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凪る嵐に光明を  作者: 雪風風兎
凪&嵐編 第肆幕 レッツGo! クエスト受注
41/47

38 凪と精神世界 (挿絵有り)


 嵐の温かい背中に身を任せたあと、気づけばぼくはまた(・・)、夢の世界にいた。

 紫色の気持ち悪い空、青々しい草花が生える草原……。 

 ん? ……なんでぼく、また(・・)なんて思ったんだろ?

 それに、なんでここが夢の世界だなんて分かったんだろ……。


「それはね、凪が太陽の巫女に選ばれたからだよ」


 聞いたことのある、というかめちゃくちゃ聞い覚えのある声に多少驚き声のする方に顔を向ける。


 あれ? 今、喋ったけかな? それに、太陽の巫女って?


 言葉にしてないのに相手に聞こえてることに謎を抱えながら視線は人影映る襖へと移る。


 梅雨のようにじめじめと湿った気持ち悪い風が肌を掠めては流れていく。

 襖に映る影は親友、海渡(みと)によく似ている。

 身長が高いのと胸が小さいことを除いて……。


「凪は一言も喋ってないよ、僕が心の声を聞いてるだけだから」


 お姉ちゃんパワーと言うべきか、声だけしか聞いてないのに謎の安心感が体を包む。


 というか、内心読めるとか超能力者か何かでと思ったが、すでに何名もの能力者が身近にいたことを思い出し、言葉を飲み込む。


「そう、ここは凪の精神世界だからね、読めて当たり前!」


 襖越しにだけど、ドヤ顔してる感じが伝わる。

 いや、絶対してる。


「まぁ、これ以上本人の前で心を読むのはやめておこうかな」


 ドヤ顔の次はしょうがないなー、と思ってる感じが伝わってくる。


「そして凪、海渡と僕の胸を比べないでくれる!! 虚しいからさ!!!」


 あ、気にしてたんだ、胸のこと。

 ……まぁ、ぼくもそうなんだけど。


「気にしてたんだ、じゃないよ! 姉と妹で比べられる身にもなってみろ!!」


 悲しいんだぞー! と叫びながら襖が開く。


 あ、肯定のところは読まれてないパターンかな?


 ガンッ、と勢いよく開かれた襖の奥から現れた海渡の姉、その海渡の姉には人間には付いてないあるものが付いていた……。


茜姉(あかねぇ)、……なんでケモ耳なの?」


 そう、目の前にいる海渡の姉、間切 茜(まきり あかね)にはケモ耳、もといライオン耳が付いていた。


 ライオン耳、襖の影には映ってなかったけど……。


「ん? ……あぁ、僕胸のこと気にしてるけど本体じゃないよ。凪の力が暴走したり、何か……、そう、妖怪かなんかの案件に巻き込まれた時になるべく負担を軽減させたり抑えたりする、それがこのボク、茜の分身の役割だからねぇ」


 唐突な説明……。

 見た目も中身もそっくりなのに……、違いとしてケモ耳が付いてるだけなのか。

 混合しそう……。

 というか、茜姉の分身は……、いつぼくの中に?


「いつぼくの中に、その答えは凪の記憶から消されてる。……いや、思い出さないようされていた、と言うべきだねぇ」


 あの、ついさっき心読まないって言ったんだけど……、分で終わった。


「そんなことは置いといてぇ」


 茜姉の分身は小さく前ならえした手を右から左へと移すジェスチャーを取る。


 そんなこと扱いされちゃったよ、自分で言ったのに……。


「まず、凪には消された? 記憶を思い出して貰いまーす」


 貰いまーすって、なんで消されたが疑問系なのさ……。


「で、でも思い出すって、どうやって?」


 ……まさか、頭を強く叩くとか? 嫌だなぁ、いくら精神世界? でも痛いのは……。


「頭を叩くとかしないよ。ただ、炎に包まれてもらいまぁす!」


 !?!?


 炎に包まれる、とかいきなり言われて言葉が出ない。


「えっと〜、それはどういう意味なの?」


 意味が分からず、そのまま茜姉の分身に聞く。

 聞くのだが、返答してきたセリフは答えになってなかった……。


「どういうもなにも、そのままだよ」


 えー、意味が分から……。ほへっ……??


 突然、足元に魔法陣のようなものが現れ、金色に輝く炎の渦がぼくを包みこむ。


 た、確かにそのままだ……。


「んじゃ、記憶思い出してねぇ。行ってら☆」


 それを機に茜姉の分身の声は聞こえなくなる。

 それから記憶を遡るようにいろいろ思いだす。

 例えば、地獄で青空に出会った時のこと——


 挿絵(By みてみん)


 ——目覚めてからしばらくして、初めて飛沫とあったこと。

 それから地獄に来る直前、嵐と雪兎がナニカと戦ってたこと。

 

 それからぁ……、中学、そう中学二年生の夏。

 ぼくが嵐に恋をした、ひと夏の記憶……。

 

ばにら。様に貰った青空のFA入れました!! 感謝

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― 新着の感想 ―
[良い点] 異世界は中世という固定概念を壊してくれて、新鮮でした!
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