第6話『二代目ウロボロスVS根源の色付け役』
更新にございまする!
今回は終作先生の終始終作、面無し先生の上司さんの回です!
「へぇ。あいつか」
そう言った終作の視線の先には、2人の人物が争っていた。
1人は終作もよく知る人物、もう1人は今まで終作も見たことのない人物であった。
その人物は軽やかに舞う茶髪の少女であり、その美貌は人々の理想を体現するかのような美しさであった。
振袖に身をまとい、その服も彼女の動きに連動して揺れ動く。
「おーっとぉ。なるほど、僕は根源に色付けはできるけど、根源そのものを作られると厄介だネ」
「黙れ! 2度とあの世界を弄らないと誓え!」
「うーん……ちょっとソレは保証できないかな」
そう言って、十二面体から剣を創り出し、射出した少女の攻撃を神谷零と同じ姿をした男は躱す。
「いやぁ……流石、この世界の根底、根幹。『ウロボロス』の1人だね!」
「黙れっつってんの!」
少女は光を超え、神速すらも超える速さでその男に膝蹴りを決める。
「クフッ……いいねいいね! 即席とはいえ僕の城に単身で乗り込み、その上で僕を倒さんとするとは!」
「チッ……!」
「あぁ、凄くいい。とてもいい。君のその能力であれば僕だってタダじゃ済まないからネ!」
そう言いつつも、男は自分の肉体から鎖を発射する。それは少女を『捕らえる』ことに特化したモノ。根源より産み出される干渉力によって、少女を追い詰める。
「ラァァァアア!!」
しかし。少女は根源を創り出すモノ。『根源二つ分』の干渉力によって、男の鎖は少女を追わず、やがて朽ち果てていく。
「厄介だねェ……」
そう言いながらも、少女……二代目ウロボロス、アサルト・ウノが根源から創り出した弾幕を、男は危害を与えないモノへと『着色』していく。
少女は『創り出すモノ』。
男は『色付けするモノ』。
二つ揃って初めて真価を発揮するソレは、どちらが強いのか。──そこに、答えなどないのだが。
「そいやっと!」
男の放つ数々の弾幕を、少女は根源より創り出された盾で防ぐ。
根源の中の一つ──無効化は、ありとあらゆる攻撃を防ぐ。
「我が恩寵の彼方より来たる魂。全てを統べる数奇なる怪物よ。汝が真名は『ウロボロス』。我、ウロボロスより命ず──『無限の双腕』」
それは空間を切り裂き、神を断ち、また神以外の何かを絶つ最強の力。
孤高にして宇宙を、次元すらも切り裂き、神をも殺す一撃。その名は『龍の左腕』
孤独にして銀河をも貫き、破壊し、神をも殺す一撃。アガートラムとも見紛うモノ。『神の右腕』
根源すらも破壊せし根底に住まう無限の龍神の双腕。
それが、光線の壁となって男に迫る。
「あぁ……今のは本気でヤバかった。死ぬかと思ったね、ウン。流石だ──我が友よ」
「誰が友達だ。お前が死んだ途端全部パーになるのが嫌なだけだ。悪いが、二代目ウロボロス……いや、アサルト・ウノ。ここは引いてくれ」
彼らの戦闘を止めたのは、終始終作。ただし──その姿は少女の攻撃によってボロボロになり、半分が本体である外なる神、もう半分は化身である終作の姿をしている。
「今は便宜上こうしているが、本当なら俺はこの姿になるのすらもキツい。このまま続けるってんなら──世界の終わりだ。どっかの誰かさん時みたいに、お前らの世界を外なる神が囲うことになる」
それはいわば、世界そのものを人質にとった脅迫と言って差し支えなかった。
手を引くか、世界が壊れるか──。
「チッ……そこの外道。あ、強いほうね。あんた、こんどこそウチの世界を弄ったら承知しないわよ」
「あぁ、肝に銘じとこう。僕だって死にたく──なくなくなくなくないからね」
「チッ」
戯けた男の不真面目な回答に、少女は一つ舌打ちをすると、ビシッと指をさした。
「あぁ、あと。アンタに囚われているあの女の子、解放しなさい。あの子は私たちの部下の友達だもの」
「……ああ、それはそうだね。ウチの部下たちの友達でもあるし」
そう言うと、男は指をパッチンと鳴らした。
「では、また。機会があったら……もう会いたくないけど、便宜上また会おうと言っておこう」
「絶対会いたくないわね」
少女と男が軽口を叩きあうと、男の創り出した居城は崩壊し、あとに残ったのは少女と終作だけであった。
「……これからどうする?」
「私は元に戻らなきゃ。龍牙が戻らない以上、人員が欠けると大変なことになるし。『過程』が頑張ってるのに私がフラフラしてるわけにもいかないから」
そう言うと、少女は終作に対して「じゃあね」とだけ言ってどこかへと消えていった。
「……俺も戻らなきゃ霊斗に殺されるな。ギヒッ! 殺されようが関係ねーけどな!」
終作も少女同様に、消えるように元の幻想郷へと戻っていった。
──それを見ていた、終局の魔王とシルクハットの男に目もくれずに。