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ありすとてれす  作者: 春乃
23/259

23話 今週は席替えから

 てれすと挑んで見事に優勝した球技大会から、土曜日曜と休みを挟んで新たに始まった一週間。

 

 その始めに、わたしたち学生にとって定期的に訪れるプチ大イベントが行われようとしていた。………プチなのか大きいのかどっちなのだろう。


 そのイベントの名は、席替え。SEKIGAE。

 結果によって授業のモチベーションから休み時間、お昼ご飯にいたるまでが左右される重要なものである。


 ………まぁ、正直わたしはそんなに気にしないのだけど。

 基本的に誰とでもそれなりには仲良くできると思うし、そうしてきた。それもあってクラス委員にもなれたのだと思っている。


 だから、今までなら席替えはみんなほど、大きなものではなかった。

 が、今回は少し違う。こればかりは運だからなんとも言えないけど、できればてれすの近くに、あわよくば隣になりたい。


 もっともっとてれすと仲良くなりたかった。

 …………もしかして、思い上がりすぎだろうか。

 ちょっとテニスでペアを組んで優勝したくらいでそんな風に思っているのは、慣れ慣れしすぎなのかもしれない。


 隣になりたいとか考えているのはわたしだけなのかも………。拒絶されたら、つらいね………。


 

「じゃ、はしっこの列からくじ引いてー」


 そんな先生の言葉で、廊下側のはしっこの列からくじを引いていく。

 その時間に先生は黒板に簡単な座席表を書いて、適当に数字をふっていった。

 

 順々にくじを引いていきわたしの番になった。

 まだ先生は番号をふっている途中なので、何番がいいとかそういうのはない。本当に、ただただ運である。

 

 どこでもいい、とにかくてれすの近く。できれば隣になれ!


 そう祈りながらくじを引いて席に戻る。

 そのてれすもけだるげにくじを引いて、全員が引き終わると、


「はーい、それじゃ、番号のところに移動開始」


 先生の掛け声でみんな一斉に動き出す。

 わたしの持っているくじの番号は26番。

 黒板にに書かれている数字の中から26番を探す。


「あ、あった。後ろか………」


 わたしの席は窓際から2列目の一番後ろの席。それから、てれすはどこだとてれすを探す。


「あぁ…………。惜しい………。」


 列はわたしの隣。窓際の列ではあったけど、一番前だった。


 ………こればかりは運だから仕方ない。

 とはいえ、わたしは後ろの席だからてれすが見える。

 次の席替えまではこれで我慢するしかない。


 わたしがてれす(睡眠中)の背中に視線を送っていると、隣の席の子が手を上げた。


「先生、この席だと黒板が見にくいです」


「あら、そう? じゃあ、えーっと…………」


 きっと先生は前の人と交代して、そう言おうとしたはずなのだけど、一番前で寝ているてれすに目がいったところで一瞬止まった。


「前は高千穂たかちほさんか…………。えー、うーん………」


 先生は、てれすの授業態度を気にしているようだ。

 こういう子を一番後ろの席にしちゃうと、もっと寝られちゃうからね。

 でも、大丈夫。

 …………てれすはきっと、どこの席でも同じだから。


 と、わたしは思案顔の先生と目があった。


「あ、後ろにしたら隣は最上もがみさんか………。なら大丈夫かな………。高千穂さん? 一番後ろに行ってくれる?」


「…………はーい」


 先生がてれすをゆっさゆっさ起こすと、てれすは目を擦りながら後ろに移動する。

 と、いうことは。


「あっ、ありす」


 後ろにやってきたてれすがわたしに気づく。


「うん、よろしくね、てれす」


 てれすはわたしの言葉に小さくうなずくと、席に座って突っ伏した。

 寝る気満々ですね…………。

 せっかく隣になれたというのに、いつも通りのてれすなものだからくすっと頬が緩む。

 

「それでは、授業するよー」


 そりゃそうだ。授業が全て席替えでなくなるわけもなく、普段通り授業が開始される。


 それでも、隣ですぅすぅと寝息をたてているてれすがいるだけで、この教室も、なんだかちょっとだけ違って見えた。


 窓際の後ろの席に2人。うん、なんていうか、あれだ。

 ご都合主義。


 まぁ、運も実力のうちというか、これがわたしとてれすの実力というか。若干のラッキーもあり、こうなったのだ。


 奇跡も魔法もありました。





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