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朝は二度来る 【挿絵】

 俺は、夜は決まった時間に寝て、朝は決まった時間に起きるように心がけている。なぜなら、心身の健康は、規則正しい生活によって保たれるからだ。


 「……眠れん」


 外で鳴く、謎の鳥の声を聞きながら俺は呟く。


 異世界に転生して初めての(正確には二回目の)夜…、そんな状況で普通に休めってのが無理な話だよな…レアはどうだろう?

 俺は部屋の反対に位置するレアのベッドまで行き、腰掛ける。そして、熟睡しているレアを眺める。黙って寝てれば女神みたいだな。


 「フフッ、なんでこいつは不安一つなさそうな顔で寝てんだよ」


 レアの安らかな顔を見ているとこれからのことを心配している自分が馬鹿馬鹿しくなった。まぁ、今までもなんとかなってきたしこれからだってなんとか…そんなことを考えていると徐々に瞼が重たくなっていき…


 ――チュンチュン


 「んっ、なんだもう朝か、太陽が眩し…」


 いつの間にか寝てしまったようだ。頭が冴えない。それにしてもやはりお屋敷の枕は違うな、こんなに柔らかくて…

 徐々に意識がハッキリしてくる、というかここは俺のベッドじゃないな…なんでこんなとこで寝てるんだっけ…


 「っ…、ふわぁ…」


 レアが目を覚ましたようだ。…ん?なんで目を覚ましたって分かるんだ?まるで目の前に居るみたいに…


 疑問の答えを頭が導き出す前に俺は、本能的に嫌な予感がした。なぜなら枕はこんなに暖かくないし、ドクドク脈打つような音も聞こえないはずだからだ。そして脈打つ音はどんどん速く、まるで人が興奮状態になる時のように…


挿絵(By みてみん)


 少し横を向いて分かった、ここはレアの…


 ――ガンッ!


 「ってええええ!」


 何かに俺の頭を殴られた!いや、これは拳じゃない…肘だ!肘打ちしやがった!


 「なにしてるんですか!私のむ、む、む…ああああああ!」


 あっ、今、完全に理解した。俺は女神様を枕にしていたのだ、と。

 まずいな、何かフォローをした方がいいんじゃないか?どうする、慎重に言葉を選んで…


 「お前の枕、最高だったぜ」


 ――ガッ


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 「んっ、なんだもう朝か、太陽が眩し…」


 よかった、どうやら俺は夢を見ていたみたいだ。後頭部に鈍い痛みが残っているのは気のせいだ。さあ、これから新しい冒険を始めよう!


 レアがこちらを見ている。どう見ても機嫌のいい顔ではない。どーしよこれ。


 「あの~、レアさん?」


 恐る恐る声をかける。


 「なんでしょうか?夜中に女の子のベッドに夜這いに来る変態とあまり話をしたくないのですが」


 あー、これ完全に誤解されてる奴だ。どーしよ。


 「違うんだって、ちょっと寝付きが悪くてレアの顔見てたら、なんていうかその…癒やされて、そのまま寝ちゃったんだよ」


 「そんな詭弁では私は納得しませんよ」


 面倒くさいな…適当に持ち上げとくか


 「本当だって、なんていうかすげー”女神”って感じだった!いや~、滅多にいないだろうな~、寝顔で女神であることをわからせる女神ってのは!マジで女神!」


 ピクッ


 あれ?案外いけるかもしれないぞ


 「寝顔も可愛かったし(黙っていれば)、そりゃ俺みたいな下等な人間は女神オーラの前に意識を保っていられないよな、うん。それでいつのまにか寝ちゃってんだわ、きっと」


 ……レアの反応はどうだ?


 「ま、まぁそういうことなら仕方がないかもしれませんね、私は上位に位置する女神ですし!今回は特別に許してあげます。女神の顔も三度までというやつです。」


 もう一回猶予あんのかよ。別にもう一度やるつもりないけどな。


 「流石、レアは心が広いな!さあ、朝食にしようぜ!」


 どうやら事なきを得たが、レアがちょろすぎて若干心配になる。他の女神もこんな感じなんだろうか…

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