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ありすとてれす  作者: 春乃
32/259

32話 てれすが宿題!?

 チャイムが鳴って、1時間目の授業が始まる。

 昨日てれすと電話をするときにしようとしていた宿題の授業でもあった。

 もちろん、ばっちりやってきているわたしは、ノートを机の上に広げて確認を待つ。


「それじゃ、宿題を見ます」


 そう言って、授業担任の先生が廊下側の生徒から順に宿題の点検を始める。

 

 宿題に関しては先生によっていろいろ違う。

 この先生のように点検する先生もいれば、提出という先生もいるし、確認すらしない先生だっている。


 まぁ、わたしは宿題をやってくるから関係ないというか、どの先生でも問題はないのだけど。

 てれすもわたしとは違う意味でどんな先生でも問題なさそうだ。

 …………だって宿題やらないもんね。


 授業はまじめに受けない宿題はしない。なのにテストは出来る。一体どういうことなんだろう………。

 これは土曜日の勉強会でちょっとでもわかればいいなぁ。


 そのてれすを見ると、気だるげにゆっくり起きてカバンからノートを取り出した。

 ………え?


 あまりの驚きに、じっとてれすを見ていたので、わたしの視線に気づいたてれすが不審そうにわたしに言う。


「な、なに、ありす………?」


 わたしはてれすが机上に出したノートを指で示しながら訊ねる。


「て、てれす。もしかしてそれ、宿題…………?」


「ええ。…………それ以外ないと思うのだけど」


 当たり前でしょ? と言うようにてれすが返してきた。


 いや、それはそうなんだけど………。

 だって、てれすだからね?

 あのてれすが宿題をしてくるなんて…………。


「そ、そうだね。でも、てれすが宿題か…………」


 未だに信じられない、といったわたしにてれすが苦笑する。


「宿題くらいで大げさすぎよ…………。あと、ちょっと失礼なこと考えてなかった?」


 うっ…………。

 失礼でないと言いきれないのも事実なので、なんとかごまかすように否定しておく。


「そんなことないよ? あ、でもなんで急に宿題してきたの?」


 するとてれすは一瞬だけあごに手をあてたけど、すぐに答えが出たのか笑顔で口を開く。


「まあ、気分ね」


「あぁ、そういう…………」


 おそらく、次はしてこないだろう。いや、やらないですねこれ。

 と、ようやくわたしたちのところにも先生がやって来た。


「はい、最上もがみさんは今日もやってるわね。高千穂たかちほさん………も今日はやっているのね」


 言葉だけだとあまりわからないけど、やっぱり先生も驚いた顔をしていた。つまり、これはとても貴重だ。

 そして先生は黒板の前に戻ると教科書を開いて授業を開始する。

 

 わたしは、もしかしたらもしかするかもと思って、隣のてれすを見る。

 宿題やってきたからね、授業もまじめに----


 ----寝ておられた。

 

「ですよね…………」


 授業受けるのかな、ノートをとったりするのかな、なんて思ったけどそんなことはなかった。

 いつものてれすでした。


 まぁ、こっちのてれすのほうがてれすというか、むしろこれこそがてれすで、しっくりくるてれすだった。





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