幼馴染にバレた
前回のあらすじ
・変なアプリいじってたら合法ロリになった
・戻れなくなった
・幼馴染に見られた
「ハァ……ハァ……苦しかった……」
「え、お前、なんか表情エロくね?」
「最低だよ……」
終わってる会話を交わしつつ、メルは上からどいてくれた。
「実は……こういう事情で」
「へぇ、スマホアプリねぇ。ところで今の体は隅々まで完全に女になってるわけ?」
「え、いや、まだ確かめてはいないけど……?」
「病院に行く前に確かめた方がよくね?」
「えっ」
「脱ぎなさい」
「えっ、ちょっと、待……っ」
「脱ぎなさいよ。お母さんに確認されるのとどっちがマシなの? ハイ、ごー、よん、さん、にー……」
「え……ええーーーーーーッ!?」
う、うわぁーーーー!!
せかすなぁーーーー!!
「……いち、うわ、冗談なのにマジで脱ぐとは……」
「ひ、ひぃーーーーーーーーーんッ!?」
え、じょ、冗談なの……!?
みっ、見ないでぇええええーーーーーー!?!?
◇◇◇
その後、アホなやり取りを終えた後、俺は両親に経緯を説明した後に病院に連れて行かれた。
その結果、原因は不明と言われ、例のアプリの実在も信じてもらえなかった。
その翌日。
「ま、元気出しなさいって、別に死ぬわけじゃないんだから大丈夫っしょ?♪」
「う、うぅっ……そうは言ってもさぁ…………!」
「お、姫宮さん。おはよう」
「あれ、そっちのってまさか……」
「えっ、ウソ、ミク……!?」
「噂には聞いてたけど、本当だったなんて……!」
がやがやがや……。
「うぅ、恥ずかしいぃ……見ないでぇ……」
通学路で同級生たちに見られるたびにピクリと肩を振るわせる。
制服もメルのを借りてスカートなのだ。
…………って、おい、噂って何だよ??
「あ、バレちゃった? 実はクラスの子達にもう携帯で画像送っちゃったんだよね。いいっしょ? どうせすぐにバレるし、原因は謎の病気だって説明しといたから」
「えっ、なっ、ちょっと勝手に……!?」
「は? 私に逆らうの? この場でスカートめくりしてやってもいいんだけど?」
「い、いや、ごめん、何でもないです……」
見ての通りメルは昔からかなり粗暴な性格をしている。それでも周囲に友達が多いのはメルが絶世の美少女だからだ。
目鼻立ちのくっきりとした顔立ち。
小顔でスラリとした体型。
今時っぽいナチュラルメイク。
俺はメルより可愛い子を生まれてこの方見たことがない。メルが美人なのは自他ともに認める事実であり、そのことは素晴らしいのだが……。
隠しきれない問題点が一つ……。
「へぇ、あれが今のミク君なんだぁ……」
「てかさぁ、ちょっと本気で可愛くない……?」
「わかる、実は私もそう思ってた……!」
「マジでちょっとイケてるよね〜〜……」
「チッ」
「ひぃ……っ!!」
「あれ、今誰か舌打ちしなかった……?」
「気のせいじゃない……?」
「そっか、気のせいか……ビックリしたぁ……」
「……みんなアタシ以外を褒めやがって、アタシが一番可愛いっての……クソ……ッ」
こ、怖すぎる……!
このようにメルは幼い頃から自己愛が強く、目の前で自分以外を褒められるとすこぶる機嫌が悪くなる。その本性を隠すために人を近寄らせることがなく、身近に置くのも幼馴染の俺しかいない。
「……はぁ、気分悪っ。でもま、いっか。だってアタシには、下僕のアンタがいるもん。昔言ってたもんね。『メルちゃんのためなら何でもできる』って」
「そ、それはもう忘れてよ……」
よみがえる記憶……。
メルの本性を知らずに小学生の頃に告白し、見事に地雷を踏み抜いた思い出……知らなかった、まさかこんなにヤバい奴だったなんて……。
「……あ、忘れてた。話変わるけど、みんなに送った写真って何……? いつ撮ったの……?」
「あー、これ。アンタが目回してる時に撮ったやつ」
何やらスマホのホーム画面を見せられる。
するとそこには壁紙に設定された目を回して倒れている俺の画像が……!
「え、ちょっ……ッ!?」
「何かエロいと思って撮っちった。あの時のアンタ目ぇ上向いて舌出して、顔も真っ赤でさぁ……」
「う、うるさい! もぅ……恥ずかしいよぅ……!」
にわかに学校に着いてから教室に入るのが怖くなってきた。
「心配すんなって。アタシが着いてるじゃん」
ぎゅ。
不意に手を握られてドキッとする。
ずるいなぁ、メルは……。こうやって笑いかけられたら昔からみんな許しちゃうんだからさぁ……。
「なぁ、あいつら……」
「さっきから何か見つめ合ってないか……?」
「な、何か見てはいけないものを見た感覚が……っ」
ざわざわざわざわ……!
あれ、周囲が何か騒がしいな……?
ざわめきの中、俺たちは学校へと向かった。