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ありすとてれす  作者: 春乃
53/259

53話 練習を始めよう

 6時間目。みんな体操服に着替えて、練習のためにグラウンドに集まっていた。

 球技大会のときもそうだったけど、うちの学校は行事に積極的で、これから体育祭までは授業の時間割りも特別仕様に変更される。普段の勉強は1、2時間目だけとなり、あとはすべて体育祭の練習や会場の準備にあてられる。

 準備、といっても実際にやるのは先生や部活動、委員会、生徒会が主なので、クラスだけの人はわりと暇になる。ずっと練習ってわけにもいかないし。でも、わたしはクラス委員の仕事があってそれなりに忙しい。だから練習できるときにしておかないと。


 そんなわけでわたしたちは、クラスリレーの5人で集合していた。


「まず、順番を決めよっか」


 てれす、高井たかいさん、赤川あかがわさん、山中やまなかさんがわたしの言葉にうなずく。


「一番速い高千穂たかちほさんが、最初に走ったほうがよくない?」


「あー、たしかに。高井の言う通りかも」


 高井さんが提案して、それに赤川さんが同調する。2人は同じバスケ部なので仲がいい。そんな2人に言われつつもてれすは首を横にふった。


「………わたしは4番目がいいのだけど」


「あ、そうなんだ」


 てれすと高井さんはそんなに仲良くないから、2人の間の空気に微妙なものが流れる。

 たしかに一番速いてれすが第一走者になるのが普通だけど、わたしが「わたしの前に走って」とてれすに頼んだのでなんとも言えない。そんな中、テニス部の山中さんが手を上げた。


「わたし一番がいい。きっと北川きたがわがくるから」


 山中さんのその瞳には燃えたぎるものがあった。きっと同じテニス部で、しかもエースである北川さんには負けられないのだろう。

 ならば第一走者は山中さんに任せようと、みんな納得する。


「じゃ、わたしは2番がいいから、高井は3番ね」


「まぁ、いいけど」


 こうして、うちのクラスのリレーの順番が決定した。

 よし、あとは練習だ。リレーは走るのも大事だけど、バトンパスとかすごく大事だからね!

 先生にバトンを借りてこよう。


「じゃあバトン借りてくるね」


 たしかバトンとかそういったものは用具係のところにあったはず。

 わたしが練習のためにバトンを借りに行こうとしたとき、ちょうど先生に呼ばれてしまった。


最上もがみさん、ちょっといい?」


「あ、はい!」


 とりあえず先生に返事をする。………これはバトンを取りに行けそうにない。


「ごめん、ちょっと行ってくるね」


「いいよいいよ。バトンはわたしが行くから」


「ありがとう山中さん」


 山中さんにお礼を言って、わたしは先生のあとについていく。ほんとは練習に参加したいけどしかたない。ささっと終わらせてささっと戻ってこよう。


 …………てれすが心配になってちらっと4人のほうを振り返ってみた。うん、すごく心配だ。でも、これを機にみんなと仲良くなってくれたらいいなぁ。



 ☆ ☆ ☆



 先生に頼まれたクラス委員の仕事を終わらせて、わたしは急いでみんなのところに向かう。思ったよりも時間がかかっちゃったなぁ。

 そして、みんなが練習しているはずの場所に来たんだけど、てれすを始め誰一人としていない。


「あ、あれ……………?」


 うーん、今は休憩の時間なのかなぁ?

 


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