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闇のカラス・改訂版  作者: 黒田明人
闇烏2
27/35

27 ending

 

 今年は指定楽曲をやるって事で、関連の会社の人も期待しているらしい。

 出るのはやっぱり男装なのは、オレに対する虫除けの意味。

 あいつ以外の男に抱かれる気は無いんでな、そういう虫は予防が大事と。


 女が来ても問題無い。


 抱こうにも肝心な物が無いんだから、変にハニトラしようとしても、百合かと聞くだけだ。

 自ら恥を掻きたいなら、オレに強姦されたと言うがいい、クククッ。

 順番が来るまで他の出演者の演奏をのんびりと聞く。

 どうせ義理なんだし、好きなピアノをただ弾くだけの事。

 指定楽曲なのは、クライマックスが激しいのが好きなだけ。


 お、そろそろか……楽しみだねぇ、クククッ。


 ◇


 静かに始まり、段々と高まっていく緊張感。

 来るぞ、来るぞ、もうすぐ、来るぞ。

 突然に始まる激しいクライマックス。

 ああ、この感じ……思い出すな。


 もっと殺し……いや、弾きたい……もっと……もっとだ。

 さあ、何処に逃げても殺して……さあもっと……もっと……もっと……はぁぁ……楽しかった。


 うおおおお……なんだ、なんだ。


 他の出演者とか、そんなに激しい拍手してないだろ。

 びっくりするだろ、いきなりよ。

 関連の会社の人、義理なのに社員に頼んでんだな。

 拍手も仕事か、ご苦労様だな。

 まあいい、終わったから帰ろうか。

 そう思ったのに、待てと言われても困るんだけどな。

 何か知らんが、高得点が出たらしい。


 いかんよ、不正は。


 関連会社の人、ちゃんと厳正に審査しないと。

 義理で出た組織の人間に高得点とか、他の出演者が怒るぞ。

 そう思って関連会社の社員さんと思しき人に、こっちは義理なんだから他を優先するようにって、いちいち言わないといけないのかよ。

 でも、言ったらホッとしていたから、きっと厳正なる審査に戻るな。

 誰だよ、関連会社に圧力かけるのは……義理だろ、義理。


 ふうっ、楽しかったな。


 また来年も出て良いのかな。

 のんびり見てると優勝は、どっかの貴族さんの娘さんとか。

 準優勝はどっかの富豪の息子さんとか。

 その次はどっかの大手の……うえっ? 

 義理だと言ったのに、どうして3位なんてのにするんだよ。


 もっとこう、8位とか10位とかさぁ。


 やれやれ、来年はきちんと義理の分は選考外にするんだぞ。

 オレはただ、弾きたいから弾いただけで、出たのは義理なんだから。

 賞状くれたけど、後できちんと言ってやらないと。

 あんまり組織の出演者を上にあげたら、当局から目を付けられるだろ。


 そこに不正が云々って、少しは考えてくれよな。


 ◇


 コンクールが終わり、外に出たら関連の社員さんに呼ばれて、何かと思えば平謝り。

 おいおい、何で謝るんだよ。

 あの2人を外す訳にはいかなかった?


 本当は優勝?


 そういうおべっかは要らないから、次からはちゃんと選考外か、もっと下の順位にするんだぞ。

 よし、これぐらい言っておけば良いだろう。

 やれやれ、義理で指定だからと、ちょっと不正をしたんだな。

 来年は本当にきちんとしてくれよな、頼むから。


(ボス、彼、自己評価が低すぎないですか)

(ははは、何か言われたのか)

(ええ、あんなに素晴らしい演奏なのに、不正をして3位なんかにしたとか)

(それは逆の意味ではなくか)

(もっと下じゃないのかって言われまして)

(まあいい、あいつはそういう人間だ)

(珍しいですね)

(東洋の人間にはそういう者が多いそうだが、あいつはまた特別だな)

(え、東洋人なんですか)

(おっと、そいつは極秘だ)

(判りました)

(来年も良いか)

(勿論です)


 義理で落ちてたコンクールに3位とかで、酒場に繰り出してって、ただオレをダシにしてるだけだろ。

 まあいい、そう言う事なら行くのも良いさ。

 行くと何故かピアノが置いてある。

 え? リクエストを弾け? まあ良いよ。

 でも、知らない曲は無理だからな。

 そう思ったけど、有名どころのリクエストが相次ぎ、オレのピアノを聴きながら、酒盛りは夜遅くまで続いたのでした。

 ジュニア、飲みすぎで寝ちまったか。

 やれやれ、背負って帰ってやるからな。

 ううむ、後ろに落としそうだな。


 仕方が無いから姫抱きだ。


 子守唄の鼻歌でストリートを歩く。

 歌は得意じゃないが、子守唄はいくつか知っている。

 潜入で使うんだよな、こういうのを意外と。

 現地の子供に馴染むには、現地の童謡を知るに限る。

 子供に馴染めば大人にも馴染むが、大人に馴染んでも子供には馴染まない。

 そして真に馴染む為には、両方に馴染む必要があるってか。

 あの教官、もう教官やっているのかねぇ。


 懐かしいねぇ。


 ◇


 もうじきアジトだからな。


 最近、仕事が忙しかったから、酔いが派手に回ったんだろう。

 まあもうじき跡を継ぐんだし、しっかり仕事をやっているところを見せないとな。

 その前に、ちゃんと恋人を作るんだぞ。

 こんな何処の馬の骨かも判らんような、身元のはっきりしない女とか止めて、きちんした家の娘さんにしろよ。

 お前が結婚したいと言えば、少々能力が低かろうが関係無いからよ。

 鍛えれば良いだけだ、それで良い夫婦になるさ、きっと。


 だからこんな女は……パーン……やれやれ、無粋だねぇ。


 折角……ここまで……後3年……で……もうじき……成人……だった……のに……


 せめて……ジュニア……だけ……でも……


 おい……誰か……いない……のか……


 ドサン……


 はぁぁぁ……おまけの……人生……も……これまで……か……








(誰がやった)

(へい、次期候補ナンバー2で)

(殺せ)

(へいっ)


(ジュニアを抱いているとは思わず、あいつを抱いていると思って、抱いているほうを狙ったのか。それであいつが身代わりになったんだな。これからと言うのに、ジュニアの代わりに守って逝ったか。本当に得がたい……なんて事だ……潰してやる、殲滅だ)

 

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