38話 ケーキのいちごは
とりあえず問題を解決し、てれすもやっと紅茶を口にした。
「あ、おいしい………」
どうやらお気に召してくれたようで、なんだか嬉しくなる。ケーキも美味しいし、嬉しさ2倍だね!
と、ケーキを食べ進めていちごのところにたどり着いたので、フォークでやさしくすくって、お皿の端によける。
楽しみはやっぱり、一番最後にとっておきたい。
てれすを見ると、てれすもいちごをお皿においていた。
「てれすもいちごは最後に食べる派?」
てれすはわたしのお皿のいちごを見て、同じタイプだと気がついたらしい。力強くうなずく。
「ええ。いちごは絶対に最後ね」
だよねだよね。さすがてれす。
「てれすとおんなじ派閥で嬉しいよ」
もし、てれすが先に食べる派だったら戦いになっていただろう。小さいことかもしれないけど、これは意地と意地のぶつかり合い、どちらも譲ることのできないことなのだ。
先に食べる派のお母さんとはいつも口論になるので、てれすとそうならなくてよかった。
それはてれすも同じようで、ほっとしている様子。
「………わたしも、ありすと同じで嬉しいわ」
同志よ………。
このことがわかっただけで、今日はもう充分よかったんじゃないかな。って、勉強会のはずだから勉強しないと………。
ケーキセットで糖分の補給もできたことだし、集中し直すとしよう。
その前に、真打ち登場。いちご大先生である。
いただきます。
「うん、おいしい」
最後の最後に締めとして食べるいちごは最高だ。てれすも食べ終えたようで、満足げにしている。
ケーキも紅茶も終わって、この後どうしよう………。
あ、とりあえず、ここにあるお皿たちを片付けるとしますか。
「じゃ、お皿下げるね」
お母さんが置いていったおぼんに、ティーカップとケーキのお皿をかちゃかちゃと置いていく。
そんなわたしを見て、てれすが申し訳なさそうに口を開いた。
「あ、ご、ごめんなさい」
「いいのいいの。ちょっと待っててね」
おぼんを持って立ち上がり、扉へ進むと、手が塞がっていることに気づいた。一瞬考えて、少しお行儀が悪いけど足で開けることにした。
………お母さんが見ていなくてよかった。
キッチンへ行って、それから部屋に戻る途中、この前のテストで間違っていた数学の問題をてれすと一緒にやってもらおうかと思い付く。
そうしようかな、と部屋に戻ると、
「ただいま………って、てれす!?」
てれすがテーブルに突っ伏していたので慌てて駆け寄り、顔を覗き込む。
…………寝ておられた。
それはもう、すやすやと寝息をたてて気持ち良さそうに。
まぁ、それだけリラックスしてくれていたってことなのかな?
「………よいしょ」
とりあえずてれすをわたしのベッドに寝かせて、布団をかけた。
風邪を引かれても困るからね。
………一人でテストの復習でもして、それから予習でもしようかな。
結城天です。こんにちは。
読んでくださった皆様、ありがとうございます。
今年最後の投稿、更新となります。
一年間ありがとうございました!
来年もまた、ありすとてれすをよろしく
お願いします。
では、よいお年を。




