記憶を戻すには
果たしてマイクの記憶は戻るのかーー
「それで、マイクの記憶を取り戻すいい作戦はあるの?」
「うん、思い当たってはいる。アリカ、マイクの肉体はまだ憩いの場にあるか?」
「うん!」
「じゃあそこに行こう 龍種のみんなありがとう!」
「「「「「はーい!」」」」」
「ありがとう!」
そう言って二人は記憶を無くしたマイク?を連れて憩いの場に着いた。
「なんか思い出したりする?」
「うーん、、、なんか分かんないけど!ここいいよな!この木の下とか特に!」
そこはいつもマイクが筋トレとかまあ色々やってたところだった。
そこにマイクの遺体もおいてある。
「これが、、、俺?」
「そうだよ、、って!?え!?マイクの体の傷が治ってる!」
「マジで!?ほんとだ!私が治したわけじゃないよ!?なんでかな?」
「多分、マイクの死が確定してないからなのかな?マイクの魂を体に戻せばマイクは復活するわけだから、マイクの肉体は残るのかも」
「確かに龍種の場合もそうなるものね」
「そうなると多分、異世界のマイクも、、、」
おそらく、異世界のアリカが闇落ちとこっちとは違うもう一つの異世界でもマイクを殺しにいっている。
二人は知らない話だが、戦いの最中、アリカがゲートをこれで向かった先はそこだったのだろう。
「マイク、この体に入れそうか?」
「やってみるぜ!」
入るというのも簡単な話ではないように思えるが、魂と肉体は引きつけ合うものだとベースは結論付けた。
「うおおおおおお!!入れたぜ!!!」
「マイク、記憶は戻ったの!!」
「う、い、いや、なにも思い出せないな」
「そうなの、、、」
「なんでだろう。魂が完全に肉体に染み込めてないのかな?」
「てかさ、言語とかは通じる訳じゃん?常識的なのは残るってこと?あと、魂って何?脳の細胞とは別?」
「転生の仕方は人それぞれだったから、きっとマイクはそういうタイプなのかな?魂は人間にある意識を司る部分とは別に存在してるんだと思うよ」
「なるほど、、、!あれ?記憶を無くしたマイク?の肉体が消えていってる!?」
「ほんとだ。マイクの場合、新しい肉体を無から生み出して転生するってことかな」
ベースの頭は澄み切っている。それはあの戦いの後の覚醒からだった。
「他に思い出すには、、?」
「マイクと今までの思い出を振り返ってみるか!僕にもどうすればいいか分からないけど、マイクの魂に刻まれていたほどの記憶なら、思い出す手掛かりになりそうだよね」
「じゃあ、俺は二人の話を聞いて思い出したことがあったらなんでも言うな!」
「そうねー、、まず、私は街で魔法を使っているところをマイクに魔法使いにスカウトされたわ」
「そうなんだな!」
「そして、マイクに連れられたアリカが僕の風邪を治してくれたんだよね」
「そうね!」
「あれ?」
ベースの頭に疑問が浮かんだ。
「僕はその時外出なんて全くしてなかったし、体に悪いことも何もしてなかったのになんで風邪なんかになったんだろ」
「誰かから移ったんじゃね?」
「でも僕が会ってたのは、、、」
(あの時、マイクは確か、、、)
覚醒から今までの記憶全てが鮮明に思い出せ、疑問の全てが透き通って見えた。
「僕の風邪ってマイクから移ってたんだ」
「ええええええ!?俺の弟の病をーとか言ってたくせに!?」
「割とあれきつかったけど、流石のマイクの体で気付かなかったのかな?」
(でも何か。違和感があるような、、)
「その後に龍種たちがやって来てー、、あっ!!常識は思い出してるなら、魔法の感覚は残ってるのかしら?」
マイクも勇者である以上、(今では始まりの勇者だと分かった訳だが)魔法が使えて、確か地魔法が使えたはずだ。
その発端は自我を失いかけたアリカがマイクに無理やり力を与えたと言うことだった。
「魔法!?俺魔法使えんの!」
「そうだよ!なんかできない?」
「うーん、、!!うお!うおおああうっ、、あがっ、」
マイクの声と共に地面が一部少し突き出た。
「おお!魔法の感覚はあるみたいね!」
「う、うがあ、」
「マイクどうしたの?」
「これ、なにこれ、、すごく痛いし、、頭ん中がぐるぐるして、きもちわるい、、」
「マジで!?大丈夫?」
「久しぶりだからかな 水飲むか?」
「ありがとう、、、みんな優しいんだな、、俺、仮にも記憶なくしててお前らのこと覚えてないのに、、」
「そんなの関係ないでしょ!」
「それ。僕たちは記憶の有無関係なく仲間だから」
「確かに、前世で人間に魔法を使えるようにさせる実験は全員力の使いすぎて卒倒してたわね、、。
でもやっぱ不思議ね。仮にもマイクの肉体なのに」
(実験、、、)
「なんでだろう、、、」
(マイクって魔法も使える割には魔法を使いたがらなかったよな、、)
「こんなに良くしてもらってるのに俺は、、、情けない、、、早く記憶を思い出したいな」
