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東方神魔伝  作者: 甘味処アリス
本格編──最後の戦い編──
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第1話「衝突」

 霊斗が気絶した桜を抱えて戻ったとき。今まで嗅いだことのないような、『死の匂い』が充満していた。


「……なんじゃこりゃ」


 能力を使えば予見もできただろう。だが、彼は完全に油断しきっていた。

 地面には遊楽調に来ていた異世界の住人達や英雄、英傑が倒れ、その中心には白く巨大な蛇──倒れたファラクと霊斗のよく知る人物が居た。


「お前は……! 省! この状況はなんだ! まさかお前が……!?」

「……本当は君も分かっているくせに、どこまでも道化を演じるとは……」


 そう言ってため息をつきながらも、ソレはわざとらしく大振りな身振り手振りで振る舞う。


「よく来たね。我が最愛の主人公、博麗霊斗くん。傲慢の魔神、上位次元者たる我の存在の恩恵の賜。君も分かっているだろうが……これは僕がやった。あぁ、もちろんだけど殺しはしてないよ」


 霊斗の振るった全てを切り裂く刀の一撃を、上位次元者はさも当然のように片手で防ぐ。確かにそこに存在はしているのだろう。だが、ソレに影響を与えることはできない。


「──霊斗。邪魔をするな。そうすれば世界は救われる、我が力の前で、全てを消去する。例えば、この白蛇を殺せばどうだい? ──なあ? お二方」


 上位次元者の問いかけに応えるように、神谷神姫の上司と終作が姿を現した。


「コイツを殺して世界を壊すのも、一興じゃないかい?」

「そうだな、確かに魅力的な相談だ。おもしれぇ。だがよォ……お前さん、その後は俺たちの世界を滅ぼしにかかるだろ。俺たちはお前には賛同できないな」

「……そうかい。残念だね」


 上位次元者は終作の拒絶に残念そうな顔をすると、終作の存在を根元から消し去る。──即ち、終作の本体と化身の繋がりを保存した上で本体を消滅させたのだ。


「……チィッ。くそっ、やらか──」


 言い終わる前に、終作は消えてなくなる。残滓すらも残さずに消える。


「君はどうするんだい?」


 相変わらずモザイクで全身を隠した上司に、上位次元者は問い尋ねる。


「──そうだね。君を殺すことを、質問の回答としよう」


 上司は、本気で怒っていた。

 自分のできうる限りでの、全力の攻撃。ありとあらゆる干渉が、上位次元者に襲いくる。

 ──だが。その干渉は1柱の龍神に止められる。


「悪いが、俺はコイツに勝てない。全てを諦めた屍に、制裁を与えてくれ」


 登場して早々、諦観の篭った声でそう話した龍牙。コイツというのは、おそらく上位次元者。全てを諦めた屍というのは、龍牙自身のことだろう。

 そして、龍牙に引導を渡すのは同格の存在たる上司の役目だ。


 不意に、霊斗の背筋が凍る。寒気が走る。周りを見渡せば、そこにいるのは自分ではどうしようもないほど大量の『外部存在』であった。


 旧支配者、外なる神の王たるアザトースをはじめとする外なる神の錚々たる顔ぶれ。

 旧神の王たるノーデンスをはじめとする、旧神の錚々たる顔ぶれ。


 世界の支配者たる彼らにとっても、これは許されることのない業であるということか。


 彼らが、上位次元者に迫っていく。

 上位次元者はそれを背面跳びの要領で空高く跳ぶと、迫る触手をかわし、切り裂いていく。

 上位次元者の手から放たれる魔弾は、彼らを軽々と蹂躙した。


「……ここまで一方的というのも、つまらないモノだね」


 そう言いながらも、上位次元者はどこからか取り出した拳銃の銃口を動けなかった霊斗の額に押し付ける。


「最後の問答だ。霊斗、邪魔をしてくれるな。これは、この宇宙を唯一とする、世界を救う大事業だ」


「……終作たちも言ってたが。他者の世界を巻きこみ、滅ぼすなんて、そんなの間違ってる!!」


「……ほう。それは、僕に対する拒絶ととって良いんだね」


 上位次元者の放つ銃弾は。霊斗の皮膚を貫き、脳漿をぶちまけた。


◇◆◇◆◇


「──そして、時間は巻き戻る」

「唯一にして、絶対なる力の下」

「我らが権能、お見せしましょう」

「汝らの輪廻をここで断たん」

「時すらも司りし黒騎士よ」


『開戦の雄叫びを挙げよ』


