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東方神魔伝  作者: 甘味処アリス
前座編──集まる人々、再開の絆──
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第4話『VS現代の天才2』

遅くなって申し訳ないです。九十九先生ありがとうございました!

「う……おお!!!」


 突然景色が移り変わり、迫りくる弾幕に想刃の対応も少し遅れる。が、想刃はそれをさも当然であるかのように捌いていく。そこに先ほどのような怒りはこもっていない。


「──へぇ。『あの空間』に行って、何かを掴んだか。いいぜ、凄く良い。それでこそだ、霧裂想刃!」


 霊斗はそう叫ぶと、龍神王武で切りかかる。想刃がそれを防いだ瞬間、天から槍が降り注ぐ。


「その名は、ゲイ・ボルグ! 紅色の宣告槍だ!」


 ゲイ・ボルグ──それは、天に放てば何十にも分裂し、対象の心臓を狙い撃つ真紅の槍である。因果律を逆転させて対象を狙い撃つ槍……それが空から、30本も降り注ぐのだ。


 さりとて、想刃もバカではない。霊斗に強撃をぶつけ、その勢いでゲイ・ボルグと霊斗から逃れようとする──が、叶わない。

 ゲイ・ボルグは物理法則を無視し、想刃に向かってグニャリと曲がった。


 ──逃れることは叶わない。ならば……撃ち落とすのみ!

 想刃はそう判断し、光と変わらぬ速度で腕を振るう。それは速度故に斬撃と高熱を纏い、腕から放たれた燃える斬撃は適確にゲイ・ボルグを撃ち落とした。


 想刃は一瞬の隙の間に、俯瞰する霊斗に蹴りを入れる。

 霊斗はニヤリと口角を吊り上げながらその蹴りを受けきると、そのまま想刃の体を自分ごと地面に叩きつけた。


 プロレス技を強化したかのようなそれは、想刃の骨を軋ませる。


「ガアッ!」

「お前に星は割れるか……? 俺ぁ割れるぜ……!」


 床に倒れ伏し、霊斗の蔦に拘束された想刃に180度まで脚を縦に開いた霊斗がその脚を振り下ろした。

 かかと落とし。それにしては威力が高すぎるソレは倒れる想刃の側頭部を打つように一撃を加えると、そのまま霊斗ごと宙に浮き、霊斗によって急激に上昇した自由落下の速度を伴って想刃に二撃目を加えた。


「がああっ!!」


 叫ぶ想刃。悲鳴というよりかは、咆哮と言った方が近いだろう。現に、想刃はまだ《《負けてはいない》》。


「──ほんっと、タフだなお前。いや、良いことなんだけどさ……ま、良いや。終作、客の案内は頼んだぜ」

「ちぇっ。気づいてたのかよ」


 霊斗のその言葉に、宙空から終作が現れた。


「……おいおい、そいつ本当に死んでないのかよ?」

「ああ、もちろん。こいつの肉鎧──いや、もう肉鎧じゃないか。まあ、そんな感じの奴、めちゃくちゃ硬いんだもんな」


 肉鎧を超える肉鎧。そう、超技術にはその先があるのだ。それは、常人であれば肉体を破壊する禁忌の術。霊斗ですら、弟子たちの誰にも未だ教えてはいない。──それは、霊斗が最も仲の良い弟子、白谷磔にもだ。


 肉鎧の究極形態たる姿──その名は『王の鱗(キングス・スケイル)』。

 表皮と筋細胞を破壊するほどの肉体硬化である。

 その技術によって攻撃を防いだ想刃は、地面からむくりと起き上がる。


「──まだ、まだだ」

「応。満足するまでやってやる」


 霊斗のその言葉に、想刃は駆け出す。霊斗にその拳が受け止められ、2人の戦いは再開する──。


◇◆◇◆◇


 これが20年前の出来事。それから2人は、食事なんかの休憩は入れつつだが、ほとんど休みなく戦い続けてたんだぜ?」


 何故か終作が自慢するようにそう言った。


「ふぅん……霊斗さんと張り合うなんて、想刃って人は凄いんだな」

「いや、霊斗は多分少しは手加減してるんじゃないか? ……5パーセント、いや、3パーセントくらいは力を抜いてると思うぜ」

「ごめん、具体的に数値化されても分からない」


 僕が正直にそういうと、終作は「だよなぁ」と半笑いで答えた。そう思うなら始めっから数字に置き換えんな!


「さて……そろそろ、あいつらが来る頃だな」


 終作がそう言うと、突如空間の狭間が開いた。

 そんなことも気にせず、終作はポツリと「あれ? 絶ちゃんどこ行ったんだ……?」と呟いた。

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