三人組の来訪
「協力者が見つかっただと……?」
「うん!」
その日の成果を伝えると、メルは疑り深い目で見てきた。
「ダンス部に入ってた人たちだよ。三人とも暇だから協力してくれるって」
「女か?」
「えっ」
「女かと聞いているんだ」
「え、うん。三人とも女……だけど?」
「ちっ」
正直に言うとメルはどこか不機嫌そうに俺の部屋のベッドの上に寝っ転がる。前回からメルト俺の定位置が逆転し、メルがベッドに腰掛けて俺が学習机の椅子に座るように変化した。
メルが何故かベッドの方に来たがるので仕方がない。
「ねぇ、今はいいけど……この後その例の三人組にここへ来てもらう予定なんだから、その時はダラッとしないでよ?」
「あん? また部屋に女を連れ込む気か?」
「い、いや、人聞きが悪いな……別にそんなつもりはないのに」
「お前になくても向こうにはあるかもしれないだろう。っていうか、そうだ……その三人にはお前の体の秘密についてはもう話したのか?」
「いや、まだだけど……やっぱり言った方がいいかな? 後で隠してたってバレたらやっかいだし」
「いや、話すな」
「え? 何で?」
「何でもだ。いいな?」
「わ、分かったけど……な、なんでそこまで?」
「こっちの都合だ。ライバルは少ない方がいいからな」
「はぁ……?」
「……ったく、相変わらず鈍いヤツだな。そんなんで女子三人の相手なんてできるのか?」
「う、言われてみると自信無くなってきたかも……そもそも女友達も少ないし、何から話していいやら……」
「ふむ、やっぱりお前には女性に対する免疫が必要のようだな。ほら、こっち来いっ」
「ちょ……うわぁっ!」
寝っ転がりながら「起こして」と言わんばかりに伸ばされたメルの両手をつかむと同時に引きずりこまれる。
ベッドの上で今度はメルが下敷きになってこちらが覆い被さる形になった。とっさにメルの顔の横に手をつくが、目が合って顔が赤くなったのを隠せない。
「ウブなやつ。……でもそういうところがいいんだよな」
「な、何を言ってるの?」
「知りたいか? ……いっそ気づかせてやろうか?」
メルの手が頬に添えられ、ゆっくりと顔の方に引き寄せられる。無言で顔が近づくたびに心臓の音がどんどん大きくなっていく。
そして次の瞬間ーーーー。
「ふぃーー……外暑かったぁ。ウチだけ早くついてもうたわぁ……って………………えっ」
あっ、このシチュエーション前にもあったような。
現実に思考が追いつかず、マズイ体制のまま固まる。そんな状況でもメルは何故か見せつけるように誇らしげな表情をしていた。
「あっ、いやっ、こ、これは、その……」
「う、ウチは何も見てません! し、失礼しましたぁ…………ッ!」
ギィ……バタンッ!!
母さんの時と違って思いのほか大きな音がした。
マズイ、どうしよう。
変なところを見られてしまった。
今更になって冷や汗が滝のように背中をはじめる。
「お、追いかけてくる……!」
「おう。頑張れ。いってら」
何も同じた様子のないメルを部屋に残し、俺は逃げた子を全力で追いかけた。