「ミク」の初登校
「おはよ〜〜、ミク君〜〜」
「え、うそ、あれが噂の……！？」
「きゃ〜〜♡ 可愛いじゃ〜〜ん♡♡！」
「よぉ、ミク！」
「病気だって、おい？ 大丈夫かよ？」
「つーかチビくね？」
「えっ、でも、可愛い……ッ！」
ざわざわざわざわ……。
「うぅ……恥ずかしい……目立ちたくないよぅ……」
「もう、ビビんなって。シャキッとしろ……！」
「きゃ、きゃぁん……ッ！？」
パァン！！
どさくさに紛れてメルにお尻をぶたれた。
ノリが男子の時のまんまだ。
「おい今の、聞いたか……？」
「『きゃぁん』……だってさ！」
「いや真似すんなよ、キッツいわ」
「おいおい、ミクイジメんなよ！ 可哀想だろ！」
「いやキッツいのはお前の真似の方な」
「…………えっ？」
「うぅ……やっぱりみんな噂してるよ……恥ずかしい……」
「だからシャキッとしろっ、つってんだろ！ あーーもう、イライラする！」
「え、い、いや、そこまで言わなくても……！？」
いつまで経っても騒ぎは収まらない。
しかし、メルだけはいつもと同じ態度だった。
それが何だか、ありがたいような……。
ありがたくないような……。
◇◇◇
「あの二人、今の見た目だと何か絵になるよな？」
「分かる。姫宮は元々アイドルっぽいし」
「ミクは違う意味で今、アイドルだな……」
「きなーーっ、ミク君ちっちゃくて可愛い〜〜♡」
「ペットみた〜〜い♡」
「いっそ飼いた〜〜い！！♡」
「えっ、それはちょっと……」
「アンタ、けっこう趣味やばい子だったんだけ……」
「…………あれ、ちょっとみんな？ 引かないで！？」
「そんなに自信がないならアイドルでもやってみる？」
「へ？ アイドル？」
放課後、不意にメルに言われて振り返る。
そういえばメルは昔アイドルになりたいとか言ってたっけな。
「そうだ、どうせアンタいつも暇でしょ？ どうせ女の子になったなら付き合いなさいよ！ アイドルになるという私の野望に……っ！」
「え、ちょ、どこに連れてく気〜〜ッ！？」
されるがままメルに手を引かれて走り出す。
このとき俺は、まだメルの真意に気づいていなかった。
◇◇◇
「ま、こんなことでも気休めになりゃぁいいっしょ。大丈夫だよ、ミク……何があっても、私だけはアンタを守るから……」
早くも感想をくれた人や、ポイントやブクマをくれた人がいました！
応援ありがとう！
嬉しい……！
すっっごく励まされてます…………！
（次回、ようやく初ステージ……？）
