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60話 『私』

 こんにちは。テレポートでシリウスについてみれば、父が魔族に囲まれていて倒れていて、怒りゲージMAXのセレスティア・ラル・シャンデール(10歳)です。

 私に抱き着いたセディスも何やら言っていますが正直声が耳に入ってきません。


 現場につき、筋肉質なオカマ魔族と対峙している父を見て、私は『過去』を思い出しました。


 そうです。

 父はあのオカマに殺されたのです。


 聖王国が襲撃を受けたあの日。

 父は私達を安全な神々の結界にはられた秘密の地下室に逃がすと、「必ず戻るから」と笑って魔族を相手に戦いに行ってしまいました。


 そして妊娠した母と兄アレス、そしてセディスと地下室で待っていれば……確かに父は戻ってきました。


 あのオカマ魔族に殺されて、首だけの状態で。

 父の首を持ったオカマ魔族が神々の結界を破って私たちの前に現れたのです。


 今でも思い出します――首を切られてこと切れた父の苦痛に満ちた表情を。


 私達を守る事ができず死んでいった父は――どれだけ無念だったでしょう。


 父だけではありません、私達を守ろうとしたセディスも体をバラバラに切り刻まれ、母が妊娠しているのがわかると、あのオカマは母の腹ごと魔法の槍で貫きました。


 お腹の中の子どもを守ろうとした母の尊厳を笑いながら踏みにじった。

 自分より子どもを心配して死んでいった母。どれだけ屈辱的だったか。


 兄アレスの最後はわかりません。


 私を秘密通路から無理やり逃がして、一人オカマ魔族に立ち向かっていったのです。


 泣いて、心の中で叫んで、それでもどうしようもなくて一人で逃げて。


 一人地下通路から逃げて外にでて見えた景色は……地獄でした。


 魔族に貪り食われていく、兵士や国民たち。

 女子供も関係なく、魔族は笑いながら殺していたのです。

 私はすべてに絶望しました。


 神などいない。救いなんてない。世界は不条理だと。

 だから受け入れた。闇を。世界の理を。


 絶望とともに……私は私ではなくなったのです。

 正確にはいまの私になったというべきでしょうか。



 ああ、私はまた同じ過ちを犯すところでした。

 もう二度とあんな未来は受け入れられません。


 このオカマ魔族だけは許すことはないでしょう。


 死?


 そんな生易しいものですむわけがないではありませんか。


 永遠の苦痛を。永久の屈辱を。終わることのなき絶望を。

 滅することも転生することも許されぬ、魂の束縛を。


「「「生きる事も死ぬ事も許されぬ真の絶望を」」」


『私』の言葉とともに――その場にいた魔族達は永遠の檻に捕らわれる。


 ――安らぎのない闇をあなた達に――





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