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闇のカラス・改訂版  作者: 黒田明人
闇烏1
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 高校2年の冬、春の修学旅行の話が出る。行き先は沖縄となっていたが、オレは行く気は無かった。

 旅行に行ってまで友達芝居をやる気が無かったからである。

 親はすっかり放任となっており、オレが行かないと言っても、そうか、で終わった。

 しかし、学校としてはそれも授業の一環で、行かなくても学校には来いと言われ、オレは図書館に入り浸るようになる。

 朝、職員室に顔を出し、登校確認をして図書館。昼を食ってまた図書館。

 そして夕方にまた職員室で帰宅の挨拶。これを旅行の間中やった訳だ。

 この頃には1時間ぐらいで学校に来れるようになっていたので、特には苦にはならなかった。

 ただ、教師はオレの行動をこっそり見ていたようで、図書館に入り浸るオレを不思議に思っていたらしい。

 なんせオレは授業は寝るばかり、テストは赤点ギリギリ、運動は最低点と、良い所が全く無い出来損ないみたいな生徒だったのだから。

 てっきり体育倉庫とかで眠ったり、途中で抜けて遊びに行くと思っていたようだったからだ。

 最終日に、実に意外だったと調査の結果を言われ、ちょいと甘かったかと思ったのだった。

 それでも授業が始まるとまたしても同じ生活となり、教師達は恐らく図書館で寝ていたんだろうという結論に至る。

 夏休みに入るとまたしても女との生活が主となり、昼は図書館、夜はバイトと女との生活、深夜と早朝はトレーニングといった日々となっていた。


 そのうち女の仕事が巧くいかなくなる。


 30代になった女は、勤め先から進退を伺われる存在になったようで、オレは仕事先の変更の相談を受ける。

 オレはどんな仕事でも変わらないよと、女を後押しした。

 そうして隣の県、つまりオレの学校のある県へと引っ越す事になる。

 とは言うものの、端と端なので距離的にはそこまで近くなった感じではない。

 新しい勤め先は港の近くのキャバレーで、女が勤めを辞める1ヶ月前にオレは、部活を始める事になったという理由でバイトを辞めた。

 中学の頃から勤めていてベテランになっていたオレは、引き止められたけど、それでもオレの意思は変わらず、残念だけどと諦めてくれたようだった。

 バイトにあるまじき退職金を貰い、送別会もどきな事までして貰い、店の女達からも送別の挨拶を貰い、あの女も素知らぬ振りして送別の挨拶をした。

 界隈で見られると拙いので、女には1ヵ月後の再会と、マンションを引き払う事になる。

 オレの荷物は殆ど無かったが、生活用品は女が預かって、引越し先に一緒に持って行く事になった。

 そしてオレは女が先に借りたマンションで独り暮らしをして、女を待つ事になる。

 引越しの荷物も少しずつ移していき、店を辞めたら即座にこっちに来る事になっていた。

 キャバレーでの給与は35万に落ちたが、オレへの額が減る事は無く、減らそうかと言ってはみたが、構わないと言われた。

 減らしてそれっきりになったら困ると思ったのかも知れない。


 高2の秋、地味にしていたのにどういう訳か体育祭の選手にされた。

 断ったのだが、何人かが推薦しやがって、教師もそれに乗っかった形となり、無理矢理の決定だった。

 確かにいくら地味にしていても身体がごついからいけると思ったのかも知れないが、部活の勧誘も全て断り、バイトと女との生活に費やしてきたのに。

 そんな余裕は本来は無いのだが、そんな陰謀みたいな話に巻き込まれ、残念ながら断れなかったという訳だ。

 それでも練習は全てサボり、図書館で過ごした。

 辞めたバイトの次が見つからず、その分を学識の収集に宛てる事になりはしたが、それでも毎月40万の収入なので特に困りはしなかった。


 体育祭当日、オレは腹に包帯を巻いて登校した。陰謀への意趣返しである。

 偽傷を疑うが、包帯を解けとは言わなかった。

 その代わり、ヤの付く自由業の方達に刺されたって噂が広まった。

 確かに港のキャバレーには酒癖の悪い筋者が居る事は居るが、ヨッパに刺されるようなマヌケではない。

 それでも噂などはどうでも良かったので無視しておいた。

 しかし、ちょっかいを出しても反撃しないと思ったのか、このオレに対して苛めをしようと思った奴が出たんだが、当時のガタイでよくしようと思えたものだ。

 いじめの加害者の身長は160センチ、オレは180を軽く超えていた。

 体重も90が近く、その殆どは筋肉の重量だったと言うのに。


 だけど、いじめはすぐに終わった。殴られても痛くなく、反撃したら吹き飛んだからである。

 それっきり、そいつがいじめに走る事はなく、オレを見たら逃げるようになっちまった。

 1発は先に殴らせて、正当防衛で蹴っただけなのだが、横蹴りでそいつは軽く10メートルは吹き飛び、しばらく起き上がれなかった。

 教師には殴られたので反撃したと答えたが、喧嘩で処理された。

 不合理だと思ったが、正当防衛の正当性など、学校の中で通用するとは思えず、そのまま引き下がった。


 それからしばらくは静かだったが、秋の終わり頃、3年から呼び出しを食らった。

 目立つのは嫌だから断ろうと思ったが、自転車にまたがったところを囲まれた。

 そのまま突っ切っても良かったが、面倒なので処理する事にした。

 話を聞けば喧嘩のお誘いという、いわゆる果し合いみたいなもの。

 理由を問えば手下が世話になったと、訳の判らない理由を言われ、正当防衛を主張したが鼻で笑われた。

 なので夜は誰も来ない、港の外れの寂しい空き地に、深夜の2時を指定した。

 忙しいからその時間じゃないと無理だと主張したのだが、相手は珍走団に知り合いがいるのか、好都合だと言うように承諾した。


 獲物のチョイスには迷ったが、鉄パイプに決めた。


 後はバタフライナイフを腰に挿し、念の為に腹に電話帳を当ててサラシで巻いておいた。

 あいつらは6人だが、何十人応援が来るか判らない。全員仕留める為には万全の準備が必要だと思ったからだ。

 数日前に下見をして場所の把握を済まし、罠を仕掛ける場所を決めておく。

 そうして日々、計画の不備を探す事に勤しみ、当日は女には用事があると、夜の行為を無しにさせ、12時には現地に着いて罠を仕掛けた。

 広場の入り口に油を撒き、滑っていく先のガードレールのネジを緩め、転倒した奴はそのままガードレールを突き破って海に転落するだろう。

 何台潰せるかは知らないが、どのみち全て殲滅の予定だし、多く引っ掛かってくれると良いと思った。

 こうして外港乱闘事件の準備が整ったのである。

 

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