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どうする

「カハッ、、すまん、これはやばそうだ」

「何言ってるの、、、?何が、、、!?」

ベースはマイクをまっすぐ見て震えながら一言も発しない。

マイクは二人に手を置いて、

「アリカ、、、きっとベースがなんとかしてくれる、、、だから、それまでベースを頼んだ」

と言った。

返事をするより先にマイクは目を閉じた。

そして、徐々に手は冷たくなった。

二人が動けなかったのは異世界のマイクの雷魔法を食らったからだけではない。

マイクが死んだ。そのことがひしひしと感じられた。

「ベース、、、」

そう言って、アリカはベースの方を見た。

ベースは、、、

(どうしてもっと早く気づかなかった?もっと、、!いや、マイクは死んだのか?死んだ?それじゃあ僕はこれから何のために生きる?マイクが死んだら王国はどうなる?マイクには妻もいるのに?僕は?何を、、、どうして、、、!!!)

「うああああああああ」

ベースは絶叫した。

アリカは焦る頭の片隅で、いつの日かにベースが『マイクのいない世界に僕の生きる意義なんてない』と言っていたな、と思った。

「ちょっと、大丈夫なの?」

「ねえ、、、アリカ、、、僕はどうしたらいい?」

その時ベースは世界一情けない顔をしていたと思う。

頭のいいベースだからこそ分かった。

マイクは王族。しかも唯一の純血の王族だ。

マイクが死んだらアーベルカ王国は勇者の力を失うことになる。

王族という圧倒的な存在がいなくなれば、国が滅びる。

いや、そんなことよりも。

生きる理由などなかった自分は、マイクと一緒に生きていくことを生きる意義にした。

じゃあ、僕はこれから何のために?

バチャ

頭に水がかかった気がして、アリカを見上げた。

「んー!!!もう!!!」

(マイク、私も信じてる。ベースが何とかしてくれるって!!だから、、、)

「一旦頭冷やしなさいよ!!」

アリカの手から水が湧き、ベースの顔をビチャビチャ濡らす。

「頭を、、、冷やす、、」

思い出すのはマイクとの記憶。

そうだった。

ベースが母親を探しに腹違いの弟にあった帰り、マイクはこう言っていた。

『俺たちは生まれ変わっても親友だからな!』

(生まれ、、、変わっても、、)

無論、マイクはこの言葉を深い意味を持って発したわけではない。ただの言葉の綾に過ぎなかっただろう。だが、ベースは思い出した。それはベースが答えに気付いたからなのだ。

「僕とマイクが始まりの勇者だとしたら、、、」

(共感覚がひどくなかったのは、アリカだけなら、重複する普通の肉体に重複しない始まりの龍種の魂を乗せることで、異世界を自由に動けつつ、なおかつ、共感覚という弊害も起こらないのだと説明がついた。

そして、その場合、僕たちは、、初まりの勇者、つまり、ブレイブ=アーベルカ本人で、

記憶を無くして転生した存在だということになる)

ここで僕たちと言ったのは、

おそらく、アーベルカさんが頭脳部分をベース、肉体部分をマイクに転生していると考えられるからだ。

「その場合、、、マイクはまだ!生きてる!!」

「え?!?」

「思いついたよ」

「やったわ!!」

(なんだ?体の奥からいろんな力が、、、)

