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闇のカラス・改訂版  作者: 黒田明人
闇烏3
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28

 

 ……また……かよ……神様……オレで……遊んで……ないかよ……また……同じ……



 ……もう、いいだろ……このまま……寝かせて……くれよ……なぁ……



 ……うっ……くっ……これは……多分……脳の……容量が……だから……なの……か……


 ◇


 慣れたのか? 慣れたんだな、きっと。

 今度は1才で意識を取り戻した。

 1才と判ったのは、そんなお祝いをしていたからだ。

 小さなケーキのような物体に、ロウソクを1本立てて騒いでいたから。

 だが、あれはケーキの形をしていたが、クリームは無かった。

 そう、例えて言うならば、ホットケーキに良く似たパンのような……


 だが、言葉が理解出来ない。

 そして、見た事も無い両親の姿。

 やっとあの頑固な親から逃げられたのか。


 それならまだましか。


 聞いた事も無い言葉だが、法則性を見つけると、そこから少しずつ理解が及んでくるが、何処の外国だろう。

 欧米人のような両親と言う事は、オレもそうなんだろうな。

 とにかく、部屋に鏡が無いから、自分の姿が判らんぞ。


 後、肝心の性別も、よく分からん。


 普通、1才にもなれば動けるはずが、横になるとまともに動けないんだよな。

 だから未だにおしめの世話になっている訳だが、取り替える時に突起物に手が当たる感触がある。

 もしや、元に戻れたのか? やれやれ、もう女は懲り懲りだぞ。

 抱かれるのは特に思わんが、月の友の処理が面倒だし、血の匂いを振りまくのには参ったな。

 後は筋肉もまともに付かないし、胸を強打すると堪えるんだよな。


 なにはともあれ、今は赤ん坊芝居をやるしかないな。

 人生芝居もこれだけやると、対象が赤ん坊でも特に羞恥は感じんな。


 さあ、泣くぞ。


 泣いて、飲んで、寝て、出して、泣いて、寝て、泣いて、飲んで……こうなるとパターン化したような気がするな。

 とにかく今は何もやれないから、育つ事だけを考えればいい。

 だけど、妙に胸がもやもやすると言うか……


 なんだろう、この気持ち。


 いや、これは気持ちじゃないな。

 そう、身体の中を何かが動いているような。

 なんだよそれ、何かに寄生されてんのかよ。

 どうにも気持ちが悪いが、これの正体が知りたいものだな。


 だが今はまだ、飲んで、寝て、出して、起きて、泣いて……


 もやもやに意識を向けると、何となく動きが変わったような。

 これ、意識のままに動かないか?

