45話 じゃんけん
「セレス。今日は久しぶりに僕と一緒に馬ででかけないかい?」
と、にこやかに笑いながらリュートお兄様が言えば
「ずるい!リュート兄様ばかり!セレス!今日はアレスお兄ちゃんと出かけよう!」
おはようございます。
朝起きるなり兄sにモテモテな可愛い妹キャラ(中身は残念)なセレスティア・ラル・シャンデール(10歳)です。
家族はしゃべらなくてもほぼ察してくれるので、口数度が学校よりもさらに下がります。下手をするとほぼ一日しゃべらなくても済むことすらある程です。
朝起きて食堂で席につけば、リュートお兄様に馬で散歩に行こうと誘われてしまいます。
懐かしいですこの感じ。兄達は私が口数少ないのを心配して気を使って色々連れて行ってくれる紳士です。
「あらあら、二人とも、三人でお出かけしたらいいでしょう?」
見かねた母が止めに入り、
「それはそれでセレスをどちらの馬に乗せるかでもめるのです!?」
と、アレス兄様。
「じゃあ車か馬車で……」
と、父が言いかければ
「両隣に座ったら、セレスが外が見えないじゃないですか!?」
と、アレスお兄様。隣は譲れない要素であるらしいです。
「うん。わかったじゃあ僕は別の日にするから、アレスと行けるかい?」
と、リュートお兄様が言えば
「それじゃあ僕がとったみたいでいやです!やっぱりリュート兄様と行くんだセレス!」
今度はアレス兄様がツンデレを発揮します。
「それじゃあ僕が最初でもいいんだよ?」
と、父が会話に入り
「お父様は仕事をしてください!!!」と、二人に突っ込まれました。
「ふふっ。懐かしいわねこの感じ」
隣の席に座っていた母が私の頭を撫でてくれて、私はこくりと頷きました。
学校も楽しいですがやっぱりお家もいいものです。
フレンドもできて、大事な家族には大切にしてもらえて……きっと私は幸せなのだと思います。
何故だか前世を考えるとこんなに恵まれていなかったように思います。
私の日本人時代はどれだけボッチだったのでしょう。
考えると自分がみじめになるだけなので考えないようにしておきます。
人間は常に前を見て歩かねばなりません。
決してボッチだった現実から目を背けたいわけではありません。
未来志向なだけです。はい、転生前を考えるとちょっと涙がでてしまうからとかではありません。断じて!今が幸せならそれでいいではありませんか。
とにかく、未来の破滅フラグはすべて完膚なきまでに叩き潰しておきましょう。
家族にもフレンドにも指一本触れさせません。
聖王国付近のダンジョンに魔族の生き残りがいないか、夜にでも確認しに行った方がいいですね。
それと魔道機関車のプログラムもいじって路線変更できるようにしておいたほうがいいでしょう。
確かに堕天使は倒しましたが、魔法陣をそのまま放置はよくはありません。
聖王国内に走る線路だけでも位置を変更し、魔法陣を崩しておかなければ。
私が考えているといつのまにか、今日は誰が私と遊ぶかの主導権を巡り兄sと父のじゃんけんが始まり、乱入した母に三人とも負けてがっかりする姿があるのでした。