(記憶をなくしているとはいえ、マイクの割にバカっぽくないこと言うんだな)
「そういえば、私はシラクスの王女だったのにマイクが複雑な家庭なのかと勘違いしてばれなかったのよね!」
「だからこんな怪しいやつ疑ってなかったのか、、」
(複雑な家庭、、、。確か、マイクってそう言うことにはよく気を使ってたよな)
「ミカさんにも会ってみる?」
「僕たちのこと知らないから、記憶をなくしたことがバレないようにしないとね。大事にはしたくないし」
と言うことで城に住むミカさんに三人で会いにいった。
「ミカさんはマイクの未来の嫁よ!」
「え、!俺の嫁!?うおおおー!!!どんな人なんだろう!」
「こんにちは。あら?マイク様にベース様にアリカさん?」
「こんにちは!」
「え、まって、めっちゃ美人、、!」
マイクがついそんなことを漏らしてしまう。
(初対面じゃないんだから、そんなこと言ったら怪しまれるだろ、、)
「そうかしらね。今日はなんのようかしら?」
「えっと、マイクとの思い出とかある!?ミカさん!」
(マイクとの、、思い出、、、)
初めて見た時からマイクに一目惚れしていた。
そしてマイクの好みの女になれるよう努力をして来た。
そして、マイクの妻として選ばれ、七日後には16歳になったマイクと婚約し、王妃となる。
それは自分にとって何より幸福だったし、一般的に見てもそうなんだろう。
だけど、、、
『ねぇ、マイク様!このドレスどうですか?結婚式で着ましょう!』
『ああ。良んじゃね?』
『もっと何かないの?私はあなたの妻なのですよ?』
『別に妻だが、俺はお前が好きだったから結婚する訳じゃないしな』
『え、、、?』
『当たり前だろ?王になるには相応の家柄の妻が必要になるからだ』
『で、でも、じゃあ、なんで私を選んでくれたのよ!』
『まあ誰でも良かったんだけどな。お前が嫌なら変えてもいいぞ』
その時、どうしようもないほどのマイクへの怒りがミカの心から湧いて来た。
こんな男のために自分の人生は定まってしまうのか。
そして何より憎らしいのは、、、
『俺の未来の嫁な!』
『めっちゃ美人、、』
(どうしてこの女の前でだけ私に優しくするのよ!!)
そしてそのアリカはのこのことマイクと一緒にやって来てはマイクとの思い出を聞いて来た。
(あの男を問い詰めてやる、、!)
「ちょっとマイクと二人にきりになれる?」
「え、」
(やばい、こんなこと言われるなんて想定外だ、、!)
「いいよ」
ベースが答える。
(多少勘づかれてもミカさんならなんとかなるし、今はマイクの記憶を取り戻すのが最優先だ)
そうして、二人はミカの部屋へ入っていった。
「な、なんで二人きりになったんだ?」
「あなたは、、!私のこと、、、愛してくれるの!?」
「え?」
「私の人生はあなたのものじゃない!!あなたの妻になるとしたら、それは私の選択でなければならないの!」
「夫婦だからと言って愛し合わなくちゃならないわけじゃない」
マイクはそう答える。思い出していたのだろうか。
多少の記憶を。
「私はあなたが嫌いよ。でも嫌いになってしまったら、この先の私の人生はもう、、、」
「ごめん、、、俺は、、」
「ねぇーまだー??」
外からアリカが聞いた。
「お、おう、もう終わったぜ!じゃあな!」
(何を言いかけたのよ、、)
そして、マイクは部屋を後にしアリカたちと合流した。
「どう?なんか思い出した?」
「んー、、いやー、、曖昧に?」
「おお!よかったわ!」
「どんな話をしたんだ?」
「ま、夫婦としての話よな!」
「うおおおおお!!」
「でもまずいな、あと七日でマイクは王になるから、それまでには記憶を取り戻さないとだ」
「七日後に盛大なパーティーがあるのよね!」
「、、、なあ、、もしその時まで俺が記憶を取り戻せなかったら、どうなる?」
「まあ、大丈夫。その時は僕が上手く手配するよ。でもやっぱ記憶を取り戻してほしいかな。まあ、その、親友としても」
「そうね!!」
(親友、、、そうだ俺は)
「うっ、!」
マイクが頭をおさえてうめき出した。
「大丈夫か?」
「まさか記憶が!?」
「くっ、あ、、、」
「どうしたの?」
「ちょっと記憶を思い出した、、、かも?」
「どんな記憶だ?」
細かなことは何も分からない。でも、、一つあったのはーー
「ずっと、、、辛かった気がする」
「え、、、?」
「どんなことが?」
「分からない、、、けど、、いや、なんか、これは、言っちゃダメだ」
(俺はこれをずっと隠してた。バレないように。多分、これを言ったら後でずっとややこしくなる)
「っなんてな!!そんなこと全くなかったぜ!記憶はまだちょっとだが、俺ならなんとかなるだろ!!」
ハハッとマイクは笑って見せた。
「そう、、、だね」
(そう言えば、、マイクと学芸会やった時に)
『俺、主役やるんだぜ!!』