 ずっとやってみているんだが、少しずつ意のままに動くような気がするんだが。


 これ何だろうな。


 少しずつ、そう、本当に少しずつ、やればやる程、意識のままに動くもやもや。

 ああ、習熟の必要がありそうだな。

 とにかく暇なので、やる事と言ったらこればかり。

 日に日に動かせるようになるようで、段々と思うままに動くような。

 目で見ている感覚じゃないのに、それが判るってどういう事だろう。

 だがまあ、そんな事はどうでもいい。

 ひたすら動かして、動かして、折角だから循環させて、循環させて……


 これは面白いな。


 思うままに動くじゃないか。

 今は動脈と静脈のように、心臓を中心に全身をもやもやが循環している。

 まあ、させているんだけど。

 なんかこうしてると妙に、気だるさが消えていくような。

 そしてその量も少しずつ増えていくような……

 なんにせよ面白いからひたすらこれで遊ぶか。


 だって本当に暇で暇で仕方が無いのだから。


 もやもやで遊び始めてから数ヶ月が過ぎ、そろそろ次のステップに進もうと思う。

 はっきり言うと、ただ寝ているのに飽きたのだ。


 ごろり……ごろり……ごろり……寝返りを打ってみる。


 思ったより簡単にやれるんだな。

 気付いた頃はまともに動けなかったから無理だと思ったが、こんな事ならもっと早くやってみれば良かったか。


 やるのは主に夜。


 昼間はパターン化した芝居をひたすらやっているので、夜は逆に眠れない。

 だから色々と身体を動かしてみているんだけど、やけに成長が早いな。

 確かにもう1年ちょっとだから、それも普通だとは思うけど、あの身動きすらやれなかった頃からすると、短時間に平均に追い付いている感じだ。

 多少、プルプルするけど、馬の形になってみて、前に、前に、前に……くっ、きついな。

 だが、疲労を感じてももやもやを循環させると、その疲れが消えていくような……


 これはいけるかも。


 夜毎の運動はステップアップしていき、今では部屋の中をハイハイしながら巡回している。

 親は隣の部屋で眠っているので、音さえ出さなければ問題あるまい。

 家具まで行ったらそれに掴まって、うっくっ……足がプルブルするぞ。 


 ふぇぇ、きついな。


 だが、循環……循環……ふう、何とか立てたか。

 循環が無かったら無理だったな。

 しかし、足が前に出てくれん。

 片足になるとバランスがヤバい。


 無理は禁物だな。


 何とか家具まで這って立つまではやれるようになってきた。

 歩くのがまだきついが、循環させながらなら、少しは歩けるようになる。

 数歩歩いてしゃがみ込み、また這って家具に言って立って歩く。

 その繰り返しで眠くなり、また明日の夜となる。

 日々成長しているようで、これはやるだけの事があるな。

 明日はどれぐらいやれるか……楽しみだ。


 うっ、我慢はまだきついか。


 漏れそう……くっ、うっ、いかん、漏れる……だはぁぁぁ……きついな、まだ我慢はやれそうにない。

 そういや女は男よりもこの手の我慢がやり辛いと聞いたが、やはり本当なのか?

 以前よりは我慢出来そうな感じなんだが、まあいい、とりあえず泣いて交換してもらうか。


 そうやって毎晩、訓練をやりながら、もやもやを活用して成長していく。

 目に見える成長というのは、本当にオレのやる気を刺激してくれるな。

 この分では1ヵ月後ぐらいにはその場から立ち上がって歩けるようになりそうだぞ。


 そうして我慢も少しずつやれるようになり、そろそろトイレに自分で行けるようになりそうだけど、さすがに深夜の独りトイレはうっかりドボンが怖い。

 まあ、もやもやを使えばそこまでの事も無いが、使わないとまだきついのがネックだな。

 もやもやを使わずに今、使ってやれる事がやれるのが理想だけど、使えば更なる事がやれるのでつい、先々のほうを選んでしまっている。

 いわばもやもや使いは予習、使わずに実践は復習って感じか。


 それにしてもこのもやもやだけど、循環していくと段々と水のような感じになってきた。

 例えて言うなら、グラニュー糖の流れがすり潰されて、粉砂糖になった感じか。

 滑らかになったと言えば良いか、とにかく動きがスムーズになっていくのだ。


 それともうひとつ。


 指先からそれを少し出せたりする。

 透明なのに、見えると言うか感じると言うか。

 舐めてみるが、味は無いんだけど、別に毒でも無いようだし、ここは口を経由しての循環もやってみるか。

 指先から出るもやもやを吸って、体内のに合流させ、また指先から出して吸って合流させる。


 うん、これも面白そうだ。


 出しているとその量が増えていくようなのでもう、ゴクゴク飲んでいるぐらいだし。

 もっとも、飲むと言っても舌触りも喉越しも無いから変な感じだけどな。

 でもこいつは相変わらず正体は不明のままだ。


 それはそうと、夜は歩き回り昼は寝るってやるのは良いが、夜行性になりそうだな。

 昼夜逆転の生活は、そのうち治さないと拙い気がする。

 しかし、身体は変わったと言うのに、夜目は相変わらず利くんだよな。

 だからこそ、真っ暗の中でも練習が出来るんだし。

 月明かりや星明りがあれば、部屋の中は大体見える。


 今日もこうやって……うえっ? 


 どうして月が2つある。

 ここは地球じゃないのか?

 それとも、衝突衛星の接近か?

 どうにも変な事になっているようだな。

 

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