決意と別れと
2話
宗矩は1人には慣れていた。
それは何故か
1人でも 独りでは無かったからだ。
家に帰れば 母親がいた 父親がいた。
いつも暖かく 迎えてくれる 人達がいた。
だから 寂しくはなかった。
でも今は違った
迎えてくれる人はもういない。
独り…広い家がいつもより広く
静かで 寂しかった。
もういっその事死んでしまえば楽になる
そう思った そうして 死のうとした。
でも死ねなかった。
小さい頃母親に言われていたことがあった。
「宗矩、やってはいけないことがあるんだよ。」
「なぁに?」
「それはね 人の命を奪うこと 他の人の命
そして自分の命。」
「どうして?」
「それはね とても大切なものだからだよ。」
「んー…わかんなーい。」
「いつか 宗矩にもわかる日が来るよ。」
「うん! その日まで待ってる!」
母親に言われたことを
そのまま夢に見た
懐かしい昔の自分と母親がいた。
そこにはそんな二人の会話を
微笑ましく見いてる
父親の姿もあった。
とても穏やかで、それでもどこか
家族を守る強さがある人だった。
そんな父親と目が合った
そうして
『大丈夫 宗矩は強い子だ優しい子だ
だから 胸を張って生きなさい。』
そう言ってあっという間に消えてしまった。
そんな父親を止める間もなく 母親が遠くなっていく。
夢の中で叫んだ。
『待って!行かないで!お母さん…!
お父さんもいなくなっちゃったんだ!
お願いだよ 僕を…独りに…しないで…。』
泣いて叫んだ。
行って欲しくない、そばにいて欲しい。
そう思って叫んだ。 すると 夢なはずなのに
母親がこちらを見た。
過去の自分ではなく 今の自分を見ていた。
そうして 母親はいつものように
優しい口長で こう言った。
『もう 親ばかりに頼る時間は終わりだよ。
前を向いて 自力であるきなさい。
甘えるのも 素直になるのも いつまでも
私ではいけませんよ。』
そう言って母親は 千歳 京子は消えていった。
目を覚ますと
自分の部屋の天井だった。
その日から
宗矩は
「一人で生きていかなくちゃ
寂しそうにしないで 1人は慣れっこだから
きっと独りも慣れる だから 強く生きなきゃ。」
と そう決めたのだった。
そうして月日は経ち
千歳 宗矩は
高校一年生になった。