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闇のカラス・改訂版  作者: 黒田明人
闇烏2
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 どうにも気になって仕方が無いんだけど、オレの下をどうして作らないのかを聞きたいんだけど、まともに聞くのは拙い。

 それとも、もしかしてオレの存在が邪魔になっているのか?

 オレは別に横でファックされても気にしないが、やってる連中のほうが気にするのなら何か考える必要があるだろうな。

 そう思い、クラスの女子の中で一番仲の良いやつに、花金のお泊りの提案をしてみる。

 そうすると妙に嬉しそうに承諾したんだけど、何かあるのか?


 家に帰ってその事を話すと、珍しいわねと言われて承諾された。

 着替えやら色々小物をカバンに詰めていると、先方の母親が子供を連れて車で登場。

 家族ぐるみで賛成とか、本当に何があるのか逆に不安になってくるぞ。

 車ではやれ強いんだよとか、優しいんだよとか、えらく持ち上げる彼女。

 確かに苛められている時に助けたが、それぐらいの事は関係無いだろうし。


 後は給食のおかずトレードの件か?


 こいつの嫌いなおかずと好きなおかずを交換してやってたが、牛乳と野菜が嫌いと言うのがよく判ったぞ。 

 けどそれぐらいでこんなに懐くのも変だよな。


 原因は不明ながら、感情がプラスなので悪い気持ちもしないまま、車は一路彼女の家に向かっていく。

 そうして到着して案内され、失礼しますと家にお邪魔して、ふと見るとピアノが置いてある。

 聞けばオレとは教室が違うが、彼女も習っているらしい。

 聴かせてくれと言うと、嬉しそうに弾き始める彼女。

 中々良く練習しているようで、かなりの腕前だ。

 そこんとこ、もうちょっと弾むように弾くと良いんじゃないって提案してみると、もしかして弾けるの? って問われる。


 楽譜を見ると、歌謡曲っぽい楽譜。


 ううむ、オレんとこはクラッシックばっかりなのに、面白そうな曲をやるんだな。

 まあいい、こいつを弾いてみるか。

 曲のイメージは判らないので、感じたままに弾いてみる。

 歌詞があるのでそれに合わせたイメージだ。

 クラッシックにはこれが無いので、イメージ作りに苦労するが、歌詞があると実に楽だな。

 曲が終わると妙に興奮して、凄い凄いって褒めてくれるが、そこまでのものとは思えないんだが、まあ良いか。

 客に対して下手だとしても下手だなとは言えないものだし、社交辞令のようなものなのかもな。


 ともかく、すっかりピアノ仲間になった瞬間だった。


(あの子、娘の恋人君かい?…あなた、相手は女の子よ…え、こりゃ参ったな。えらくイケメンだから、てっきりそうかと思ったよ…確かに学校ではナイトみたいらしいけどね…そうなのかい…苛められている子を助けたり、困っている子を見つけると相談を受けたりしているんですって…成程ね。だからあんなに恋する乙女みたいな雰囲気になっているんだね…確かに見てるとカップルみたいだわね…だろう、だからそう思ったのさ…くすくす)


 オレが欲しがらないから家には玩具も少ないが、この家にはたくさんあるようで。

 こちらも独りっ子のようだが、ボードゲームとか親とやっているのか。

 確かに全くの無知という訳ではないが、知らないタイプのボードゲームとなるといささか勝手が違う。

 勝ったり負けたりと、楽しい時間が経過し、夕食をご馳走になって風呂に一緒に入る。

 さすがに竿とタマが無いとムラムラせんな。

 髪を洗ってやり、背中も洗ってやる。


 湯船に入ると胸の話が始まる。


 オレのは中に筋肉が入っているんだよ。

 筋肉の上に乳房があるからであって、でかい訳じゃない。

 それに大きさはまだまだ発展途上だろ、お互いに。

 それでも悩んでいるようだったので、大きくなるおまじないをしてやった。


 すなわち、揉んでやったのだ。


 自分でもやってれば大きくなるよと言えば妙に真剣に聞いているが、信じるか信じないかは自分次第。

 まあ、オレは信じてないんだけどな、クククッ。


 布団に入っても色々と話は尽きないようで、好きな子の話になる。

 と言ってもオレに聞くばかりなのだ。

 特に居ないと言えば妙に嬉しそうなんだけど、お前って百合の気があったりするのか?

