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ありすとてれす  作者: 春乃
35/259

35話 駅に集合!

 MINEを交換したその日の夜。てれすと土曜日の集合場所について話した。どうやらわたしとてれすの家は駅一つほど離れているらしい。

 てれすは歩くのが面倒で電車で向かうから、駅の前で待っていてほしいとのことだった。

 

 そして、すぐにその日はやってくる。




 土曜日午後。わたしは待ち合わせの時間に遅れないよう、少し早めに余裕をもって家を出て、駅へ向かう。

 駅前、というと一番分かりやすいのはビーバー像の前になるだろう。

 聞いたところによると、ちょっと前の市長がビーバーが好きで造らせたとか。嘘かほんとかわからないけど、いい目印になっていた。

 と、携帯がMINEを受け取ったらしく振動する。見るとてれすからのようだ。


 『もうすぐ着くわ』


 その文章に、わたしはすぐさま返信する。


 『りょうかい! ビーバー像の前にいるね!』


 ポチッと送信してわたしは顔を上げる。

 そういえば、休みの日にてれすと会うのは初めてだっけ。わたしはわくわくそわそわと、てれすの到着を待った。


 それから少しすると、駅のホームから出て来る人の流れが忙しくなった。どうやら電車が来たみたいなのでてれすもやってくるだろう。


 流れていく人混みの中にてれすの姿を探そうと目を凝らしていると、


「…………ありす」


「ぎゃわ!?」


 突然、横から声をかけられたものだからわたしはびくっと仰け反って驚いてしまう。

 声の方を見ると、わたしが探していたてれすがそこにいた。


「て、てれすごめん。まだ出てきてないと思ってて」


 それなりの人だかりになっていたから、てっきりまだてれすは駅の中にいるものだと思っていた。


「早く出られるように、前の方にいたの。…………どうしたの?」


 説明してくれていたてれすをわたしがじっと凝視していたせいか、てれすが首をかしげてわたしに訊ねる。


「いや、私服だなって」


「それはそうよ。さすがに休みの日まで制服ではないわ。………もしかして変?」


 心配そうにてれすが聞いてくる。

 てれすの私服は黒のシャツ(襟元は白のふりふり)に紺色のボトムス、おそらく勉強道具が入っているであろう肩掛けのバッグとわたしが評価してもいいのなら、落ち着いた雰囲気でてれすにとても似合っていた。


「すっごく似合ってる。変じゃないよ」


 わたしが言うと、てれすは照れたように目を逸らす。

 制服のときよりも大人びて見えるけど、てれすはてれすみたいだ。


「行こっか?」


 ここでずっと立ち話をするわけにもいかない。今日は勉強会という目的があるので、我が家に向かうことにする。


「ええ、行きましょう」

 

 駅からわたしの家までは、10分から15分ほどかかる。

 まぁ、それは勘弁してもらおう。


「ところで、何をするの?」


 歩き始めると、てれすがわたしに興味、というよりは不安そうに聞いてくる。


「うーん、とりあえず宿題………とか?」


 勉強会と言いつつ、正直なところ予定は特にない。てれすは知っての通り、テストは完璧であり、わたしも悪いわけでなく、むしろいい方。

 というわけで、けっこう苦し紛れに宿題と答えたけど、てれすは納得してくれたみたいでうなずいた。


「わかったわ」


 こうして、わたしとてれすはわたしのお家に向かって、おしゃべりしつつ歩いていった。

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