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東方神魔伝  作者: 甘味処アリス
本格編──最後の戦い編──
16/18

第7話『最終戦4』

遅くなって申し訳ありません…更新です!

 マグゼット・ラグナロク。その見えざる手が暴食によって断絶された空間の中から牙を剥く。

 そこに空間がないならば。その場所に触れることは即ち──不可能である。


「くそっ……! 何とかして、あいつに攻撃を加えることはできないのか!?」


 終作の叫びも虚しく、世界創世剣は空間断絶の壁に阻まれた。


◇◆◇◆◇


──相沢絢斗VSジャンヌ・ダルク──


「セイッ!」

「はあっ!」


 ルーラー、ジャンヌ・ダルクの聖女の旗と、絢斗の刀がぶつかり合う。


「ちいっ!」

「くっ!」


 2人は共に、耐久力に優れた戦士である。故に、その戦いは長く──決着のつきづらいものになっていた。

 絢斗の超技術による先読み能力と、ジャンヌ・ダルクの神の加護。それらによって、2人の戦闘は酷く地味で……それでいて、長く時間のかかるモノとなっていた。


「聖符『神の撃砲(ジーザス・フレア)』」


 ジャンヌ・ダルクの聖なる一撃が、絢斗に襲いかかる。


「読めてるぜ〜。全てな、ジャンヌちゃん」


 絢斗のその戦闘能力の高さは、同じ兄弟子弟弟子達の追随を許さない明晰な頭脳にある。

 圧倒的な頭脳は全てを予測し、読み切り、そして対処方法を瞬時に提案する。


 絢斗はジャンヌの放った光の砲撃を空高く飛んで回避すると、ジャンヌの背後から放たれる無数の追撃光弾を旋回、急降下、急上昇を駆使して回避する。


「はあ〜!」


 絢斗はその直後、超技術によって瞬間移動しジャンヌに向かって斬りかかる。


「見切った!」


 ジャンヌはそれを旗を使って防ぐ。

 神の加護のかかった旗、簡単には切れることはない。


「いや〜。やっぱ、強いね〜、ジャンヌちゃん」

「フン……本気なんかじゃないクセに」

「あらら。そんじゃ、そろそろ本気でいきますか〜」


 絢斗はそう言うと、2本目の刀を装備する。

 元の刀は木刀であるが、2本目は炎を纏う剣。絶対切断の概念の付与された刀──その名も、レッドクイーン。


「さあ〜。始めようか、ジャンヌちゃん」


 絢斗はレッドクイーンを装備し、二刀流にチェンジするとその鋭くなった眼光でジャンヌを睨みつける。

 次の瞬間、ジャンヌは本当の絶望を見る。


「いやいや。ただの村娘に負けるほど、俺は甘くないって。信じろよ、磔」

「絢斗、時間かけすぎだ。まあ、また不真面目にやってんじゃないかなと思ってな」

「不真面目結構、何事も楽しまなきゃ損だぜ。もっとも、もう終わったけど」


 絢斗が磔にそう宣言した瞬間。

 ジャンヌは、血を吐いてその場に崩れ落ちた。

 ジャンヌの体には、無数の傷跡が残っている。


「……神よ。コレが、博麗霊斗の……弟子たちの力というのですか」


 まったく、その姿を視認できなかった。

 自分とは明らかに違う世界の戦闘能力の高さであった。

 ジャンヌはただひたすらにそれを実感し、己の信じる者に問う。

 そこに答えはないが、しかし縋る様子は人々の有様を指し示す。


 その言葉の直後、ジャンヌは光の粒子となった消えていった。


「……レッドクイーンを使ったのか。お前にしては珍しいな」

「ま、ただの村娘じゃないのは事実だよね〜。救国の聖女、オルレアンの乙女。酷く不相応で……そして相応しい力だね〜」


 絢斗はそう言って、磔と共に次の戦場へと向かった。


◇◆◇◆◇


──VSセファールの白き巨人──


 セファールの白き巨人の拳の一撃を、ファラクがその巨大な頭殻で受け止める。


「今だ!」

「言われなくても分かっている!」


 刀哉は巨人の腕を駆け上がり、致命傷を与えるべく首を一閃。


「────!!」


 それに対し、巨人は声にならない雄叫びをあげる。その大音量は空間そのものを震わせ、刀哉を吹き飛ばした。


「うぐっ!」

「ふんっ!」


 ファラクがその長い尾を振り回し、巨人に叩きつけた。

 巨人はそれによって少し後ずさるがそのままファラクを掴み、投げ飛ばした。


「くっ!」

「まだまだァ──!!」


 吹き飛ばされた刀哉は復活して、飛んでくるファラクを踏み台に巨人へ距離を詰める。


「ハアッ!」


 巨人に、ようやく太刀筋が入る。

 しかし、その直後の巨人の咆哮によって刀哉は再び、大きく吹き飛ばされた。


「くっ……だが、効いた!」


 巨人は首についた傷を抑えながら、その肉体を改変していく。

 より醜悪なものへ、より強いものへ。


「ア……あああああああ!!」


 巨人は咆哮をあげながら、変貌する。

 肩には新たに二本一対の腕が生え、その付け根に巨大な翼が広がる。

 元々の右腕は黒い鎧のようなものに覆われ、その手には鋭い爪が生える。

 左腕は筋肉が膨張し、膨れ上がることで異形へと変化する。


 計4本の腕と翼を持つ、破壊の権化。

 セファールの名すらも捨てた、ただの破壊(デストロイ)が、そこにあった。


