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泥水のように

作者: さきら天悟
掲載日:2018/08/29

泥水を透明なグラスにすくった。

八分目くらい。

コンクリートの階段に置き、

右手の人差し指で勢いよくかき混ぜる。

グラスの中は灰色の世界。

ぐるぐる、回っている。


かき混ぜるのをやめても、回っている。

ぐるぐると。


その様子を見つめる。

渦は次第に小さくなった。

小石が底にへばりつく。

二個、三個と。

灰色の水は回り続けた。



コーヒーを飲み終え、

グラスのことを思い出した。


透明なうわ水、飲めそう。

グラスはグラデーションを作っていた。


嗚呼、あぁ、

美しい人は先に逝ってしまう。

綺麗なうわ水は天国。

不純な、ごつごつしたモノは、地上にへばりつく。


やりたいこと、

やらねばならなかったこと、

書きたいこと、

書かねばならなかったことを残し。

悔しいだろうなぁ。


寂しいし、悲しい。

家族でもないのに。

他に死んだ人はたくさんいるのに。

でも、やっぱり悲しい。

作品が面白かったから?

新しい作品が読めないから?

良い人だから?

若くして亡くなったから?

でも、そんな人はいっぱいいる。



けれど、やっぱり悲しい。


彼女より1年長く生きている。

無駄に?

書きたいことはいっぱいある。

長編推理小説・・・

乱歩賞ねらって。


旬を過ぎたショートショートネタ、

どんどん沈殿していく。

さくらももこさんへの追悼ショートショート。

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