表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ありすとてれす  作者: 春乃
50/259

50話 テストのあとにあるのは

 てれすと日本史クイズ大会を今回の範囲の分、一通りやってわたしたちは一息ついていた。

 日本史の問題の出し合いっこはほぼノンストップで進んで、すごく効率のいい勉強になったと思う。


「これで日本史はばっちりかも」


「ええ。いつでもばっちこいよ」


 初日の日本史と現代文だけでなく、2日目3日目のテストもなぜか自信がある。てれすのおかげかな。

 それと、最近はテストの話ばっかりになってたけど、その後に大きなイベントが控えている。きっとてれすは興味ないんだろうなぁ。


「テストが終わったら、すぐ体育祭だね」


「……………………?」


「え、なにその初めて知ったみたいな反応…………。っていうか、去年もあったよね!?」


 他の生徒がうきうきわくわくする学校の一大イベントにも、てれすはやっぱり興味関心はないらしい。球技大会のときも、最初はそうだったもんなぁ。


 そして、それを肯定するようにてれすの視線がすぅーっとわたしからそれる。


「あ、あった……………かしらね?」


「あったよてれす! 自分を信じて!」


 てれすの自信なさげな声にものすごく心配になる。てれすは記憶力いいと思うんだけどなぁ。さすてれなはずなんだけどなぁ…………。


 とは言っても、わたしも5月の開催というのはまだ感覚的に違和感は拭えない。近年はわたしたちの高校と同じように、体育祭を5月に行うところも増えてきているらしいけど、体育祭といえば9月ってイメージが強かった。実際、中学校までは9月だったし。


「……………もう体育祭なのね、早いわ」


 てれすも体育祭がくるという実感がまだないのか、そうつぶやく。まぁ、もっと近くなったら嫌でも感じることになるだろう。わくわくと一緒に緊張感とかも。


「そうだね………、早いね」


「………ええ。でも、どうして5月なのかしら。普通は秋にやるものじゃない?」


「うーん………………。そうだよね、なんでだろ…………」


 5月に行えば、9月よりは暑くないよね。他には、2学期は行事が多いから先生がいろいろ大変とか? あ、逆に1学期は行事が少なくて寂しいから体育祭をもってきたとか?


「……………………」


 え、なんかてれすがすっごいわたしを見てるんだけど…………。そんなに変な顔してたのかな…………。

 と、急にてれすの整った顔が少し近づいて、そのまま右手がわたしのほうに伸びてきた。


「………!?」


「………………動かないで」


 っ!? えっ? ちょっ、なに? てれすどうしたの!?


 思わず目を瞑ると、すぐにてれすの指がわたしの髪を撫でる感覚がやってくる。


「……………よし、とれたわ」


「………え?」


「髪に何か付いていたわ。………糸かしら?」


 び、びっくりした…………。そういうことか…………。

 理解が追い付かないまま目を開けると、てれすが右手を見せてくれてようやくわかった。


「あ、ありがとうてれす」


「いえいえ。……………どうかした?」


「え!? う、ううん、なんでもないよ?」


 わたしの反応に、てれすが首をかしげて訊ねてくるけど、こればかりはてれす相手と言えども言えない。

 ……………まさか、ちゅーされるって思っただなんて、言えるわけがなかった。


「………そう? それならいいのだけど」


「うん、大丈夫大丈夫」


 な、なにを考えているんだわたしは……………。

 別にてれすとそういうことをしたいわけじゃない…………はずだ。…………いやでも、もしも。もしもだよ? あくまで仮定の話だけど、もしてれすから求められたとしたら、わたしはどうするだろうか。

 …………ちょっと想像してみた。


 たぶん、いやきっと、わたしはそれを受け入れるのだろう。




   



結城天です。こんにちは。

まずは読んでくださった方々。

ほんとうにありがとうこざいます!


さて、50話です。ここまで続くとは………。

これも皆様のおかげです。

これからもぜひ、ありすとてれすをお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