40話 いつでも寝に来ていいからね!
てれすが起きてから少しして。
「…………そろそろ帰るわ」
携帯で時間を確認しながら、てれすが言う。
外を見ると、太陽も傾いて徐々に暗くなっていくころになっている。てれすを起こしたのも、てれすの帰りが心配だったからだ。とはいえ、いざ帰るとなると、なんだかちょっぴり寂しい。
「うん、駅までわたしも行くよ」
てれすは初めて来た道だし、さっきまでぐっすり眠っていたから心配である。わたしもついていくのが一番だろう。
「い、いや、ありすに悪いわ。わたしは大丈夫よ」
「気にしないで。わたしがしたいだけだから」
てれすは寝ちゃったことを気にしているのか、遠慮がちに断ろうとする。
だけどここは譲らない。てれすが心配というのも本当だけど、わたしの心中はそれだけではないのだ。
「………それに、もう少してれすとお話したいなって」
若干照れつつもわたしがそう言うと、てれすは観念したように息を吐いて微笑んだ。
「…………それじゃあ、お願いするわ」
「うん!」
それからささっと帰り支度を整える。
「お邪魔しました」
外に出る祭、玄関口でてれすが礼儀正しく言う。
このあたりはさすてれだなぁ。
「行こっか」
「ええ」
駅を目指して2人でもと来た道を歩く。
歩き始めてすぐ、てれすがわたしの顔を見て口を開いた。
「あの………、今日はほんとにごめんなさい」
「全然気にしなくていいよ」
てれすは気にしすぎだ。…………でもなんとかてれすの気持ちを晴れやかにしたい。
うーん。どうしたらいいのだろう。
少し考えて、よしっとてれすの方を向く。
「いつでも寝に来ていいからね!」
わたしはバッチリウインクをしながら右手でグーポーズをつくる。
するとてれすは、一瞬驚いたようにしていたけど、くすっと笑ってわたしに言葉を返した。
「さすがに寝るために行ったりはしないわ」
そうだよね、なに言ってんだろわたし。
あははと苦笑をすることしかできなかったわたしに、てれすは続けた。
「でも、ありすがよければまた………」
「もちろん!」
…………ちょっと食いぎみに答えてしまった。
おかげでてれすが面食らった顔をしている。
けど、てれすがそういう風に思っててくれて本当によかった。
もう二度と嫌だ! なんて言われたらどうしようかと、わりと真剣に考えてました。
そんな感じでおしゃべりしつつ歩いていると、目の前に駅が見えてきた。
「ありす、ここでいいわ。ありがとう」
「うん。また、学校で」
「ええ」
またね、バイバーイと手を振り、それからてれすの姿が駅の中に消えていくのを見て、わたしはくるっと向きを変えた。
今日は、これはこれでよかった…………のかな?
微妙なところだけど、よかったと思いたい。
まぁ、学校生活はまだまだ長いし、なんといってもわたしたちは花の女子高生だからね!
………………とりあえず、おうちに帰ることにした。
結城天です。こんにちは。
まず、読んでくださった皆様ありがとうございます。
更新がとっても遅くなりました。
申し訳ごさいませんm(__)m
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