だが、その作戦とやらをいう前にベースは気を失ってしまった。

雷魔法が直撃していたことと、そして、この新しいベースの覚醒によってだ。

「えー、、まあ、とりあえず良かったわ、、!」

アリカはベースとマイクを担いで自分たちの世界へ戻り、憩いの場にいった。

マイクはきっと生き返るが、今死んでいるということがバレたら王国がパニックになりそうなので、こっそり運んだ。

「う、うう、、、」

ベースが時折呻き声をあげる。そして、、、

「アリカ、、、好きだ」

「え?」

このことをベースは知らない。


**********************


「やっと起きたわね!早く作戦を教えてちょうだい!」

ベースが目を覚ますと、ヒールをしているアリカと目が合う。

「あれから一日でまたヒールを切り替えられたわ」

隣にはマイクもいるが、、、

「マイクは今はもう無理そう、、でも!どうにかなるのよね?」

「うん。マイクはこの世界のどこかに転生してる

マイクと僕は始まりの勇者だ」

ベースの頭はこれ以上ないはど澄み切っていた。

「えええええ!?」

「とりあえず、転生とはどういうことか、聞きに行こう」

始まりの勇者、龍種のみ転生を繰り返し、魂は残り続ける。

二人が始まりの勇者と分かった今、マイクもどこかに転生した可能性が高いのだ。そこで、転生について詳しく情報を探す必要があった。

「じゃあ、龍種のみんなに聞きにいきましょー!」

と、いうことで、、、転生経験のある、トーグ、セリステ、デイ、ウェジラータ、アリカに話を聞くと、

「僕は前回の転生の記憶を引き継いだまま、全く脈絡のない、別の世界の赤ちゃんになってたよ」

「僕は、ちょうど今の僕のこの見た目でどこかの世界に湧いてた」

「ミーは記憶はほとんどナッシング!このクレイジーな言語はありますがねー!」

「私は一つの世界で死なずに生きていましたね」

「私もよく覚えてない!最近色々思い出してるけど、、!あ、あと、、、」

アリカは最近しか記憶がないことをベースに伝えようとする。

しかし、何かの記憶が、それを拒んだ。

「あと、、?」

「いや、何でもない!」

「じゃあ、みんなありがとう。これから分かることは、多分、転生の法則は人によってランダムなんだ。だから、マイクがどのパターンかは分からない。けど、ライさん、魂の感知でどこまで分かりますか?」

「どの世界にいるかまでだ」

ライが感知しやすいのは兄弟や、龍種の魂なのだ。

「お願いします」

「おおよ!うーんと、、、!」

ライが顔を伏せる。集中しているのが分かった。

「いた!!!この俺たちが今いる世界だぞ!!」

マイクが三人の世界に転生したのはたまたまではない。

マイクの強い意志、それは魂に深く刻まれていた。

「よし!!!」

「でも、これからどうやってマイクを探し出すの?」

マイクの魂が残っていることが何よりもの朗報だが、これから記憶が残っているかすらもわからないマイクをどうやって見つけるのだろうか。

「僕たちはブレイブ=アーベルカが二つに分かれて転生した姿だった。つまり、もとは一人の人間なんだ。そして、ウェジラータと戦った後、僕たちの魂をアリカにあげただろう?」

「あっ!!確かに!!」

そういえば、『ちょっと 私も魂使いすぎてヤバいんだけど!!』というアリカに戦いが終わった後、二人は簡単に魂を分け与えた。

無論、ここで与えた魂は人格形成に関わるところではなく、ただのエネルギーとしての魂ではある。だが、

「つまり、もう僕たち三人は同じ魂を共有しているんだよ

そして、同じ魂はきっと引きつけ合うはずだ」

「なら、、、!」

「あー!こんにちは!ここどこか分かんないけど!困ってまーす!俺マイゴーで助けてくださーい!」

「だ、誰?」

そこにいたのは古びたフードを被ったよく分からない青年だった。

「もしかして、、、、ここ最近しか記憶がないとか、、?」

「そうなんすよ!自分が何なのか全く忘れちゃってー!でもなんか安心するなあ、!!人肌が恋しくなっちゃったりなんてね!」

「え、もしかして、この人、、、!」

「マイクか?」

「え?誰っすか?俺そんな人知らないっすよ!!」

「こんなチャラついたやつが僕たちの優しいマイクなのか!?」

「え?」

アリカはベースの方を見るが、どうやら素で言っているようだ。

(ブラコン度合いが増してる、、??)

二人に合わせて貰えば二人は親友なので、どちらかというとフレコンがより一層増しているようだ。

「どうやって記憶を思い出させればいいんだ、、、?」

そんなこんなで二人はその怪しげなマイク?の記憶を取り戻すことにした。

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