 刀哉が一歩踏み込んで間合いに入った、その次の瞬間。デストロイの4本の腕が一度に切り落とされる。

 そして、防御の術を失ったデストロイの首を迷いなく真っ直ぐに狙う。更に踏み込んだもう一歩が、刀哉の肉体を高く打ち上げた。


「斬る!!」


 その瞬間、セファールは空間を破壊(・・・・・)する。

 刀哉が宙空で武器を構えるよりも早く、圧倒的速度のヘッドバッティングが刀哉を吹き飛ばした。


「ガッハァッ!」


 刀哉はファラクに打ち付けられ、血を吐いた。


「むんっ!」


 ファラクはそれを意にも介さず、デストロイに向かって頭突きを見舞った。

 その衝撃にデストロイは吹き飛ばされる。強烈な巨大白蛇の一撃。それは数百メートルを超える巨人をも圧倒した。


 そしてそれに合わせ、刀哉がファラクの頭上で剣を構える。

 ファラクが宙空に浮かぶデストロイに対し、追撃にもう一度頭突きを食らわせる。それと同時に刀哉は剣を高く掲げ、そして──振り下ろす。


 それは、達人の放つ『飛ぶ斬撃』。剣先から放たれる、霊力によって創り出された斬撃がデストロイの霊核……胸を、的確に貫いていた。


「ぁぁぁぁぁぁぁぁ──!!」


 デストロイは霊核を失い、その肉体が抹消されていく。

 そして体に大きな傷の入った、銀髪と褐色肌の少女が残った。

 その少女は「ありがとう」と呟き、光の粒子となって消えていった。


 ファラクは刀哉を乗せたまま、その先に見える神殿へと向かった。


◇◆◇◆◇


上司&シルクVS龍崎神斗


 無限の根底、ウロボロス。

 全てを内包し、全てを司る龍神。

 その全てには、もちろんのこと根源すら含まれる。


「……上司って所か」

「そそ。上司って呼んでもいいよ」

「そうか。──して、そこなる狐の面。貴様……『奴』の同類だろう?」

「その『奴』っていうのは……まあ、あいつだよね。そう、そうさ。同類……言ってみれば似て非なる存在ってところかな」


 そう言って、シルクは双剣を構える。

 その衝突を遮るように、再び上司が言葉を発した。


「龍崎神斗。君は言ってみれば、異世界のファラクだろう?」

「上司、どういうことだい?」

「あのファラクとかいう白蛇。アレと龍崎神斗は全く同類のものであるということだよ。世界の根底に潜むモノ。全ての内包者であり、全ての土台たるもの」


 そう言って、上司は確認をとるように龍崎神斗を見つめる。神斗はそれに真っ直ぐに見つめ返し、そしてため息を吐いてから言葉を発した。


「そうだ。俺はこの宇宙におけるファラクの役割を担う者だ」

「そうかい、それは良かった」


 そう言って、上司は龍の力を持つ黒い刀を取り出す。そして、その姿も見慣れた青年の物へと変貌した。


「『お前を殺せば全て解決』。お前を殺すことでこの宇宙は崩壊し、俺たちの宇宙は助かるだろ。……今更殺せないなんて言わせない。そもそも、お前たちの宇宙は他の宇宙から見たら癌みたいなもんだ」

「左様。汝もまた、宇宙の叡智を携える者であったか。ただし……」


 神斗はそこまで言って、自らも星の聖剣を携える。ビキビキと宇宙空間すらも悲鳴をあげ、ヒビが入る、


「自分が死ねば自分の世界が崩壊する……それはお互いさまだろう?」

「それもそうだ」


 星の聖剣と黒い刀が衝突した。


「……こりゃ唯の星の聖剣じゃないな」

「無論」

「俺もいるんでお忘れなく」


 次の瞬間、上位次元者(シルク)の時空改変が龍崎神斗に襲いかかる。存在の不定化、抹消の時空改変が。


「ここはお前の支配空間じゃねぇぜ」


 その能力は神斗の放つ防御能力と相殺し、時空改変は防がれた。


「チッ……!」


 シルクは仮面を外し、身体能力を底上げしながら龍崎神斗へと迫る。

 神斗はそれに対して、霊斗のスペルである『霊時空』で大量の弾幕をばら撒くと同時に、上司の振るう剣戟を防ぐ。


「お互いに能力は互角か……極星『終焉の隕石』」


 上司の背後に巨大隕石が出現し、神斗に迫る。


「龍符『無限の(ウロボロス)撃砲(・ブラスター)』、反発『反転人間磁力』」


 神斗は迫る隕石に対してビーム状のブレスを放つ。その後自らとシルクの場所を入れ替え、シルクに付与した磁力によって隕石へと弾き飛ばした。

 しかも、霊時空の弾幕にも磁力を付与することによって、シルクへと弾幕が向かうままだ。


「うげぇ!? 書き換え!」


 シルクは能力によって隕石を消去し、自分に付与された磁力を掻き消す。

 その直後、霊時空の弾幕とブレスがシルクや上司に迫った。


「制圧『流星群』、食欲『捕食者』」


 上司は自身の背後から無数のエネルギー弾を撃ち出して霊時空を相殺し、またその手の中にブレスが吸収された。


「炎天『プロミネンス』残滅『ラストオブジェノサイド』」


 次の瞬間、太陽のプロミネンスが神斗へと襲いかかる。その温度は凡そ80000度、神斗はそれを剣の一振りで斬り裂き、さらに迫り来る無数の光線を結界を展開して防いだ。


 シルクが双剣を携え、再び神斗へと迫る。

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