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ありすとてれす  作者: 春乃
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49話 てれすはどう勉強してるの?

「さ、てれす入って入って」


 次の日の放課後、約束通りテスト勉強をするために、わたしはてれすと一緒に帰宅した。

 2度目といえども、てれすの面持ちは緊張した神妙なものである。


「お、おじゃまします」


 この時間、お母さんは刑事モノのドラマの再放送を見ているので熱烈な歓迎はない。まぁ、前みたいに歓迎されても、それはそれでてれすは困るだろうが。


 いまのうちに2階のわたしの部屋に向かうとしよう。


「それじゃ、わたしの部屋にいこう」


「ええ」


 てれすと階段に向かおうとしたその時、リビングの扉が開いてお母さんが顔を出した。


「あら、ありすおかえり」


「あ、うん、ただいま」


 そしてお母さんはわたしの後ろにピンと背筋を伸ばしたてれすにも気付いて声をかける。

 

「てれすちゃん、いらっしゃーい」


「お、おじゃまします」


 お母さんも何かすることがあるのか、今日は立ち話をすることなく、わたしとてれすはそのまま2階へ上がる。途中に「あ、何するか忘れちゃったわ」という声が聞こえたような気がするけど、きっと気のせいだろう。


 それからわたしの部屋で、前回と同じように座ってテスト勉強を始める。

 えーっと、今日が火曜日で来週の月火水が中間テストでしょー。それで初日の科目は日本史と現代文だったはず。………でも、現代文って勉強の仕方がいまいちわからないんだよね。漢字とかことわざとか覚えるようにしてるんだけど。


「てれすって、現代文はどう勉強してるの?」


「わたし? うーん、強いて言うなら新聞を読むことかしら」


「え、新聞?」


「ええ。語彙力や読解力の向上になるし、時事問題もわかるという優れものよ」


 そんなてれすの説明に、思わず、おぉ……と声が出る。たしかに新聞には言葉がいっぱい載っているし、それを読むのだから読む力もつく。それに、地歴公民のテスト恒例である時事を絡めた問題にも対応できるという一石二鳥ぶり。国語の勉強のはずが、別の教科にも役立つとは。


「わたしも読むようにしようかな」


「まずは、興味のある記事を探すことから始めるといいわ」


 新聞はテレビ欄しか見なかったのだけど、これなら毎日数分程度だろうし、勉強って感じがしないから苦になることはない。勉強するのが嫌いな人でもできそうだ。


「じゃあ、日本史は?」


 てれすは日本史でも効率のいい方法で勉強しているのだろうか。さすてれを期待する。


「日本史は……………。とにかく口に出しながら書く。書いて覚える。覚えるまで覚える、かしら」


「あ、わたしと同じだ」


 やっぱり、覚えるにはこれしかない。一回聞いたらなんでも記憶できる能力がない限りは、根性論に近いかもしれないけど、この方法が一番だと思う。


「覚えてきたら、次は一人クイズ大会が開幕するわ」


「クイズ形式で、ちゃんと覚えているか確認するってことだよね? わたしもそれよくやる」


 ○○年に○○が起こしたのは何でしょう。答え、○○。みたいに一人で出題して一人で回答する。これはこれで覚えられるし、案外楽しいんだけど、なにせ一人でぶつぶつとつぶやいているので学校では声を出すのは厳しい。

 まぁ、2人いれば問題の出し合いっこもできるんだよね…………。ん、2人?


「てれす、日本史クイズする?」


「もしかして、問題の出し合いっこってやつ? いいわ、受けてたとうじゃない」


「え、これってそんなバトル的なやつだっけ?」


 少々疑問があるものの、やる気があることはいいことだ。わたしも負けないようがんばらねば。


 って、もしかして今回はわたしたち、ちゃんとテスト勉強できてるのでは?

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