20 登山道
ちょこちょこ修正してるのでよろしく☆
誤字脱字等ありましたら報告よろしくお願いします。
「……ここが、寒名山」
白い息を吐きながら境寒名の摩天楼がそびえ立つ都市部を抜けて、俺達は今、寒名山の入り口にある鳥居の目の前に来ていた。
「おい、お前ら、絶対に逸れるなよ」
「そうね、嵐、気をつけなさい」
「おい、勝手にフラグ立てるな!」
勝手にフラグ立てられて、こりゃ俺は遭難でもするな。
まぁ、とりあえず。
「さぁ、山越えするぞ、寒名山」
気を引き締めがてらそう言葉を放ち鳥居の中に1歩また一歩足を踏み入れていく。
♢
鳥居を潜ってからどれぐらいの時間が過ぎたのだろうか? あれから神社のお社らしきものを通り過ぎてから妖が来た形跡は無く、昔に使われていたであろう山道を登っていた。
「足跡のないところに足跡を付けるのってこんなにも疲れるもんなんだな」
「あぁ、こんなとこで飛んだら吹雪でどっかに飛ばされても不思議じゃないからな」
辺りを見渡す限り雪雪雪そして木、それしかない。
そんな白く染まった雪道をザクザクと歩いていく。もう心が折れそうだ。
「ちょっとアンタ達、なんで私を置いてくのよ!」
俺と白は足を止めて今まで歩いてきた道を振り返る。
振り返ると俺達二人の足跡がしっかりと残っていた。
雪の天使とか一度やってみたいもんだ。
そんな俺達の足跡より少し奥に声の主である奏がえっさこらしょと歩いていた。
「おい、奏、早く来ないと置いてくぞ」
「うるさい! アンタ達ちょっとは私を敬いなさいよ!」
奏の言葉に俺と白はため息を吐き捨ててそのまま山を登っていく。
雪を踏む音が辺りに響く。
「貴方達ちょっとストップ」
白銀の世界に奏の言葉だけがこだまする。
「今度はなんだ?」
なにかと思い俺達は再度振り返る。
振り返ると奏は警戒しているような顔をしていた。
「感じないの? この嫌な音、この邪気を纏った気配を肌に当たる度に胸がキツくなるのよ」
「そんなの感じないぞ……」
確かにゾワっと胸がキツくなるような締められているようなプレッシャーを感じる。
「…………」
「あら、嵐も気付いたようね、遅すぎよ。だからいつまで経ってもA +なのよ」
奏はその言葉を吐き捨ててプレッシャーが襲ってくる寒名山頂上を見上げる。
たく、こっちだって上から三番目の階級に好きでいるんじゃねーよ。
最低上から二番目の勇者にはならないとなのに、剣である師匠には顔向けできねーし。
そう思いながら俺も頂上へと顔を向ける。
「この気配、妖怪って言うより悪魔の気配か?」
「白、それはどうゆうことだ?今イギリス地獄は内戦の真っ最中だろ?」
「そんなもん俺が知るか」
白は怪訝な顔をするなりアンティークな鍵の形をした《鍵》を、武器である刀・朱月刀を召喚する。
(ややこしいなー、おい)
今思えば、俺も俺で充分狙われる理由を持ってるんだよな〜。
紅魔刀を奪って名を上げようとする奴らは多いし。
はぁ、とため息を吐きながら俺も《鍵》を氷嵐刀に姿を変える。
そのものの数秒後、俺達は吹雪に巻き込まれた。
「グッ、おい、白! 奏! どこにいる? 返事をしろ!」
返事がない。そして目の前は真っ白。これがニュースとかでよく観る”ホワイトアウト”とか言うやつだろう。
きっと白が買ってきてくれたこのローブが無かったら今頃凍死していただろうか? いや酷い風邪で済んだりして?(そこんとこ雪国の人どうなの?)
しばらくして吹雪が止み視界が徐々に開ける。
「おい、白? 奏?」
辺りを見渡すが人っ子一人見当たらない。
居たら居たで怖いがな……。
はぐれたか? 雪山に一人取り残されてしまったか?
「……。あー、邪気がなんか近づいてる……よな?」
◯
嵐が《鍵》を刀に姿を変えるその数秒後、俺達は吹雪に飲み込まれた。
「グッ、なんだこの吹雪は、妖気で生成されたものか」
吹雪に飲み込まれるなり白は飛ばされた。
気づくと秋原が目の前に広がっていて相変わらずの紅紅とした紅葉の風景が山の麓に絨毯のように広がっている。
「ねぇ、白くん? 嵐はどうしたの?」
俺の後ろから奏が声をかけてきた。
「嵐? 俺は見てないが、まさか」
嫌な予感が背筋を走る。恐らくあの悪魔らしき者の狙いは嵐が所持している紅魔刀であろう。
「嵐、無事だといいが」
朱月刀
使用者 夏季 白
持ち手の色 白
刃の色 朱
唾 炎の様な雫の様な形




