8話 わかりやすい悪役
「くそっ!!!」
魔道列車の特等席で、魔術学園サラディウスの理事長カディナの息子マークはそこにあった備品を蹴飛ばした。ガラガラと荷物もまとめて列車の個室に散乱する。
ピンク髪の可愛い好みの女がいたから連れて来ようと思ったのに、平民の女に邪魔された。しかも魔術師学園サラディウス一の優秀なはずのマークが魔力返しであっけなく吹き飛ばされたなど、恥以外の何物でもない。
「あの女二人、サラディウスの学園の制服を着ていた!
すぐに調べてCクラスに落としておけ!!!!」
と、側にいた学園の教師に命令すれば、「は、はっ」と教師が頭を下げる。
本来、各国から魔王復活に備えて精鋭を育てるためにと資金援助を受けているサラディウスでそのような不正は許されないはずなのだが、マークの母カディナが理事長になってからは、不正が横行している。
本来サラディウスは入学時、テストを受けて優秀な成績順にクラス分けが行われる。
SSクラスからCクラスまであり、マークが個人的に気に入らないという理由だけで、優秀な生徒も最下位のCクラスにできるのだ。
「あの女二人!!覚えていろよ!!Cクラスにして即刻退学にさせてやるっ!!!
僕のママに頼めばあんなやつらすぐに退学だっ!!!」
そう言ってマークは怪しい笑みを浮かべるのだった。











