31話 昨日はいろいろ
電話の翌日。今日もわたしはいつも通り登校する。
わたしのいつも通りはやや早い時間なので、当然てれすはまだ来ていない。
というかてれすは遅刻せずに来るのだろうか。………まずそこからだった。
まぁ、用事という用事があるわけでもないので、今日も学校に来てくれたらいいや、くらいの気持ちで待つとする。
しいて言えば、連絡できるアプリの交換をしたいくらいかな。
電話はお互いのタイミングとか都合とかがあるので、こういったアプリも一応やっておくべきだろう、と昨日電話の後に思った。
お昼休みにでもてれすに言おう。なんて考えていたけど、ただ時計を見つめているのも暇なもので、予習しようと教科書をカバンから引っ張り出す。
てれすてれすになって、勉強が疎かになったらいけないからね!
それからちょっとすると、だんだんと教室に生徒が増え始める。
そして、今日何度目かという教室の扉が開かれると、ふらふらっとてれすが入ってきた。
てれすにしたらすごく早い時間帯である。
わたしが驚きながらも、珍しいなぁと見ていると、てれすはそのまま自分の席、つまりわたしの隣にやってくる。
「てれす、おはよ」
わたしのあいさつに、てれすは眠そうながらにわたしを瞳に捉えて返す。
「ええ。あ、昨日はその、いろいろ………」
「うん、いろいろ」
てれすが言うので思わずそのまま返しちゃったけど、そこまでいろいろというほどのいろいろがあったっけ?
そう思って、昨日を思い出す。
そういえば最後の方、電話を切る時に何か言いたそうにしていたような………。
そのときはわたしが宿題をしていたから、気を遣ってくれたのかもしれない。ちょっと気になるので聞いておくとしよう。
「てれす、昨日の最後の方に何か言おうとしてなかった?」
てれすは一瞬考えて、わたしから目をそらす。
そして、すぐさま答えた。
「な、なんでもないわ」
ほんとかなぁ…………。
でも、てれすがそう言うなら、わたしは納得するしかない。
「それならいいんだけど…………」
てれすに限って宿題のことを聞いてきたりはしないだろう。
それに、てれすは宿題があることを知らないというか、知っててもやらないからなぁ………。
その後の朝のショートホームルームもいつも通りという名の睡眠時間を過ごすてれすだった。




