表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ありすとてれす  作者: 春乃
89/259

89話 衣替え

「いってきます!」


 体育祭の振り替え休日が終わって水曜日。

 体育祭の熱気がそのまま移ったかのように、季節は夏に向かっているので気温も段々と暑くなっていた。


 なんだか少し久々に感じてしまう普段通りの学校。そして、今日はうちの学校の衣替えの時期でもある。うちの学校では、体育祭が終わったら夏服へと移行していく。ブレザーとはしばらくのお別れとなってしまうけど、寒かったらカーディガンを着ることが許されていた。半袖だとまだ微妙に寒いので、わたしもカーディガンを着ている。


 体育祭の練習とかは半袖だったから、いきなり半袖! って感じではなく、タイミングとしてはいい時だと思う。

 同時に、体育祭が終わって1学期も半分が過ぎたわけだけど、これからは梅雨の時期になっていく。雨は嫌いではないけど、濡れるのが嫌だなぁ。他にも、空気がじめっとしていたり、天気予報では降るといっていたのに降らなかったり、その逆もあったりと天気が不安定だ。


 そんなこんなで先のことを考えながら登校する。学校に近づくにつれて、衣替えした生徒たちの数も増えていく。みんなが衣替えしていたので、衣替えのタイミングを間違えていなかったことに安堵しつつ正門から玄関、そして教室へとやって来た。

 わたしの登校する時間だと、まだあまり生徒の数は少ないけど、やはりみんなカーディガン姿だった。それから、時間が少しづつ経っていくにつれて、教室にやって来る生徒が増えて密度が高まる。その中には数名だけど、カーディガンなしで半袖の子たちもいる。


 だけど、てれすの姿はまだなかった。てれすの登校が遅いのはいつものことだけど、体育祭はもちろん、その次の日にさそって映画に行ったので疲れがとれていなくて、休み化もしれない、なんてことを思って心配になる。

 と。扉がガラッと開いててれすが入って来た。時計を見ると、ショートホームルームが始まる時間ギリギリである。


「てれす、おはよ」


「おはよう、ありす」


 わたしのあいさつに返しながら、てれすは自分の席であるわたしの隣にカバンを置いて腰を下ろした。

 てれすを見ると、てれすもカーディガンを羽織って、衣替えしていた。ブレザーのときよりも身体の線が出ているというか、あれなので、あれだった。

 じっとてれすのことを見ていたからか、てれすが小首をかしげる。


「ありす、どうかした?」


「あ、ううん。衣替えしてるなぁって」


「ありすもそうじゃない」


「そうなんだけど、なんか雰囲気が違うから」


 ブレザーのときはきっちりとしていて、品のある感じだった、カーディガンを羽織っているてれすももちろん品がないってわけじゃないんだけど、爽やかな感じがしている。


「そう、かしら。……変?」


「ううん、そんなことはないよ。可愛い」


「そっ、そう? ありがとう……その、ありすも……」


 てれすはほっぺたを赤らめて、もごもごとお礼を言う。最後のほうは、声が小さくなりすぎて何を言っているのか聞き取れなかったけど、変ではないということが伝わったのならおっけーだろう。


「筋肉痛は大丈夫?」


「ええ、問題ないわ」


「そっか、よかった」


 実を言うとわたしはまだ微妙にところどころ痛いんだけど、わざわざ言うことでもない。

 こうして、体育祭開けの最初の授業が始まったのだった。


結城天です。こんにちは。

読んでくださった皆様、ありがとうございます!

このお話から、梅雨編が始まります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