21 氷牙の束縛
西洋剣と日本刀がバチバチと音を鳴らして火花を飛ばし、雪原の中を賑わせていた。
何故登山道から雪原にいるかというとあの吹雪の後、白達と逸れてしまってから敵が襲いかかってきたのでそのまま登山道から離れて雪原に着いたというのが現状である。
「風の舞 守式 玖ノ型」
敵、否、小悪魔と対立していた。
敵の西洋剣独特の叩き斬る攻撃を交わしながら技を放つ。
「流し!」
刀と剣がぶつかりあい火花が散っていく。
そして刀は風を纏い小悪魔の方へと吸い寄せられるように進んでいく。
進んだ先、小悪魔のお腹に直撃して、木に直撃。
小悪魔は血を吐き雪の上に倒れかけるが体制を持ち直されてしまう。
隙を突いたと思ったんだけどな。
「お前を倒す、倒す。そしてこのぼくに功績を」
功績という名の欲に駆られた目をしながら再度突っ込んでくる。
「残念ながらお前に功績は渡せないね」
こっちもやることまだあるしやられる訳にはいかないもんである。(まだ凪とキスすらできてないのに)
「氷の幕 弐ノ型」
真っ向から突っ込んでくる小悪魔の攻撃を躱し、またもや刃と刃で摩擦が起きる。だがさっきとは違い、今度は西洋剣の先っぽから氷がはっていく。
「氷華」
敵への——斬撃。が、小悪魔の体には対寒系の術のせいなのか綺麗な華は咲かず、氷は綺麗に割れていった。
割れるのと同時に小悪魔はこちらへ振り返る。だがその時、俺は奴の上にいた。
まだ青いがこの型を使うことを決断し。
「月の幕 壱ノ型」
小悪魔に向けて、月の光が部屋に入ってくるかのような——斬撃。
「月光」
想定外だったのかそのまま攻撃が入りその衝撃で小悪魔はたおれる。
その時、ガラスが割れるような音が微量ながらに耳に響いた。
おそらく、術式でも解けたのだろう。
「おい、小悪魔」
俺は倒れた相手に向かい刃を向ける。
小悪魔といえど女性とかそんな現実なことではなく、ファンタジーの世界とかでよく見かける小さい悪魔だ。(大体大人の猫ぐらいの大きさ)
しかも見た目に似合わず妖力の量が膨大であった。
そりゃあんな山頂からの威圧的なプレッシャーを感じたわけだ、まさに幽霊の正体見たり枯れ尾花、だ。
「とどめを刺すならさせ、煮るなり焼くなりするがいい」
「うるさい。俺が聞きたいのはなぁ、お前が誰の差し金かってことだ、どうせ紅魔刀目当てだろ?」
圧をかけるように刃を向け直し小悪魔より悪魔的な笑顔で問いかける。
「メデューサ様の指図だとだれが言うか」
と小悪魔は言ってアハハハハと笑い始めた。口が軽いな、コイツ。
「口が軽くて助かったよ、小悪魔さん」
小悪魔は、あっ、という間の抜けた顔で俺を見上げていた。
「拘束式妖術 氷牙の束縛」
小悪魔の下に魔法陣のような陣が広がる。
小悪魔はそのまんま妖術で生成された氷により縛られる。
「さて、下山するか」
俺は秋原に白達がいると踏んで下山をすることにした。ちゃんと小悪魔を連れてな。
誤字脱字がありましたらご報告してくださると超幸いです。




