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ありすとてれす  作者: 春乃
42/259

42話 カツサンドと後輩

 4時間目終了のチャイムが鳴って、待ちに待ったお昼休みがやってくる。


「てれす、お昼食べよー?」


 わたしはそうてれすに言いながら、自分の机を隣のてれすの机とくっつける。お昼ご飯を屋上から教室で食べるようになってから、チャイムと同時に行ういつものことである。


「ええ」


 てれすは短く答えて、わたしと同じように机を合わせると、財布をカバンから取り出す。


「じゃあ、行ってくるわ」


「いってらっしゃい」


 お昼の購買という名の戦場に向かっていくてれすの背中を見届けてから、わたしは机の上に置いていた自分のお弁当箱をぱかっと開ける。


「わーい、ハンバーグととりからだー」


 なんということか。今日のわたしのお弁当には、おそれ多くもハンバーグととりからというダブルエースが入っているのである。

 なんという豪華さであろうか。


 例えるならなんだろう。誕生日とクリスマスを同時に迎えるみたいな?

 あ、でもお祝いとかプレゼントをいっぺんにされちゃうからって昔誰かが言ってた気がする。

 うーん…………。ま、いいや。はやく食べよう。


「いただきます」


 まずはハンバーグを一口。ぱくっ、もぐもぐ………。

 うん、おいしい。この肉汁とデミグラス、素晴らしい美味しさだ………。

 続けてご飯もいただく。ぱくっ、もぐもぐ………。

 ……………最っ高だ。ハンバーグと白米。もはやこれは禁忌の組み合わせと言ってもいい。


 お茶を飲んで口のなかも気持ちも一度リセットして、お次はとりからにお箸を伸ばす。ぱくっ、もぐもぐ………。

 うん、おいしい。とりからもさすがの美味しさ。両者冷めていても100点の美味しさなんて、いったいどういうことなのだろうか。

 はっ、まさかハンバーグととりからは元々の持ち点が200点とでもいうの………!?


 そうやってわたしが頭のなかでハンバーグととりからについて論じていると、購買からてれすが戻ってきた。


「おかえりー」


「ええ」


 てれすはいすを引いて座ると、買ってきた袋の中から焼きそばパンを取り出してかじる。

 なんかてれす、いっつも焼きそばパンとメロンパンだな…………。


「てれすって、焼きそばパンとメロンパンが好きなの?」


「え…………、まぁ、そう、かしら。………そういえば、この2つ以外、購買で買ったことないわ」


 わたしの質問に、てれすはうなづきながら答える。

 いつも買っているから半分くらいは習慣になっているのかもしれない。


「他のパン買ってみたりしないの?」


「え、ええ…………。あ、今日は初めて見たパンがあったわ」


「なになに? どんなの?」


 ほぼ毎日購買でパンを買っているてれすが見たことのないパン。とってもレアなのか新作なのか、どちらにせよ興味がある。


「たぶんあれは、カツサンドだったと思うわ」


「カツサンド…………? あっ、テストがあるからとか?」


「なるほど、そういうことだったのね………」


 テスト前だけの期間限定販売って感じだろう。なんとも粋な計らいである。

 …………買いたくなってきてしまった。


「わたし、明日のお昼はそれにしようかな…………」


「…………共にがんばりましょう」


 明日の購買に挑む覚悟を決めて、お昼ご飯に戻ろうとしたとき、クラスの子から名前を呼ばれた。


最上もがみさーん? 呼んでるよ」


「はーい」


 指された方を見てみると、その先には、


美月みつきちゃん…………?」


 そう。時々勉強を教えてあげてる後輩の福原ふくはら美月ちゃんの姿がそこにあった。



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