46 神隠し/洞窟
半年振りに更新じゃー!!お待たせいたしましたー!!
多分次か次で過去編終わるかも!!知らんけど!!
水滴がポツリポツリ、ぼくの背中へと叩くように落ちてくる。
辺りからはつゆが水溜りへと落ち、その音が響き渡って脳内に波紋が広がるイメージが浮かぶ。
少し離れたところからは渓流のせせらぎが聞こえる。
「……グッ」
落ち着く匂い、体を包んでいる温もり、まるで弟を抱いて寝た時のような気持ちよさでこのまま二度寝しそう。
「凪、そろそろ起きてくれ、苦しい……」
嵐くんの声が聞こえ、眠気が残る瞼を開ける。
するとそこは嵐くんの体の上。
「——ふゃあ!! ご、ごめん嵐くん」
嵐くんから離れ、ちょっと距離をとる。
地面を歩く音が洞窟内に響き、反響する。
「そ、そのだ、大丈夫?」
ヤバい、なんかドキドキが止まらない、胸が”キュッ”と引き締められる。
「あぁ、大丈夫だ。凪こそ怪我はな……」
嵐くんが心配してくれてるのに、目があったところで勢いよく目を逸らしてしまった。
胸の奥が熱い、目があっただけでドキドキが止まらない。
「どうした? どこか痛いとことか——」
「ご、ごめん。ちょっと洞窟が怖いだけだから……」
ごめんなさい、嵐くんに構ってもらいたくて嘘つきました。
あんまし怖くないです、寧ろ漫画のドキドキ展開みたいでなんか内心ワクワクしてます!!
「怖いから、その……手、握って良いかな?」
「あ、あぁ構わないけど」
「って、彼女じゃないぼくが何言ってるんだろね、ごめんね」
アハハハハと苦笑いしながら誤魔化す。
ちょっとテンション上がりすぎちゃったかな?
……って、あれ?
「俺は、構わないけど……」
「え?」
「まぁ、嫌ならこれでも持っとけ」
そう言うと嵐くんは胸ポケットから出した御守りの中から紅い刀のネックレスを出してぼくの首にかける。
やばい、近い、嵐くんの息遣いがすぐそこに……。
こそばゆいし心臓が高鳴って今にも死にそう……。
「へぇ、それが噂に名高い”紅魔刀”か〜」
重みのある低音、愉快そうで豪快な言葉とは裏腹に敵意のある物言いをした何者かが突如、目の前に現れた。
「——ッ!! 銀狼!!」
ちょっとラブコメじみた雰囲気から一変、嵐くんは逃げろとばかりに私を軽く突き飛す。
陰から銀狼を出して胸元の立花のネックレスを引っ張り刀に変化させる。
なにそれカッコいい!!
「おうおう、ニホンオオカミとは久しく見たなー。おい」
嵐くんと銀狼が敵意を向ける相手は刃と牙を向かれても飄々と自分のペースで話を続ける。
「俺に噛みついてもこの鎧は噛み砕けないぜ、わんちゃん」
そう言った相手は全身紫味のある黒の鎧、金色の縁が施された黒いマントを纏い、頭部は赤い目が光る兜。
日本の鎧とは違い斬撃は効きにくそうな西洋の鎧を纏っている。
見た目は正に騎士! 敵国の騎士が日本の侍(嵐くん)に喧嘩を売っている図だ!!
そんなこんな思いつつもここに居たら巻き込まれると思い、私は少しずつ一歩一歩、距離を取る。
「おっと、それは渡してもらうぜ、お嬢ちゃん!!」
腰から鞭を取り出し、私に向かって鞭を打ってくる。
「氷の幕 陸ノ型 氷雷!!」
私に向かって打たれた鞭を嵐くんが刀で断ち切る。
断ち切られた鞭は断切面から徐々に凍っていき、騎士を体を覆っていく。
「クッ! こんなものぉぉ!!!」
騎士は凍っていく事に抗おうともがく。
刹那、騎士に電流が流れて「うがー!」だのなんだの叫ぶ。
鎧の隙間から煙が排出されるのが見える。
中身が焦げたのだろうか?
「うぁぁ……。あ、危ねー! 意識が飛ぶところだった! こんちくしょう!!」
「ワヴゥ!!」
意識が飛ぶどうのこうの言っていた騎士は銀狼に体当たりされ、”頭部のみ”壁に物凄い音を立ててぶち当たる。
「ヌオッ! 何するニホンオオカミ!!」
地面に転がる中身のない兜、 中身のない以下下半身……!
「ほぇぇぇぇぇ!! デュ、デュラハーン!!」
デュラハン、いわゆる首無し騎士。
死を予言し、執行する存在……。
あれ? これ私死ぬの?? 返り討ちにすれば助かるらしいし、嵐くんが居るから大丈夫だよね?
「おい、いきなり何をする!! 正々堂々よーいドンでやりやがれ!!」
「それお前が言えることかよ!」
「ワン!!」
嵐くんと銀狼がデュラハンに素早くツッコミを入れる。
突っ込まれたデュラハンはオロオロとしながら胴体に頭部を拾われる。なんか可愛い。
「兄貴〜、どうしたんですか〜? ちゃっちゃとこれを依頼人に届けて帰りましょうよ〜」
デュラハンと嵐くん&銀狼でギャイギャイしてる中、ぼくの後ろからチャラチャラとしたチャラ男のような声が、突如として人? の気配と共に現れた。
「ふぇ……?」
「黒組陰陽師の野郎、ザコなんで捕まっちゃいましたぜー」
見た目は黒っぽい茶色の和風な甲冑、兜の肌が見える顔部分は藺草で編み込まれた笠、天蓋を身につけて見えず紫色の瞳が映るのみ。
ぶ、武士の幽霊???
「おー、祓屋ではないか〜」
「ッ! 依頼の探し神!!」
「おほほほほ、捕まってしまったわい。 祓屋よ」
と武士? の背中にぐるぐる巻きに紐で巻かれてるのに呑気なおじいちゃん。
探し神ってことはあれ、神様なのかな?
「お前の相手は俺だぁ!!」
デュラハンがそう怒鳴る壁にヒビが割れるほどの肘打ちする。
すると地面は軽く揺れ天井や壁がミシミシと音を立て、小石や土なんかが落ち始める。
「ちょっ! 兄貴!!」
「あっぶね!」
次第に岩なんかが落ち始めこちらへ来ようとした嵐は足止めされ、危機を感じんたのか銀狼は影へと潜る。
「ら、嵐くん!!」
手を伸ばし、彼の名を呼ぶ。
視界に金色の火の粉が舞う。
こちらと目があった直後、嵐くんを金色の炎が包む。
その瞬間が見えると大きな音を立てて通路は塞がれ、分断される。
しかも、何やら悪い人側の武士と一対一というなんとも悪い状況。
「やぁ〜嬢ちゃん、君素人かい?」
「ふぇぇぇぇぇぇ!!」




