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69話 最終話(俺たちの戦いはこれからだ!)

 こんにちは。エルフの大賢者と呼ばれているファンバード・ラッドウェルです。

 セレス様のパリピになりたいと言う言葉をヒントに、私なりにパリピを調べ、今日という舞台のために慣れないパリピのための特訓と準備をしてきました。


 それというのも闇の力を持つセレス様にお近づきになるためだったのですが……。


 古代の文献を読み漁り、パリピを調べ上げ、間違いなくパーティーピープルを演出したつもりでした。


 そして盛り上がる会場で、何とかパリピを演出できたと安心してセレス様の方を見てみれば……。


 プルプルと震え若干青ざめながら泣きべそになっています。


 


 ……。



 ………。




 ……終わりました。



 はい。どうやらしてはいけない失敗をしたようです。


 生を受けて1200年。光神セシウス様に魔王討伐の使命を託され1000年。

 これまで何度か魔王討伐のために勇者を選定し、魔王を倒してまいりました。


 ですがその使命が全うするのはもう無理なようです。

 よく人間の勇者様に、貴方は少しずれていると言われたことがありますが、今回その「ずれ」が最悪の形ででてしまったのでしょう。


 セレス様の望むパリピを演出したつもりが、まったく反対の結果となってしまいました。


 私はどうやらパリピの意味を勘違いしていたのかもしれません。


 プルプルと震える少女を、聖王が保護してテレポートで消えたところで私は会場のみなの睡眠状態を解きます。これで会場の人達の記憶もあいまいになっているはずですが……。


 いまのうち遺書を用意しておくべきかもしれません……。


 私は一人会場でがくりとうなだれるのでした。



 ■□■




「なんだかあっという間だったね」


 模擬戦が終わって数日、アリーシャと誰もいない教室で並んで手をつないで、教室を眺めています。


 こんにちは。ホテルに戻るなりエルフの大賢者に「申し訳ございませんでした!」と、全力の土下座をされた、究極陰キャのセレスティア・ラル・シャンデール(10歳)です。


 どうもいろいろ行き違いがあったらしく、私がマークの隠密だと思って、少しでも近づくと威圧を飛ばして追い払っていたのがエルフの大賢者だったらしいのです。


 会ってすらもらえない → 手紙を書こうに魔族側か人間側かわからない → 木札にパリピになりたいって書いてあったか叶えたら会ってもらえるかも! → 模擬戦時実行



 という事なのです。

 願いをかなえてくれようとしたのはありがたいですが、迷惑な事この上ありません。


 そうです、忘れてました。

 このエルフの大賢者、普段は人間界から隔離されて魔王が復活するまではひたすら神の知識の館で本を読みふける生活を送っている、私以上のザ・ボッチです。ボッチ歴でいえば、私が下級ボッチならエルフの大賢者はキング・オブ・ボッチなのです。

 ゲームでもなんでも知っている知識君としては活躍してましたが、一般会話にはあまり入ってこなかった気がします。


 おしゃべりキャラに、「大賢者様はあまりしゃべらないな」と突っ込まれて、「人間の様子を観察しているだけで楽しいです」と笑顔で答えて若干引かれていたイベントがあった気がします。


