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ありすとてれす  作者: 春乃
83/259

83話 映画とポップコーン

 映画館に入ると、思ったよりも人がいっぱいいた。若い人もけっこういるみたいだから、きっとわたしとてれすと同じように、昨日が体育祭だった高校生が来ているのだろう。とはいえ、夏休みなどに比べると全然なので、さっそくチケットを交換してもらいに、チケット売り場へと向かう。


「ねぇ、ありす」


「なーに?」


「どの映画を観るの?」


「えっとね、あれ」


 チケット売り場の列に並びながら、飾られている大きなポスターの一つを指差して、てれすに教える。話題になっている映画だから、コマーシャルとかでなんとなくは知っているけど、昨日少し内容を調べてみた。いわゆる恋愛映画だそうだ。

 てれすは高校生の男女が描かれているそのポスターを見ながら、「ふぅん」とつぶやく。


「あれなのね」


「うん。……嫌だった?」


「いえ、そんなことはないわ。よくわからないから、どういう反応をすればいいのかわからなかっただけ」


「あ、そっか。でも、おもしろいってみんな言ってるから、楽しみにしてもいいんじゃないかな」


「そうなの?」


「たぶんね」


 そうやって、てれすとおしゃべりしていると、わたしたちの順番になった。お姉さんに要件を伝える。


「えっと、『あなたの名前は』を二枚」


「はい、かしこまりました」


 お父さんが貰ってきたチケットをお姉さんに渡して、座席を指定する。そこまで混んでいないからか、少し後ろ側の真ん中が空いていたので、そこを指定した。少し後ろ目の、真ん中が一番見やすいと思う。

 チケットを手に入れたので、さて次だ。わたしは携帯で時間を確認して、まだ上映までは時間があることを見て、てれすに言う。


「よし、じゃあポップコーンでも買おうか!」


「えっ?」


 わたしの言葉に、てれすは眉をひそめて首をかしげる。


「ありす? 映画の後にご飯を食べるのよね?」


「うん。そだよ」


「お腹いっぱいになるんじゃ……?」


「大丈夫だって。大丈夫大丈夫。……え、大丈夫かな?」


 ポップコーンを食べるとなると、当然飲み物も買うことになる。こういうとき、わたしは炭酸しか飲みたくないので、てれすの言う通りお腹いっぱいになってしまうかもしれない。でも、ポップコーンは食べたい。映画だもん。映画と言えばポップコーンだよね。


「そうだ、てれすと分ければいいんじゃないかな?」


「まぁ、たしかにそれなら……」


「じゃあ決まり。いこ?」


 てれすも納得してくれたので、てれすを引っ張って売店へと向かう。


「てれす、飲み物は何にするの?」


「そうね、紅茶があれば」


「おっけー」


 売店はチケット売り場ほど混雑しておらず、すぐに順番がやって来た。「いらっしゃいませ」とあいさつしてくれたお姉さんに注文を伝える。


「メロンソーダと紅茶とポップコーンください」


「ポップコーンの種類はどれにいたしますか?」


「じゃあ、これで」


 わたしが選んだのはハーフ&ハーフ。オーソドックスな塩味とキャラメル味が半分ずつ入っているものだ。お金を払うと、お姉さんはてきぱきと飲み物とポップコーンを準備する。


「お待たせしました」


「ありがとうございます」


 お姉さんから受け取ると、ちょうど入場が始まったみたいなので、その流れに沿ってわたしとてれすも指定されたシアターへと向かった。


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