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53話 ファンバード・ラッドウェル

 はじめまして。

 外界ではエルフの大賢者と呼ばれているファンバード・ラッドウェルです。


 神々にお仕えするエルフであり、勇者を選定する使命を光神セシウス様より承っております。

 最近魔族の行動が活発になり、魔王復活が近づいてきた兆しがあったのですが……、10年前、その兆しがぱったりと途絶えてしまいました。

 その調査に今各地を巡っております。


 魔王復活の兆しは消えたままなのになぜか魔族の動きが活発という不可解な状況に、調査は遅遅として進みません。

 一瞬だけ闇の力が感じ取れたサラディウスまで来てみたのですが……魔族の襲撃を受けていました。


 そして、魔族を倒そうとした私の目の前で魔族が一瞬で滅んだのです。


 遠隔でそして、魔族だけを狙って殺す。

 そのような事が出来るのは神のみ。それ以外の存在を私は知りません。

 気配は確かに人間の都市サラディウスよりありました。


 その調査に人間に扮装して街にはいってみたのですが……。


 今の所変わったところは特にありません。

 あの気配は一体なんだったのでしょうか?

 既に街を去ったのか……私が察知できない程気配を隠すのが巧妙なのか。

 それとも私が気配を読み違えただけで最初からこの場所にいないのか。


「ねぇねぇセレスちゃんアリーシャ!今日はアイス買って帰ろうよ!」


「あそこのアイス美味しいよね。セレスちゃんの買っていく?」


 考え事をしながら街中を歩いていれば、10代くらいの少女たちでしょうか。

 前から仲睦まじく歩く少女と、かなりの使い手の魔術師が歩いてきます。

 

 少女たちのレベルは200。男性のレベルは295。

 人間にしてはかなり高い方でしょう。

 街の人間達は一桁がほとんどなので彼らはかなり優秀な方だと思います。

 私が神領に籠っている間に人間のレベルはそれほど向上したのでしょうか?


 あの制服は確かサラディウスの魔術学校の生徒だったはず。


 これは調べた方がよさそうですね。


 こちらに目を光らせてる魔術師の気をこれ以上引かないように、私はその場を後にするのでした。



 ■□■



 こんにちは。ファンバード・ラッドウェルです。

 ここ数日学園を調べましたがやはり、あの女児達は通常ではないという事がわかりました。

 学園の生徒の子ども達のレベルは10~20。

 きわめて普通のレベル帯です。

 人間全体のレベルが上がったわけではないとすると……あの年齢であのレベル帯なのは生まれつきレベルが高い子達……王族なのでしょう。


 私は少女たちの気配の方に進めば、少女たちと数人の少年たちがもめていました。


 少女3人に少年6人で、少年たちの方があきらかにレベルが低いです。


 少女たちはレベルを偽装しているようですが、私の目は誤魔化せません。


「SSクラスの優等生様達がそろいもそろってCクラスの子を虐めに来るとかなさけなーい」


 ツインテールの女の子がわざと周りに聞こえる声で言うと男子たちが少女につかみかかろうとして……。


 ぶわっ!!!!!


 茶髪の女の子から闇が溢れだし、世界が一瞬闇に染まる。


 すべてを呑みこみすべてを無に還す、混沌と闇と慈愛の力。


 魔族がもつ闇の力よりより暗く深くもっと本質的な――。


 まさか――この子は。


 思った途端。


 ぞわりっ!!!


 全身を何かに包み込まれる感覚。私は慌ててその場を離脱するのでした。

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