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ありすとてれす  作者: 春乃
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176話 図書館に行こう

 お家に帰って来てから着替えて、わたしはお母さんと雄藩を食べていた。今日のメインは豚のしょうが焼きで、とっても美味しい。ご飯との相性も抜群だなぁと食べ進めていると、お母さんがふいに聞いてくる。


「そういえば、ありす」


「なに?」


「もうすぐ修学旅行じゃない?」


「うん、そうだよ。月末から」


 お茶を一口飲んで、わたしは首肯する。


「いいわねぇ、お母さんも行きたいなぁ。えっと、関西に行くんだっけ?」


「うん。京都も大阪も初めてからすっごく楽しみ」


「お土産よろしくね」


「それはもちろん。何が良いとかってあるの?」


 お土産の定番と言ったら、やっぱりお菓子になるのかな。でも、もっとご当地を感じられるようなもののほうがいいのかもしれない。

 わたしの質問に、お母さんは少しの間悩んでいるようなそぶりを見せてから答える。


「ありすのセンスに任せるわ」


「えぇ、それ一番困るやつ……」


「大丈夫よ、ありすはそんなにセンス悪くないと思ってるから」


「そうかなぁ」


 たしかにお母さんの言うとおり、今までも悪いとは言われたことはない。けど、その逆にセンスがいいとも言われた記憶がないから、ちょっと不安だ。こういうのは気持ちが大事だってわかっていても、やっぱり気持ちと渡すもののどっちもで喜んでほしい。


「お母さんって京都行ったことあるの?」


「何回かあるわよ。それこそ、ありすと同じで修学旅行は京都だったし」


「そうだったんだ!」


「うん。懐かしいわぁ」


「班で自由行動があるんだけど、おすすめの場所とかってある?」


「まぁ、清水寺とか金閣寺とか有名なところは言っておいて損はないと思うわよ。でも、ありすたちの修学旅行なんだから、班の子たちと一緒に決めたほうがいいんじゃない?」


「そっか。そうだね」


 わたしは清水寺とか定番の観光スポットも行ってみたいけど、たしかに他の場所に行きたいって子がいるかもしれない。学校でも時間があると思うけど、班のメンバーで話し合うべきだなと思う。

 

「……あ」


 班の子たち、というお母さんの言葉で今日のことを思い出した。


「そう言えばお母さん。副班長がてれすなんだよ」


「あら、てれすちゃんが」


「そうそう。自分からやりたいって」


「へぇ、よかったわね」


「うん!」


 それから夕飯を食べ終えて、テレビを見ていると京都のことについての番組が始まった。修学旅行シーズン、そして紅葉シーズンに向けての内容らしい。

 さっきお母さんが言ってくれた定番スポットはもちろん、ちょっとマイナーな場所なんかもクイズを交えながら紹介されていく。食べ物なんかもとても美味しそうで、わたしはもちろん、てれすがすっごく喜びそうだった。

 改めて、修学旅行が楽しみになる。


 と、番組を見てわくわくとした気持ちを抱いていると、


「そうだ」


 一つ、いいアイデアを思いついてスマホに手を伸ばす。MINEを起動させて、メッセージを打ち込む。その相手はもちろん、てれすだ。


『てれす、明日なんだけど暇?』


 すぐに既読の文字がついて、てれすから返信が来る。


『ええ、暇だけれど』


『よかったら、図書館に行かない? 京都の自由行動で行くところとか調べたくて』


 旅行雑誌とかを買ってもいいけど、買うのはお金がかかるから、高校生のわたしのお財布事情的にちょっと厳しい。ならば、図書館に行くことになるだろう。

 一人で行ってもいいんだけど、一人は寂しいし、てれすは副班長でもあるし、情報を共有しておきたい。……そして何より、てれすと一緒に出掛けたかった。


 でも、ここから一番近くて、そこそこ大きな図書館と言ったら駅を一つ行ったところになる。この距離はあくまでわたしの家からの距離なので、てれすの家からは遠い。せっかくの休みの日だし、てれすは来てくれるだろうか。


 と心配していたけど、それは杞憂だった。


『いいわね。行くわ』


『なら、明日の14時くらいに行こ?』


『ええ』


『それじゃあ、よろしくね』


『わかったわ』


 最後に、可愛い猫のスタンプを送ってスマホを机の上に置く。テレビに再び目を向けると、さっきまでの番組は終わったようで、違うバラエティー番組が始まっていた。

 

 宿題でもしようかと立ち上がろうとしたとき、お母さんから声がかけられる。


「ありすー! お風呂できたから入っちゃって」


「はーい」


 返事をして、わたしは鼻歌混じりにお風呂へ向かうのだった。


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