『ええ!すご!僕は木の役、、、』
『本番まで楽しみにしてろよな!』
マイクが演じたのは陽気で強い主人公だった。演技の山場は物語の最後、ヒロインが重症を負い、死んでしまうところだろう。
『ごめんね、あなた。私が死んだ後も、ね?あなたなら楽しんで生きていけるわ』
『バカなこと言ってんじゃねぇ!!お前が死んだら俺は、、、』
その時、マイクである主人公の目から涙がこぼれ落ちる。
その後、主人公は泣きじゃくり、ヒロインは命を落として終わりだ。
流石の手の込んだ台本だが、作者はクラスメイトのフレインだった。
そして何より衝撃的だったのはマイクがその役を上手く演じ切ったことだった。なんの違和感も感じず、観客ももらい泣きをするほどにマイクの演技は素晴らしかった。
その演技を見たことで関わりのなかったクラスメイトもマイクの良さに気付いたように思えた。
(そういえば、演技以外でマイクが泣いたこと、、僕は見たことあるっけ)
しかし、その後も思い出を巡るが、マイクの記憶は戻らず、マイクが王になるまで残り二日となった。
「そろそろやばいな」
「そうね、、」
「そうだよな、、、俺、なんとか思い出さないと、、」
「そういえば、俺のお母さんとかいないのか?お前らとミカさんに会って母親に会わないのおかしくね?」
(そうね、、、私も薄々気付いてたけど、ベースが会わせないってことは何かしらの理由があると思うのよね、、)
「そうだね。会ってみるか」
「いいの!?」
「まあ、、うん。マイクは自分の親のこと話したがらなかったから、心配ではあるんだけどね、、」
(まあ、僕の親がやばかっただけで深読みし過ぎな気もするけど)
「じゃあ行こうぜ!」
そして、マイクの親が住む離宮に着いた。
「マ、マイク様にベース様っ!?い、今レーナ皇太后様をお呼びします!」
タッタッタッと従者は駆けていき、少ししてレーナが出て来た。
「はぁーい!レーナですー」
そう言って出て来たのは身体中に宝石を散りばめ、肌の露出が結構多い服を着た美女だった。
「うわあ、めっちゃ美女や」
ミカさんは質素な清楚系だが、こっちはいわゆるめっちゃエロい美しさだった。
「レーナさん、俺そろそろここでー」
そう言って後ろからやって来たのはどこかの貴族の男だった。
「そうね。今日はありがとう」
そして、レーナはその男にキスをする。
男はめっちゃ顔を赤ながら出て行った。
(これあれか、男取っ替え引っ替え系か)
貴族の中ではよくあることだ。だが、レーナはマイクの母でもあるはずなのに。
「今、マイクの王になる祝いにみんなでマイクの思い出巡りをしてるんです。なんかマイクとの思い出ありますか?」
(流石ベース!誤魔化すのが上手いわ!)
「そうねぇ。この子のおかげで私も好き勝手遊べてるわけだしねぇ」
チュっとレーナはマイクにキスをした。
「じゃあね。子供のお遊びはここまでよん」
三人はそこを立ち去った。
「すげえ人だったな」
「僕、気になるとこあるから、二人は先帰ってて!」
「「分かった!」」
そして二人と別れた後、ベースはレーナの従者に会いに行った。
「レーナさんはいつもこんな感じなんですか?」
「はい」
「ここにマイクがいた時も?」
マイクは小さい時は離宮でレーナに育てられていた、という話だったはずだ。
「はい。そうですね、、、」
「じゃあ、小さい時にマイクを育てたのは誰ですか?」
「、、、、、特には、、、ダンラ様が帰国された時に少し、、、」
ベースは強い怒りを抱いた。
そんなの、育児放棄の変わらない。
マイクやベースの父であるダンラは戦争中のアーベルカ王国でいつも戦いのため遠くに行っていた。
この城に戻るときなんか一年に数日だ。
だからこそ、ベースもマイクもダンラの死をすぐに受け入れられた。と思っていた。
しかし、マイクにとって育ての親がダンラしかいなかったのなら、、、?いやそもそも、
それを知っているのならなぜ、この従者は何もしなかったのだろうか。
その心を読むようにその男は続けた。
「マイク様は王とはそういうものだと割り切っていらしたように思えます」
マイクにとって王とは、夫婦で愛し合うものでもなく子供を育てるものでもなかったのだろう。
(マイクはそういう環境で育って来たんだ、、それなのに僕はマイクは当たり前に平等に愛されて来たんだと勘違いしてた、、
マイクはよく「王として」という言葉をよく使っていた)
「でも確かに、、、初めの頃は、と言っても五歳くらいまでですが、確かにマイク様は私に笑顔を見せたことはなかったですね。そう、、確か五歳のとき、急に笑顔を見せるようになって、あのマイク様の性格ができたように思えます」
その後、マイクは貴族学校にも通うようになり、ベースと出会うことになる。
果たしてマイクの記憶は戻るのだろうか、、、
投稿頻度が遅くなってしまいすみません!




