16 家主
「ごちそうさまでした」
ぼたん鍋(猪の肉の鍋)と思われる鍋を食べ終わり息をつく。
奏はまだ鍋を食っているが。
ふっと思ったことを白に聞いてみる。
「なぁ、白?」
俺が白を呼ぶと「なんだ?」と言って俺と顔をあわせる。
「疑問に思ったがさ、ここの家主ってなんなんだ? ここは地獄だし、八寒地獄なんて来たの初めてだからさ」
鬼の家だろうか? それとも寒さに強い妖怪、雪女とかナマハゲとかか?
「あぁ、そのことか、それは……」
そんなことを話していると。
ガラ
と引き戸が開く音がしてそちらに振り向くとそこにいたのは、
「目覚めたみたいだね、2人とも」
「人間?」
現れたのは白い髪に美形の顔をした男の人で見た目は人なんだが、気配は夏々千様同様に鬼神の気配がする。
てか夏々千様に少しにてるか?
「いやいや、僕は人間じゃないよ。」
と言いながら手を横に振る。やっぱり鬼神なのか?
「僕は鬼神だよ」
やっぱり鬼神だったよ。
「それよりもきみー、今から僕とお茶しない?」
と言って奏に近づいていく。コレはナンパかな?
「なぁ白、この人がここの家主?」
俺は白にこのナンパしているこの鬼神について聞いてみた。
「この鬼神は妖怪の世界では意外と名の通った薬剤師で、今週たまたまこの八寒地獄にあるこの別荘に来て薬草を探してたそうだ」
「ほう、それで薬草を探してたりとかしてる間に白と出会ってここに入れてもらい、念のため探りに行ったっと」
我ながら単純すぎる推理。
「まぁな、もしかしたら青空がこの辺にいるかもって話になってな」
そんな話をしていると囲炉裏を挟んだ向こう側から奏がこちらに向かって怒鳴ってきた。
「ちょっと貴方達、この男をなんとかしなさいよ!」
見ると薬剤師の鬼神が奏を床ドンして奏が薬剤師の鬼神に蹴りをかましていた。
「「…………」」
沈黙が訪れ パチ と音が鳴り火花が散る。
「なんかいいなさいよ!」
黙ってたらさらに怒鳴られた。
「この男っていうのはちょっと酷いな〜」
そう言って鼻血を出しながらおっしゃった。
「僕にはちゃんと雪柳っていう名前があるんだから」
キリッとした顔で自己紹介されても、困る。
「あの、雪柳さん? カッコつけてるとこ悪いですけど、鼻血でてます」
「あぁ、これ? 僕的にはよくあることだから大丈夫だよ」
「……よくあるって」
外見は夏々千様そっくりなのになにか違う。
「あ! 思い出した!!」
ビク
「急に声出すな、ビックリするからよ」
白に同感だな、いきなり声出されてさ、ビクってなっちゃたし。
「しょうがないじゃない、この女たらしのこと思い出したんだから」
そう言って奏は雪柳さんに向けて指を指す。
「この男は薬剤師として有名なのはそうだけど女たらしとしても有名なの!」
奏の声が茅葺き屋根の家に響きわたる。俺らの目線が雪柳さんに注がれ、視線の先にいる雪柳さんは冷や汗をかいていた。
青藍刀
使用者 雪風 青空
持ち手の色 空色・青色
刀の色 青藍 下に行くほど空色に近くなっていく
刀の鍔 雫模様が四面に付いている




