26話 お菓子とコンビニ
きーんこーんかーんこーん。
4時間目終了のチャイムが響いて、お昼休みがやってくる。
いつものてれすなら、これから購買にパンを買いに行って、それから屋上で一緒にお昼ご飯、ということになる。
が、隣のてれすを見ると、落ち着いた様子でのんびりとまだその場にいた。
このままだと人気のパンは売り切れてしまいそうだけどいいのだろうか。
「てれす、購買行かなくていいの?」
わたしが心配して訊ねると、てれすはきょとんとして返す。
「……………どうして?」
え? どうしてって…………。
いつも購買に行っているから………。
え、ほんとにどういうこと?
困惑するわたしを見て、てれすは言葉を付け足す。
「今日はもう買ってきたの。来るときにコンビニで」
そう言っててれすはコンビニの袋を机の上に出した。
「あ、そういうこと」
てれすと一緒にお昼を食べ始めてから初めてのことではあるけど、こういう日もあるだろう。
てれすのご飯の確保はこれでいいとして、あとはわたしが気にしていた場所の問題だ。
「ご飯、このままここで食べる? それともいつも通り屋上に行く?」
「そうね………」
てれすは言って周囲を見渡す。
すでに食べる始めているクラスメートやその友達などなどで、わいわいがやがや賑わっていた。
なんとなくてれすの判断はわかってはいるものの、とりあえずわたしも、お弁当を机の上に出す。
そして、ちょっと悩んでいたてれすが答えを決めたようだ。
「屋上に行きましょう」
「おっけー」
コンビニの袋を持って立ち上がるてれす。
そんなてれすにならって、わたしもお弁当も抱えるようにして持つ。
まぁ、思っていた通りといえば思っていた通りだ。
わたしは教室でもよかったのだけど、てれすにとってここは、少しだけ賑やかすぎたのかもしれない。
てれす、ああいう感じ得意じゃなさそうだもんなぁ。
屋上を目指して横を歩くてれすを苦笑しながら見る。
わかりにくいけど、この感じは機嫌がいいというか、楽しいときのてれすだと思う。
そうだね、待ちに待ったお昼ご飯だもんね。
「あの…………、ありす。さっきはごめんなさい」
歩いていると、急に謝られた。
ほんとに急すぎて、なんのことかさっぱりわからなかった。
「さっき………?」
わたしが首を捻ると、てれすは袋からポリッツを取り出した。
「お菓子を食べていなかったありすを巻き込んでしまったから……」
あ、そのことね。
たしかになにも食べていなかったわたしまで怒られたけど、正直そんねに気にしていなかった。
わざわざこうして謝ってくれるとは驚きである。
「いいよいいよ、気にしてない」
大丈夫、とわたしはてれすに笑いかける。
と、一つ気づいた。というか気になった。
「ね、てれす。そのお菓子もコンビニ?」
今回お菓子を食べていたのは、たまたまなのかそれともわたしが全く知らなかっただけで、いっつも食べていたいたのか疑問だった。
「そうよ。お昼ご飯のついでに買ったの」
「じゃ、授業中に食べてたのは今月が初めてなの?」
「ええ。…………どうして?」
よかった…………。
毎日のようにしてたのかなって、ちょっと疑っちゃったよ。
「いやー、いっつもしてたのかなって」
わたしが言うと、てれすはふふっと笑いながら首を振った。
「さすがにそこまではしてないわ」
そうだよね。安心した。
今回は、たまたまコンビニでお昼ご飯を買ってきたから、一緒に買ってきたお菓子を食べちゃったんだね。
てことは、普段の購買でお昼を買うときは、そんなことはないってこと。安心安心。
…………これから毎日コンビニでお昼を買ってきたらどうしよう。
そんな風に少し不安になったものの、それはないと強く思ってみた。
てれすは前々から購買のパンを絶賛しているか、コンビニで買うときはほとんどないだろう。
てれすがおすすめするパン、一回食べてみようかな。
そんなこんなで、屋上へとやってきた。
こんにちは、結城天です。
まず、読んでくださったみなさん。
ありがとうございます。
遅くなりました。すいませんm(__)m
これからもよろしくお願いします。




