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26話  ずっと友達

 こんにちは。お父様の役に立ちたい★と、8歳の乙女心から魔道具を研究し、スクロールを魔法効果ごとコピーする印刷機を作り、作った事実に満足してしまって父に知らせるのを忘れ、マジックボックスの肥やしにしてしまっていたセレス・キャラデュース(10歳)です。


 なぜか写経スキル持ちのために、事実を隠していたと勝手に過大評価してくれたため、クライム君に続きジャンやリーチェまで私に好意的になりました。

 リーチェを助けてくれたとリカルド君も「別にお前のためじゃないんだからな!?」とツンデレをかましつつ、親切になりました。

 これはフレンドが増えたと自惚れてもいいのでしょうか?


 今更、「忘れてただけ★キャピ」とも言えず、私はコピー機で3000枚コピーしたものをリーチェに持たせてバイト先の店主に渡しに行かせました。

 何かあるといけないので、念のためセディスも一緒に行かせてあります。


「お嬢様と離れるなんて!?」と抵抗しましたが、私に何かできる存在はどありませんと言えば、「それもそうですね」と、真顔でリーチェについて行きました。

 自分でついて行けと命令したのになぜか傷ついた複雑な乙女心(10歳)です。


「リーチェちゃん、上手くいってるかな?」


 学園の中庭でアリーシャの作ってくれたお弁当の味をかみしめながら楽しんでいればアリーシャが言いました。


「セディスが付いてる。大丈夫」


「そうだよね、セディスさんは商家の執事さんだもんね。

 取引とか不利益な事は跳ねのけてくれるものね」


 と、アリーシャが微笑みました。本当にこの子はいい子です。天使です。


「でもセレスちゃんは凄いな、何でも出来て……私は何も出来ないから」


 と、アリーシャが少し寂し気にうつむきます。

 う、これはやってしまったかもしれません。

 セレスちゃんは凄いから距離を置こうなんて事になったら悲しいです。

 私はアリーシャと一緒にいたいです。

 なんとか感謝の気持ちを伝えなければいけません。


「そんな事ない。私……料理できない」


「料理なんて簡単だよ。セレスちゃんならすぐ出来るようになるよ」


「卵焼き」


「うん?」


「アリーシャの作ってくれた卵焼き、今まで食べたどの卵焼きより美味しい。

 この卵焼きはアリーシャにしかできない。

 私すごく好き」


 私が言えば、アリーシャが顔を赤くして


「レシピを教えてあげれば誰だってできるよ。今度教えてあげるよ」


「魔道具だって一緒。レシピを教えれば誰でもできる」


「……セレスちゃん」


「私、アリーシャのお弁当大好き。

 今食べているこのお弁当はアリーシャにしかできない」


 私が言えば、アリーシャが微笑んでくれます。

 うまく伝わったでしょうか?

 私は……いつも言いたいことが伝わりません。

 口下手で、その場限りの事しか考えられないので、後からこうすればよかった、言い方を間違えたと後悔するばかりで、怖くてしゃべれなくなりました。

 たぶんこれは前世のトラウマなのだと思います。

 でもアリーシャはいつも察してくれます。

 私の表情から必死に何が言いたいのかわかってくれようとする優しい子です。

 だから大好きです。

 距離だけはおかれたくありません。


「ありがとうセレスちゃん。ごめんね変な事言って。

 明日もお弁当作ってくるからね」


 と、微笑んでくれました。

 どうかアリーシャとはずっと友達でいられることを切に願います。



■□■


~マーク側~


「3000枚そろえただと!?」


「はい、商人からの連絡で魔法効果のあるスクロールをたった一日で用意したそうです」


 学園内にマークに用意された豪華な部屋で部下の報告にマークは歯ぎしりした。

 自分に恥をかかせた、セレスとアリーシャに嫌がらせのためクラスメイトを辞めさせてやろうと思ったのに、3000枚もそろえるなんてどうやったんだ!?


「わかった、もういい!!」


 そう言ってマークは窓から外を見る。

 もう小細工はやめだ。

 あの小生意気な女二人は模擬戦でいたぶってやればいい。


 SS~Bクラスの中で言う事を聞きそうなのを全員買収して、試合で事故を装って大けがを負わせればいいのだ。

 きっと母が事件をもみ消してくれるだろう。


 見てろよ。小生意気な平民共め!


 マークは怒りでがしんっと机を蹴り飛ばして、角に足の小指をぶつけて悶絶するのだった。

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