「……ふぅん。君たちまで、そういうことをするんだね。ウロボロスたる三柱。原点(オリジナル)たるイフ。聖なる杯を持つ騎士」


 そこには、全てが揃っていた。──否。全てを揃えたというべきだろう。

 どこからか連れてこられたアルマも、復活したファラクや終作、来ていた異世界の住人達も。


 そして、霊斗と桜も。


「……そうだね。バッドエンドにはまだ早い。君たち、ゲームをしよう。僕の元にたどり着いて来たまえ。そして、僕を納得させてみろ」


 その言葉とともに、数多の英霊が再復活する。そして、上位次元者はどこかへと消えていった。


「俺の名はクー・フーリン! 荊棘の槍を喰らいたい奴はどこのどいつだ!」


 クー・フーリンの名乗りと共に、ゲームは開幕した。

 クー・フーリンの振るう槍を、磔が受け止める。


「チィッ!」

「逃すか!」


 一旦引こうとしたクー・フーリンに追撃するように、磔はそのスピードに追いつく。


「霊斗! お前はあいつを追え! こいつは俺が仕留める!」


 白谷磔VSクー・フーリン


◇◆◇◆◇


「ごめーん、何があったのかぜーんぜん、理解できないんだけどー!」


 アルマはそう言いながら、上から振り下ろされる巨大な斧をバックステップで回避する。


「□□□□□□!!」

「あれ? あいつ、どっかで見た顔じゃね?」


 アルマは誰かに向かってそう言うが返事はない。

 アルマの目の前にいるのは、巌のような大男……大英雄、ヘラクレスだ。

 その男から容赦なく拳が、棍棒がアルマに襲い掛かる。


「ちょまっ!! 誰か! 誰かヘルプミー!!」

「てーい!!」


 アルマの声を聞きつけてか、狼天狗の狼が異常なまでの速度を伴って奇襲からの跳び蹴りをかます。──もっとも、それは大英雄たるヘラクレスには避けられるのだが。


「……チェンジで!!」

「せっかく助けに来たのに!?」


 狼&アルマVSヘラクレス


◇◆◇◆◇


「あんたまであんな奴に屈するのね!? アーサー!」


「安倍桜。懐かしいですね。ですが、私たちにも相応の目的と覚悟があるのです。──死んでください!」


 アーサー王のエクスカリバーと、桜の大剣が衝突する。

 武器破壊の概念を付与されているはずのエクスカリバーは、しかし星造兵器故に壊されなかった。


 桜が少し距離をとったその瞬間、アーサーがエクスカリバーを振るう。それだけで桜の視界は光に包まれ、身体中が熱に包まれる。

 いくら人魚の肉で不死身とはいえ……このままでは、精神が摩耗するのもそう遅くはないだろう。


 桜は再復活し、アーサーに接近する。その両手には二本の短剣が握られていた。霊斗に渡された短剣だ。


「接近戦ばっかりやってるけどしょうがない……! 受けて立つわよ、アーサー!」


 安倍桜VSアーサー・ペンドラゴン


◇◆◇◆◇


「主よ。この不貞なる我が身をお許しください! 天地に遍く英霊達よ! 仲の良し悪しはあるでしょう。しかし、今は互いに手を取り合い、背中を合わせ、押し寄せる敵に対抗し、勝利を掴め! 我が真名はジャンヌ・ダルク!」


 ジャンヌ・ダルクは高らかに声をあげながら、絢斗へと迫って行く。

 絢斗はジャンヌの振るう旗を受け、流し、弾く。


「大層な名乗りだね! 俺の名前は相沢絢斗!」


「「いざ、勝負!!」」


 相沢絢斗VSジャンヌ・ダルク


◇◆◇◆◇


「フハハハハハ!! いいぞ、もっとオレを楽しませろ!」


 そう言って黄金の鎧を纏う王、ギルガメッシュはバビロンの宝物庫からたくさんの宝具を射出する。


 終作はそれに対して、真っ向からまったく同じものを作り、相殺させる。


「ヘェ……すげェ! 宝の山だな! 売ればいくらになるかな……!!」

「戯け! このコソドロがぁ! そんなこと、させてなるものか!」


 ギルガメッシュが怒ったその瞬間、ギルガメッシュを狙って死角から鋭い斬撃が迸る。

 ギルガメッシュはそれに対してイージスの盾で防ぐと、次の瞬間終作が殴りかかる。


 終作が殴り返された途端、先ほどの斬撃を放った海斗が斬りかかる。

 ギルガメッシュが魔力を放出し、2人を弾き飛ばす。


「ええい! ちょこまかと!」

「ウザい、キモい、メンドくさいは俺の得意分野なんでな!」


名誉会長&馬海斗VSギルガメッシュ


「「なんで俺たちだけ表記がふざけてんの!?」」


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