ギルド
大きな建物に大きな扉、そして何かを象ったエンブレム。
「やーっと着いたぁぁぁ」
俺は大きなため息を吐きながらギルドの扉の前に座り込む。
「そんなところにいると通行の邪魔になりますよ」
汗一つかかず、俺を見下ろしながら言うレア。この流れ、前にもあったな。
「ほら、ここまで頑張って歩いた俺への賞賛とかないわけ?」
「ありませんよ、ほら入りますよ。座るなら中にして下さい」
扉を開けてまず驚いたのは人の多さだ。ほとんど空いている席がないほど人が居る。
「こりゃまた絵に描いたようなギルドだな、クエストボード的なものに、受付嬢的な人までいるな、わかりやすくていい」
「でも、俺達はクエスト受けに来たわけじゃないんだよな」
「そうですね、とりあえずその辺の人に話を聞いてみましょう。聞き出す内容は一つ。『女神と対話するアイテムについて何か知らないか』です」
「俺はもうちょっとファンタジーを楽しんでもいいと思うんだけど…」
――キッ
レアに睨まれたのでこれ以上言うのはやめておこう。
話を聞き出すといったが…まぁとりあえずその辺の人に聞いてみるか。そう考え、近くに座っている若い男二人組に声をかける。
「あの~、ちょっとお話よろしいですか~?」
「あん?なんでバッジも付けてない奴がここに居るんだよ。知り合いかと思われるだろうがあっちに行け」
…バッジ?たしかによく見るとここにいる人は皆、左胸に小さなバッジのようなものを付けてるな。
他の人に話しかけているレアも同じようにあしらわれてる感じか。
「レア、どうだった?」
「駄目ですね、ここで仕事をすると言ったらほとんどギルドでの仕事になるようです。そしてギルドメンバーの証であるバッジをつけていない者は浮浪者と同義のようです。」
「女神である私が…浮浪者…」
勝手に落ち込むレアは放っといて、これからの方針を考える。
「まずはギルドメンバーにならないと情報収集のしようがないんじゃないか?」
「たしかにそうですね…ではあなたはギルドに加入する方法を聞いてきて下さい」
「え?レアは?」
「え?なんで女神である私がギルドの仕事なんてしないといけないんです?」
「…」
「…」
この静寂にも慣れたな…
「なんで自分だけ楽しようとしてんだこの浮浪女神が!」
「失礼ですね!私は職業女神なんです!ただの人間のあなたと一緒にしないで下さい!」
「ふざけんなよ…お前の悪い噂ギルド中に流して皆が侮蔑の目でお前を見るようにしてやんぞコラ…」
もちろん冗談だ…冗談だよ?
「わ、わかりました!でも形だけの加入ですからね!私は戦えないんですから!」
「はいはい」
なんとか俺だけが苦労させられる展開は避けられたが…この女神がクズすぎて泣きたくなってきた。