 まあ、男としての立ち回りは熟練しているから問題は無いが、デートしたいならしてやるぞ。

 普段、余計な金は全て貯めているので、小遣いに不足は無い。

 一応、小遣い全てとお年玉全ては財布に入っている。

 街に出て男物の服を買って変装して、デートでもやってみますかね。

 明日はデートでもしてみるって聞くと、えらく興奮しているが、ううむ、寝る前に興奮させちまったか。


 寝不足になってもオレは知らんぞ。


 翌日、オレ達は街に遊びに行くと告げて家を出る。

 うちの家は少し郊外にあるが、この家は繁華街に近い家なので商店街まですぐなのだ。

 キッズの店に入り、少年向けの服をあれこれと、いくつか選んで試着して、これだと思うのを購入し、そのまま着て精算する。

 着ていた服を紙袋に入れてそのまま手に提げる。


 行こうかと言うと、またえらく興奮しているから、そのまま恋人繋ぎで手を繋いでやる。

 ママゴトみたいな事だけど、喜ぶならそれで良いさ。

 界隈の店のレイアウトは知らんが、店での振舞い方は知っている。

 かつてウェイターやらホストやら、色々体験だけはしたからな。

 もっとも、ホストは特殊部隊でやったんだけど。


 あの時に任務で抱いた女が、後にセフレになったのは良い思い出だ。

 転生して少し変わったのか、墓前で言えなかった事が、今なら言えそうな気がした。

 同性になった事で、理解が及ぶようになったのかも知れない。


 今更だけどな。


 あんまり大人向けの店は拙いので、行くのはファーストフード。

 座っていろと言って、注文を請けて運んでやる。

 これぐらいのエスコートは英国紳士なら当たり前の事だ。


 もう違うけどな。


 アイスクリームとジュースとクッキーという、おやつのようなチョイス。

 頬に付いたクリームを指で掬い、付いていたよと指を舐める。


 いや懐かしいな。


 この手のテクニックは色々教わったんだよな。

 美味そうに食うので一口くれと、使っていたスプーンをパクリ。

 うん、美味しいねと言うと、顔が真っ赤になる。

 将来、彼氏が出来た時の参考になれば良いと思っての事だけど、雰囲気だけは味わうといい。


 今まで培った手練手管を披露してやるからさ。


 それからウィンドーショッピング…すなわち冷やかしだ。

 それをやりながら色々と話をする。

 好きなもの、興味のある事、そういう情報を収集していく。

 まだ金に余裕はあるから何か買ってやろう。

 そう思っていたら、釘付けになった小物を発見。


 ふむ、それが欲しいのか。


 財布と相談しているようだが、頼りにならない財布らしい。

 ヒョイと手に取ってそのままレジに向かう。

 精算を済ませてラッピングを頼み、店を出てプレゼント。

 真っ赤になって凄く嬉しそうにお礼を言われる。

 喜んでくれて幸いだ。


 まあ、宿泊費のようなものかな。


 夕方まで2人でうろうろとして、彼女の家に戻って来る。

 明日は学校なのでここでお別れだ。

 バスで帰ると言ったが、送って行くと言われてそれに甘える。

 車の中でこれを貰ったんだと、それはもう嬉しそうに話す彼女。

 えらく男前な格好だねと、今日の運転はパパさんのほうだ。

 両親共に運転出来ると言う事は、店でもやっているのかも知れない。


 共働きならありそうな話だし。


 色々と話をして家に着くが、彼女の目を掻い潜り、パパさんがオレにこっそり小遣いだと金をくれる。

 娘が世話になったね、お小遣い無理したんじゃないのかい、これは僕からのお小遣いだと。

 確かに服も変わっているし、プレゼントの事もある。

 だがそれは宿泊費の一環と思っての事だったんだけど、こういうのはまだ早いみたいだ。

 子供は子供らしくしないと目立つので、素直に礼を言って受け取った。

 楽しかったね、また明日と言って別れた。

 走っていく車を見送りながら、ペコリと礼をしておく。


 家に入ると服の事を聞かれたが、こういう服も着てみたかったのだと話す。

 実際、家には女の子っぽい服しかなく、欲しいと言っても買ってくれなかったのだ。

 だからそれを買うついでのデートの提案だったのだが、作戦は成功したうえに収支がプラスになるというおまけ付き。

 確かに服代に8000円、プレゼントに1500円は使ったが、1万円もらえば収支はギリギリプラスだ。

 ああ、ファーストフードの分を足すと赤字になるか。


 まあいい、それぐらいは。

 

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