40話 もういやだぁぁぁぁぁぁぁぁ+゜(゜´Д`゜)゜+
「セディス!!この報告書はなんだい!???」
セディスがラムウ教の顛末の報告書を送れば、すぐさまシャティルから通信が入った。
無理もない。
ラムウ教の堕天使たちをすべて撲滅してしまったのだ。
封印の扉を拳(物理)で壊し、光の繭に封印されている堕天使グレンディエルを光神の御使いの大天使が施した結界の繭ごと(物理)でぶちやぶって、その中にいる堕天使を倒してしまった。
顛末を見届けるために一人同行したセディスは「わーすごーいー(棒)」と言うのが精いっぱいだったのである。
今、子ども達はアリーシャの家で夜更かしして神経衰弱を楽しんでいる。
「そこに書いてある事が全てです。陛下」
「そ、それじゃぁ……」
報告書をワナワナと見ながら慌てるシャティルにやっとこの人も通常の感覚に戻ったかとセディスが安堵していれば
「堕天使処理でセレスの帰宅が遅くなるって…。
明日は家族みんなで「セレスお帰りなさい」パーティーをする予定だったのにっ!?
僕は娘の帰りを待ちわびる愛する妻や息子になんて説明すればいいんだいっ!?」
と、落ち込むシャルティに
「やっぱり、心配するところそこかよぉぉぉぉぉぉぉ!!!!
みんなおかしいぃぃぃぃぃぃ!!!!」
と、セディスはバンバンと床を叩きながら泣き崩れた。
■□■
「セレスちゃん。今日は叔父様を助けてくれてありがとうね」
同じ部屋にお布団を敷いた状態で隣で寝ていればアリーシャに言われました。
もう部屋は暗く、隣のアリーシャの顔がカーテンから零れ落ちる月明かりで本当にうっすら見える程度です。
アリーシャの向こう側にいるリーチェはすぅすぅと寝息を立てています。
「アリーシャは大事な友達。助けるの当たり前」
私がそう言えば、アリーシャが顔を赤くして「嬉しいな」って、てへへと笑う。
そして手をつないで
「私も頑張って強くなればいつかセレスちゃんの事助ける事できるかな?」
「いまだって、助けてくれてる」
「え?」
「一緒に居てくれるだけで嬉しい」
そうです。
力なんて所詮力にすぎません。
力があっても料理は出来ません。
リズムゲーの前ではまったくの無力です。
どんなに強くても友達100人はできません。
陰キャに必要なのは友情であって力ではないのです。
アリーシャみたいに優しく笑いかけてくれて、一生懸命私のいう事をわかってくれようとしてくれて、お弁当までつくってくれて、ぼっちの私と一緒にいてくれる。
他に何を望むというのでしょう。
「うん。私も一緒にいれて嬉しいよ。ありがとう」
そう言ってお互いえへへと笑って、手をつないだまま眠りにつきます。
本当は明日、朝一の電車で帰る予定でしたが、聖王国のスペシャルナイトがくるまでは、私が神殿に結界を張って外から隔離し、存在そのものを人々の記憶から消しておかねばいけないので、スペシャルナイトが堕天使を処理する間だけアリーシャの家にいることになりました。
アリーシャ達もここでは危険なので、セディスの知り合いの王族の別荘(という設定)の場所に移り住む事になります。
王宮からは少し離れていますがアリーシャも聖王国の一員となるわけです。
これで学校を卒業してもいつでも会えると思うととても嬉しいです。
明日には朝一でスペシャルナイト達が到着するでしょう。
それにしても――アリーシャがゲームの主要人物と関わっているとは思いませんでした。
よくよく考えればCクラスの残った子達は王族sを含め優秀すぎます。
アリーシャのように直接ではないにせよ、間接的にゲームのシナリオに関わっていた可能性もあります。
夏休みが終わったら、魔族に対抗し自分の身を守れるくらい強くしてあげる必要があるでしょう。
もちろん私が結界をはるので、無敵状態ではありますが、それでも何があるかわかりません。
0歳の時思い出したゲームのシナリオは朧気で……今もよく思い出せません。
本当に堕天使がラスボスだったでしょうか?
もし違った時のために――何かしておく必要があるでしょう。
そんなことを考えながら私もいつの間にか眠りにつきました。











