13 異世界転移
「おい、なんで貴様なんだ! 雪兎、いや主人様ではないんだ!」
猛吹雪の夜。茅葺屋根の家で胸ぐらを掴まれながらそう愚痴を溢された。
起きたてホヤホヤで相手の顔も見えやしない、それに頭が活発に回るわけでもない。
だがこの声やこのピンボケでしか見えないやつは地味に馴染みのあるやつ。
「おい、聞いてるのか? 顔面殴るとかもっと別のプレイをしたいのかな?」
相変わらずのSな性格なことでなによりだ。御主人様の前だと犬も同然なのに。
「ほう、黙っているという事はOkってことね〜」
いや喋りたくても口開けたら口の中に手を突っ込んできそうで開けられないんだよ!(経験済み)
あれか? 俺がN(ノーマルのN)だからS極である奏を引き寄せているのか?
いや、いくらなんでもSはMとくっつくだろ。(とんだ偏見)
SとNがつくのは磁石だけで充分だ。
それに奏にSなんて頭文字はついてないのにな。
いや、すど◯さんのSはドSのS、自体が案外特殊なのか?
そんな風に頭の中でボヤいていると。
「おい、人の話を聞いてるか? あぁ?」
「ぐぇ」
首を絞められ変な声まで出してしまった。
とここでようやく寝惚けのピンボケが収まってくる。
彼女、奏を一言で片付けるなら美少女、ちょっと深く言うと肌は色白で小柄な可憐な少女と言える。だが、それはあくまでも見た目の話で、内面は完全なS、いや下手すりゃドSなわけで本当に関わるのがウザい。
ただ主人である雪兎の目の前では完全に犬というかなんというか素直? な感じだったりして温度差が激しい。
「ンふーん、返事がないからガチめに殴ろうかな〜」
ンふーんっじゃねーよ! 何普通に殴ろうとしてるんだ奏はよぉ!
「せい!」
掛け声と同時に奏の拳が迫ってくる。
「おい、そこまでにしろ!」
その声は上から聞こえてくる。(どっかで聞いたことあるな)すると「ふん!」と鼻息を出して「命拾いしたな」ていう顔で奏は俺を放り出す。
「イテテテ あぁ? 誰だ?」
上を見上げた時に茅葺屋根の下にある二階?屋根裏部屋? ロフト? から見覚えのある顔が覗かせていた。
「大丈夫か? 嵐」
そこにいたのは
「びゃ、白!!」
「おう、久しぶりだな」
そう言って白は手を振ってくる。
「あと、お前らうるさいし少し黙ってろ、家の主が居ないからって騒ぐな」
相変わらずの冷静なツッコミが俺の心に刺さるよ。
名前 奏
誕生日 9月6日 烏の日
年齢 不詳
性別 女
所属 雪兎のとこ
属性 音
家族構成 兄
出身地 閻魔丁
好きなもの 雪兎・音楽・かき氷
嫌いなもの 柊・猛禽類
身体的特徴 烏と鬼のハーフ
身長 150㌢
体重 秘密




