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東方神魔伝  作者: 甘味処アリス
前座編──集まる人々、再開の絆──
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第5話『新参者』

遅くなってすいません!!

「霊斗ー!」

「霊斗さーん!ご無沙汰してますー!

お土産にみたらし団子買ってきたので、みんなで食べましょうよー!」


 そう言って、空間の狭間を通って2人の男が入ってくる。片方は霊斗の弟子、白谷磔。もう片方は、鼠色と白色の混じった白狼天狗のような少年、狼であった。


「おう、お前らか。残念ながら霊斗はまだ戦闘中だから、もうちょっと待っててくれ。──おっと、終わったみたいだな」


 終作がそう言った瞬間、想刃が地面に投げつけられた。その威力に21万905個目となるクレーターが出来上がり、想刃は血反吐を吐き出した。


「グゥッ……! クソッ! もう一回だ!」

「分かったけどちょっと待っとけ。──よくきたな、磔。俺がお前との旅から離脱して20年、旅はもういいのか?」

「いや、まだもうちょっと続けるさ。とりあえず今回は修行の成果を見てもらうのと……まあ、要するに顔見せだ」

「そうか。とりあえず……少し、おやつの時間にしようか」


 霊斗のその言葉に、みんながアニメのようにズッコけた。


◇◆◇◆◇


「なあ霊斗、絶ちゃんがどこにいるか分かるか?」

「絶? あいつはもう既に死んでるぞ?」

「は? いやだって……」


 終作が霊斗から聞いた、衝撃の事実。だが、終作は絶から感じた気配は明らかに生者のソレだったと考えていた。終作が考え込んでいると、突然背後から磔に話しかけられた。


「なあ、終作」

「ん?」

「絢斗はどこだ? 先に来てたハズなんだが」

「絢斗? あぁ、あいつなら……」


 ブルーシートをひいて、みんなが少し早めのお花見をしていると、終作が次元の狭間を切り開いた。


「「どぅわ!?」」


 次元の狭間から、2人の男が落ちて来た。


「絢斗とシルクか!?」

「いや〜……はは、シルクさんと意気投合しちまってなぁ。やっぱり気があう人物ってのはいぅおわ!?」


 絢斗が言おうとした瞬間、首元に桜のクナイが突きつけられた。


「私はアンタに一回酷い目に遭わされてるんだから……アンタ達、もう一回したら覚悟は出来てるんでしょうね?」

「「「ヒッ!?」」」「うわ!?」


 桜の怒気に、その怒りの矛先である絢斗、シルク、終作は怯え、無関係の霊樹は驚く。


「あの……彼ら、何をしたんですか?」

「ん、まあ、色々な。……お、この団子美味いな。今度行ったらお土産に買って帰るか」

「あ、本当ですね。……それで、霊斗さん」


 霊樹と霊斗が話していると、霊樹が言葉を続ける前に絢斗が地面に叩きつけられた。


「ガッハァ」

「はあ、はあ……いい加減になさい!」


 投げた本人である桜も怒り心頭、さらに若干疲れ気味である。

 その様に霊斗が呆れながらも笑っていると、脳内に龍崎神斗……初代ウロボロスが語りかけてきた。


『……霊斗』

『ん、龍牙か?』

『ああ。今すぐ、天空にある次元の狭間に入ってきてくれ』

『メンバーはどうする?』

『とりあえずいるやつを全員連れてきてくれ』

『了解』


 霊斗は初代ウロボロスとの通信を終えると、桜と終作に話しかける。


「桜、終作、あそこにある空間の狭間に今から行くんだが……中で何が起こっているか分かるか?」

「いいや? アレが神谷関係の何かだってことくらいしか分からねえ」

「そうか……桜は?」

「私も同様ね」

「どうかなさったんですか?」


 霊斗と桜、終作が密談していると、背後から急に狼が話しかけてきた。


「いや、なんでも無い。ちょっと、ここで待っててくれ。磔、絢斗、霊樹に修行をつけといてくれ」

「それはいいが……何か問題でもあったのか?」

「ちょっとな。ま、コレは俺たちの問題だから大丈夫だ。桜、終作、行くぞ」


 霊斗は狼に対して安心させるようにそう言うと、2人を連れ立って次元の狭間へと飛翔していった。


◇◆◇◆◇


「やあ、よくきたね。生憎だが、今ちょっと忙しいんだ」


 そう言ったのは、モザイクのようなモノで姿を隠した男。


「まさか、この世界の特殊な世界構造を弄ろうと思ったら本体の場所を特定され、しかも攻撃されるなんてね……」


 そう言って、モザイクの男はため息を吐いた。


「いつも、ウチの部下がお世話になっているね、霊斗くん。──おや、終作クン。お元気かい?」

「お前は元気そうじゃないなァ……」


 終作はそう言って、ニヤリと口角を吊り上げた。


「あぁ、霊斗くん。お願いがあるんだけど」

「断る」

「即断すぎてツライよ!」


 そう言うと、男はヘラヘラと嗤った。


「《《君の》》上司さんの攻撃を止めさせてくれないかな? ちょっと僕を倒そうと必死みたいでさァ。僕自身もこれから君たちの世界には手を出さないって約束するョ」

「お前、そんなこと言って説得力あると思ってんのか?」


 訝しむような霊斗の言葉に、男はヘラヘラと笑った。


「そうだよねェ。ちょっとは普段の生活態度を改める……なんて絶対しないけどねェ。あァ、自己紹介しなきゃいけないかなァ?」


 そう言った男の顔は、おそらく桜の方に向いていた。


「要らないわよ。神谷神姫の上司って所でしょう?」

「おお! 流石だね! 外なる神の媒体はそんなことも分かったっけ?」

「どうでもいいわ、そんなこと!」


 そう言って、桜は大太刀で男に斬りかかる。


「おい桜、無駄だ!」


 霊斗の制止も聞かず、男の肉体はモザイクがかかったまま真っ二つになった。


「ははは……無駄だよ、桜ちゃん。僕はここに居る者ではないからネ」

「癪に触る野郎だ!!」

「おい桜、口調」


 キャラ崩壊寸前で、桜は大太刀をさらに振るう。体が細切れになろうが、その男のセリフは変わらない。


「だーかーらー……意味ないって。ていうかやめてくんネ? 喋れないのが今一番辛いんだョ。ハハッ!」

「チイッ! 世界に対する冒涜よ、あんた!」


 確かに、男のセリフから男がこの世界を改変し、冒涜しようとしていたのは考察できる。だが、なぜ桜はここまで怒っているのか?


「おい桜、落ち着けって」


 霊斗が桜を止める。が、桜の目は元の桜色から一変、紅色に輝いていた。


「ハハッ、精々楽しむといいよ!」


 男はそういうと、空間に溶けて消えていった。


「おい、終作、なんとかしてくれ」


 霊斗はそう言ったが、終作はヘラヘラと嗤っていた。


「……終作?」

「悪いな、霊斗。あいつの本体に攻撃できるような奴に興味が湧いた」


 終作はそう言うと、次元の狭間を開いてどこかへと消えていった。

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