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対岸の火事
レアと話をしながら街道を歩いていると遠くに大きな建物が見えてきた。
「なんだあれ?」
「ギルドですよ」
「ほー、いいなギルド!異世界っぽいな!」
ギルドに向かおうとした時、走って来た青年とすれ違いざまに肩がぶつかる。
「おっと、すまない大丈夫ですか?」
幸運は高くてもこういうことはあるんだな、と思いながら青年に質問をする。
「そんなに急いで何かあったのか?」
青年は少し暗い顔をして
「ああ、料理屋の近くに住んでいた爺さんが火事で亡くなったらしい…、だからその火事の後始末を手伝いに行くところなんだ」
「普段なら誰か家族が一緒にいるからそんなことはまず起こらないんだが…、たまたま用事が被って少しの間だけ一人にしている時に…」
「そうなのか、悪い、呼び止めちまって」
「別に大丈夫さ。もう火は止まってる」
そう言って青年は俺達が歩いてきた道を走っていった。
「怖えーなぁ、そういう事故って気をつけてても起きるからな」
俺は当たり障りのないコメントを残しながら、歩き出した。
数歩遅れて歩き出したレアは何も言わなかった。