場所が好きだ。

「でも、俺はまだ人を愛すとかはできないねぇよ、、、」

ミカのことを考えるとただただ申し訳なかった。

初めから期待させなければ辛い思いもさせないとミカのことを避け続けていた。

そんな自分の汚いところを大好きな二人には見られたくなかったから、二人の前ではミカに優しくしてた。

ただ何も考えない馬鹿で常にポジティブ。元気な次期国王。そんな自分が好きだったし、それを見てくれるみんなが好きだ。

でも、常にそれでいるって無理だ。

俺はお父様みたいなちゃんとした国王になれるのか不安で仕方ない。

周りの人からの期待が重い。

また期待を裏切って憐れまれて馬鹿にされてることに気づいてないふりするのかよ。

なにより、、、

「ああっくっそ」

気付いた時には足を動かして通路を通って裏路地に出てーーー


**********************


「マイクが、、、いない!?」

「どうなってるんだよ!!」

ベースの頭の中はぐちゃぐちゃだった。こんなことは初めてだった。

「なあアリカ、さっきのは何だ?頼むから教えてくれよ!!アイスビーンの時も、マイクがいなくなってるのも。もう隠し事はうんざりだよ!!!」

柄になく叫んで膝をついた。

すっとアリカはベースの頬に手を伸ばした。

「ごめんね」

「え?」

「全く何も思い出せないの。あの瞬間は多分前世の記憶?的なやつが溢れてたんだと思うんだけど、一瞬で何も思い出せなくなっちゃって、、、ほんとなんだよ、、ベースごめん不安にさせて。大丈夫。

とりあえずマイクを探しましょう!」

「うん、!ありがとうアリカ」

そして二人はマイクを探し始めた。

「少し違和感あるけど、暇したマイクがどっかに遊びに行ってる可能性もあるかも」

「確かに?wなら一旦お城だね」

ということで聞き込み開始!

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