表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ありすとてれす  作者: 春乃
95/259

95話 心配と連絡

 てれすが心配ないと言うし、あのまま保健室にいてもわたしにできることはないので、わたしはおとなしく教室に戻った。

 そして放課後。てれすが戻ってくることはなくチャイムがなって、みんな部活や帰る準備を始めた。わたしも帰る用意をして、カバンを肩にかけて立ち上がる。階段を下りて、靴箱へと向かっていたはずだけど、足は自然と保健室の方向へ向かっていた。


 ……もしかしたら、まだいるかも。


 そんなことを思いつつ、保健室の扉をノックする。「どうぞ」という返事が聞こえたので、扉を開いた。また保健室にやって来たわたしに、先生は微笑む。


「あら、最上さん」


「あの、てれすは」


「高千穂さん? 高千穂さんなら、さっきお母さんが迎えに来て帰ったわよ」


「あ、そうなんですか……」


 家には誰もいないと言っていたけど、安心した。寝るだけなら学校でもできるけど、やっぱり病院に行って、自宅でゆっくりと療養するのが一番だと思う。


「そんなに心配しなくても大丈夫よ? 明日はさすがに無理かもしれないけど、今週中には治って学校にも来られるようになるわ」


「はい。そうですね」


 たしかに先生の言う通りだ。だいだい、保健室に来てどうするつもりだったのだろう。てれすがいても、わたしにできることなんてないのに。

 あとはてれすの両親に任せて、わたしは待つことにしよう。そうだ、てれすの分のノートもとっておかなければならない。


 よしっとうなずいて、わたしは先生にあいさつする。

 

「じゃあ、今日はいろいろとありがとうございました。さようなら」


「いいえ。最上さんも風邪には気を付けてね? さようなら」


 保健室をでて、わたしは帰路についた。


 


 それから帰宅したわたしは、自分の部屋で携帯とにらめっこしていた。画面には「高千穂てれす」の文字が映し出されている。

 通話のボタンを押そうかどうか少しの間悩んで、ため息をつきながら指を画面から離す。


「やっぱり、迷惑だよね……」


 今頃てれすは寝ているだろうから、さすがに電話をするのはダメだろう。寝ていなくてもあまり常識的ではないような気がする。風邪とかは寝て身体を休めることが一番大事だと思うので、電話は絶対ダメだ。


 それなら、連絡でメッセージを送るくらいはいいかな……。

 でも、てれすのことだからわたしが連絡したら、わたしを安心させるために電話をくれそうだ。

 先生も風邪って言っていたし、ここで無理をさせるのが最もよくないことだろう。このせいで一日でもてれすが学校に来るのが遅くなるのは嫌だ。できるだけ早く元気になってもらいたい。


「よしっ」


 とにかく我慢だ。

 携帯の電源を切って、机の上に置く。

 すると、そのタイミングで一階にいるお母さんに名前を呼ばれた。


「ありすー? ご飯よ」


「はーい! すぐいくー」


 短く息を吐いて、わたしは腰を上げる。そして、階段を下りて、夕食のためにダイニングへと向かった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