表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
凪る嵐に光明を  作者: 雪風風兎
嵐編 第弐幕 おいでなさいませ八寒地獄
17/47

15 お腹は正直


「で、なんだ? 俺が地獄ここに居るかって?」


 あのドS騒動はおさまりなんとなか会話が進むことになる


「お、おん。俺達はその後に話すからさ、な、奏」


「えっ? なんでアンタみたいなカスの話に耳を傾けなきゃいけないの?」


 ちょっと聞いただけでこの反応かよ、マジでウザい。


「……話し、続けていいか?」


 もう口論する気力がないのか白はそう問いかけきた。


「いいわよ、このクズにさえ話しかけられなかったら」


 おい、それはないだろ。雪兎にチクりたいくらいだよ。


 それから白は「はぁ」とため息をつき。


「俺は地獄ここに来る前に港公園で青空といた」


「ん? 公園? お前ら学校は??」


「うるさいカス、ちょっと黙ってろ」


 俺が素朴な疑問を問いかけると奏はカスだと言って俺の目の前にクナイを投げてくる。怖すぎない?


「次、変なこと言ったら殺す」


 普通に怖いわ!

と口に出したいが次は無さそうな雰囲気。


「俺らは土曜に学校行ったからな、その代休だ」


 もう置いてくぞっと言わんばかりに白が話しを進める。


「それでな、松林の方から鈴の音がして——」


 あらかたの説明を要約すると、白は青空と港公園に行っていた、すると鈴の音が松林の方から聞こえてきたという。

 すると青空が興味本位で探しに行っちゃって、その後を追った白が草むらの中に入っるとそこに青空の姿はなく、この極寒の八寒地獄はっかんじごくにいたと言う。


「——それでその後にここの家主に拾われてこの家に来たわけだ」


「鈴の音か」


 確かに青空アイツはそういうものに興味が惹かれるとこあるからな。


「それで? お前らはどうして地獄ここにきたかのか、教えてくれないか?」


 今度は俺、じゃなくて俺達がここに来た理由を白に話す。


「ほぉ、それでお前らは雪兎と凪とはぐれたわけか」


 白が納得したようでそそられるじゃないかみたいな顔をする。


「そういえば、俺ってなんでここに居たんだ?」


 俺が目覚めた時は既にこの茅葺き屋根の家にいて、その目覚めるまでの間どうなってたのか知らない。


「白はそのこと知ってるのか?」


「いや、俺がここで鍋を食べさせてもらってる時に家主がもう一度見回りに行って帰ってきたらお前ら二人を担いで連れてきてたからな」


 家主さん器広いな。てか鍋か、流石に学校帰りだ、腹が減ってしょうがない。


グー


「ッ!」


 どうやらお腹は正直なようで……。


「お前も食えばいいじゃねぇか、奏は既に食ってるぞ」


 そんなことを言われて俺は右にある囲炉裏の方に目をやると……。


 ムシャムシャと具を皿に盛り口に運んでいた。


「ずりぃー、俺も食わせろ!!」


 近くに皿と箸とお手拭きがあったので、俺は手を拭いて鍋へと手をだすのであった。




「ふぁ〜、外はばか寒いな」


 薪がなくなってきたというので俺は家主に恩返しも兼ねて教えてもらった所に薪を取りに行くことにした。


 しかも俺は雪国に行ったことがないからこの寒さにはついていけないかもしれない。


「早く取って戻ろ」


 今は暗くて見えないが、きっと明るかったらキラキラ光る白銀の世界が見えるのだろうか?

ちょっと楽しみ。




 家の裏に積んである薪を手で持ち家へと戻る。


 玄関の目の前に来たところで ドシンドシン と地響きが聞こえる。


 ふっと背後から気配がして恐る恐る後ろを向くと……。


「グォーーーー!!」


 そこに居たのは白くて動物園で水を泳いでいるイメージがあるあの……。


「ほ、北極熊!!!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