4話 サボりはぽかぽか陽気の中で
二時間目を告げるチャイムを背に、わたしが連れてこられたのは校舎の一番上、そう、屋上だった。
……たしかに漫画やドラマだと、屋上がサボりの場になってることが多い気がする。まさか自分がサボりをすることになるとは思いもしなかったけど。お父さん、お母さんごめんね……。今回だけだから許してください。
勢いそのままに高千穂さんは扉を開け放つ。と、同時につないでいた手をはなして、外へ歩いていく。それに付いていくようにわたしも外に出る。するとびっくり!
午前中の暖かな陽気に、穏やかで気持ちのいいそよ風が吹いて、春って感じ。ポカポカですぐにでも眠れそうだ。
「いい天気ね」
高千穂さんはそうつぶやくと、くるりとこちらをむく。
「なにかサボりのおともを買ってくるわ」
……え?
「え、いいよ別に……」
「いいから。あなたはここにいて」
わたしに背を向け扉へと歩いていく高千穂さん。
たぶん、そういうことじゃない。お金の心配とかじゃなくて、いや、それもあるんだけど、わたしが気にしてるのはここに1人でいることなんだけど……。もしも先生にでも見つかったらと思うと……。
「い、いや、そうじゃなくて」
「?」
「だ、大丈夫なの? 先生とか来ない?」
わたしはめちゃくちゃ不安なので聞くと、高千穂さんは少しだけ笑ってみせる。
「心配しなくても、ここには誰も来ないわ。…………たぶん」
たぶん?! えぇ~、それ大丈夫なのかなぁ……。高千穂さんは、今のところ誰とも出会ってないってこと?
高千穂さんはそれだけ言うと、じゃ、と行ってしまう。
「どうしよう……」
とりあえず、周りを見渡してみる。当たり前なんだけど、なにもない。ただただ開放的な空間が広がっている。
することもないので、扉から少し横の日陰にちょこんと座って壁にもたれる。
上を見上げてみた。
「あー、いい天気だなぁ」
ほけーっとどこまでも広がっている青空を見ながら、雲があんまりないなぁ、今日はほんとにいい天気だなぁ、と思っているとだんだんまぶたが重たくなってきた。
昨日はちょっと遅かったんだよなぁ。眠れそうだなぁ。寝ちゃおうかなぁ。
……なんて思っているうちにわたしの意識はどこかへいってしまった。
結城天です。こんにちは。
まず、読んでくださった方々、ありがとうございます。
4話です。屋上にやって来ました。
来たものの、片方は、どこかへ。片方は寝ちゃいました(笑)
では、次のお話で。