 今回のパリピ騒動も陰キャ特有の間違った方向での気遣いが一番最悪な形で出てしまったのでしょう。

 私もよくある事なので怒る気にもなれず、こちらもマークの護衛と決めつけて追い払ってしまった事を詫びました。


 結局エルフの賢者は父と話し合ったあと、とりあえず今は様子をみさせていただきますと去っていきました。

 特に私に対して詮索はなかったのでよしとします。

 会場の人たちも魅了状態だったらしく、私が勇者認定されたという記憶は消えているらしいので安心です。


 アリーシャ達も魅了にかかっていたらしく記憶がありませんでした。

 流石エルフの大賢者です。

 ただ、エルフの大賢者の魅了がフレンドsにかかってしまったということは私の結界が不十分だったと認識もさせられましたが……。

 エルフの大賢者に言わせると、魅了がなくても私を勇者だと思っているので、少しの誘導で魅了にかかってしまったのでしょうと言っていました。

 悪意のない魅了は弾けないようなのであとで改良しておかねばなりません。

 父を酸欠にしようとした魔族といい、こちらの予想を超えた事をしてくる事もあるので、結界だけに頼らず個人個人の能力を上げる必要があるでしょう。


 決して私が馬鹿なのではなく、相手が上手なだけです。

 そう!そうに違いありません!……たぶん。



 いま学園は、理事長たちの不正を徹底調査するため臨時休校になっております。

 理事長たちは学園をかなり私物化してたらしく厳しく罰せられると聞きました。

 もちろん私に罪をきせようとしたマークもです。

 学園は二ケ月ほど休校になり、教師陣などは一新することになっています。


 私たちはというと……寂しいですが学園は辞めることになりました。


 もともとクライム君とジャンは不正を暴くためにここにきたので、不正を暴いた時点で学園を去る予定でしたし、私もまだ四天王が二匹残っているため父や母たちが心配なので聖王国に帰りたいと思います。今回の父がピンチになったような失敗はもうおかしたくありません。

 そのためみんな揃って仲良く聖王国の学園に移動することになりました。

 もともとサラディウスがレベルの低く生まれた子達用の学園だとすれば、聖王国の学園は生まれつきレベルの高い子が行く学園です。


 すでにレベルが200になっているリカルドもリーチェもお給料のいいところに就職したい!いい学校なら喜んでいく!とそちらに行くことを了承してくれました。


 アリーシャも叔父さんと一緒に住めるので聖王国に来てくれます。


 場所は移ってしまいますが、みんな一緒です。


「でも、これからも一緒」


 私が微笑めばアリーシャも微笑んで「うんっ」と嬉しそうに笑ってくれました。


「あ、いたいたー!セレスちゃんにアリーシャ!!」


 と、私とアリーシャが手をつないで教室を見ていたら、トコトコとリーチェが寄ってきました。


「リーチェ?」


「クライムとジャンが今日家に帰るらしいから、みんなで写真とっておこう!

 クライムが写真とれる魔道具もってるんだって!」


「それは素晴らしい考えです!」


 よくよく考えれば私はファミリーsとしか写真を撮ったことがない事に気づきます。

 嬉恥ずかし始めてのフレンドsとの集合写真!

 現像してもらったら額縁に飾って毎日拝みたいと思います。

 ここはやはり、観賞用・持ち歩き用・自慢用・保存用・もっと保存用・限りなく保存用と最低でも6枚現像してもらう必要があるでしょう。

 保存用には核爆発でも耐えられるほどの強固な保護魔法をかけておかないと。


 三人で仲良く広場に行けば


「おーい!セレスはやく!」


「セレス様こちらです」


「お待ちしておりました」


 と、待っていてくれた男子s。セディスや護衛s達もなにやら写真を撮る準備をしてくれています。

 女子三人で仲良く手をつなぎながら私はその場に向かい私は思います。


 多分私は普通ではなくて。

 きっとこれからもみんなに迷惑をかけてしまう事があるかもしれません。


 それでもここにいてくれるフレンドs達は--見捨てる事も、恐れる事もしないで一緒に歩んでくれる子たちだと思います。


 皆それぞれ違いこそあれど、とてもいい子達です。


 大事な家族も友達もいて、怒りながらも見守ってくれる人がいて――私は望んだすべてを今手に入れられています。

 きっと私は世界で一番幸せです。




 ――どうか、君の未来に幸あらんことを――




 どこからか聞きなれた声が聞こえた気がして私は振り返りました。

 聞きなれている声なのにとてもとても懐かしく感じてしまう声。



「セレスちゃん?」


 急に立ち止まってしまった私にアリーシャが不思議そうに声をかけてきます。


「いえ、何でもありません」


 そういって、アリーシャの手をもう一度よく握り歩きだします。

 何故ループしたのか。『私』は一体何なのか、それは今でもよくわかりません。


 ですが、それが何だというのでしょう。

 大事なのは今で、今ある事を全力で守っていければそれでいいではありませんか。


 私は今とても幸せです。

 だから心配しないでください。


 私はもう二度と大事なものを失ったりしません。


 私にはそれだけの力と――守ってくれ、支えてる人たちがいますから。

 だから安心してくださいね。


 この幸せを、皆を、大事な人々を守ってみせます。絶対に。




~終わり~

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